うっすら汗ばみ初夏を思わせる5月は鮮やかな色彩のバラやシャクナゲなどが咲くと共に、淡い色彩のフジの花が見られ、慎ましく日本的な美しさを感じさせてくれます。造形の美も兼ね備えたフジの花の、優美な姿や迫力をさまざまなレンズで撮り比べてみませんか?
房いっぱいのフジの花は「かんざし」のように見えます。慎ましい美しさを保って「かんざし」のように見せるためには、背景の色やぼかし方が肝心です。また、薫風で揺れてしまうと形が崩れてしまうので、風がやむのを待って望遠レンズで背景を大きくぼかして撮影しました。太陽は雲に隠れているタイミング。カメラ位置はフジの中心部が画面の真ん中にくるようにしています。
レンズ:AF-S VR Zoom-Nikkor 70-300mm f/4.5-5.6G IF-ED
焦点距離:195mm
絞り値:f/8
シャッタースピード:1/400秒
ホワイトバランス:晴天
露出モード:絞り優先オート
測光モード:マルチパターン測光
露出補正:+1.0段
フォーカスモード:AF-S
ISO感度設定:オート (ISO 1250)
その他使用機材:三脚、リモートコード
望遠300mmまでの幅広い焦点距離をカバーする約4.3倍の望遠ズームレンズです。
青空には白い雲。フジの花を正面から撮影したことで季節感と慎ましい美しさの両方が写し出されています。52mmの標準域で撮影したことで歪みもなく、まるでこの場にいて見ているような臨場感も醸し出されています。
フジの花が空から降ってくるような雰囲気を出すために、フジ棚の下に入り10.5mmの魚眼レンズを見上げるアングルで使用しています。魚眼レンズの大きな歪みが肉眼では見ることのできないフジの作品にしています。
撮影・解説:柿本 完二