夏は旅行で海に出かける人も多いと思います。きれいな青い海と白い砂のビーチ、スカッと抜けた青空と白い雲など、夏の海岸はとても素晴らしい被写体でとても絵になりますが、影をアクセントにすることで、より印象的な海の写真を撮ることができるのです。
青い海と空を背景にヤシの木が映え、白砂のビーチでは人々がくつろいでいる、いかにも南の島定番ともいえる風景が広がるシチュエーションでの撮影です。そのまま撮っても画になりますが、白い砂のビーチに映り込んだヤシの木の影を意識的に入れることで、その印象は大きく変わります。ビーチの雰囲気をリアルに再現するため、ズームレンズの広角側を使って撮影しました。
影は斜光および反逆光のタイミングに大きくなります。この作品の場合は、太陽が真上の位置となる前後の時間帯がもっとも撮影に適した時間でした。
撮影日は晴天でコントラストが強かったので、シャドウ部が黒くつぶれたりハイライトが白くとんでしまうのを防ぐために、ピクチャーコントロールで制御しています。
レンズ:AF-S DX NIKKOR 16-80mm f/2.8-4E ED VR
焦点距離:16mm
絞り値:f/11
シャッタースピード:1/400秒
ホワイトバランス:オート1
露出モード:絞り優先オート
測光モード:マルチパターン測光
露出補正:0段
フォーカスモード:AF-S
ISO感度設定:ISO 100
DXレンズ初のナノクリスタルコートやフッ素コート、電磁絞り機構を採用。高度な仕様を備えた高性能なレンズです。
朝早くビーチを散歩しながら撮影したものです。
波が穏やかでヤシの木の影が水面にはっきりと写り込んでいたところを狙いました。手前に広くビーチを入れ、間を取ることで構図が安定します。さらに、早朝のビーチは誰も歩いていないため、自分の足跡をあえて画面の中に写し込むことで、人を感じさせることができました。
画にならないようなシーンや被写体でも、影を取り入れることで作品は大きく変わります。この作品は地面に植えられたハイビスカスの影を入れて写したもの。ぼけている影とはっきりしている影とで、不思議な遠近感を感じることができます。さらに、逆光の光を透過した赤いハイビスカスや緑の葉を画面に入れることで、日差しの強い夏をイメージする作品に仕上げることができました。
撮影・解説:斎藤 勝則