日本人にとって、とても馴染み深い樹木「サクラ」。多種多様なメディアのニュースや天気予報などで開花予想が報じられるほどに、関心が強いものとして捉えられている植物です。百円硬貨の表面や千円から一万円までの全紙幣にデザインされていたり、さまざまな学校の校章、警察官の徽章にも使用されています。歴史的にみても、歌人・俳人や画家、芸術家の題材に多々なってきた歴史があり、長きに渡り身近に親しまれている存在といえるでしょう。
サクラはもともと日本に自生している樹木。国内に自生する野生の基本種はヤマザクラ、オオヤマザクラ、カスミザクラ、オオシマザクラ、エドヒガン、チョウジザクラ、マメザクラ、タカネザクラ、ミヤマザクラの9種です。江戸時代以降、多種多様な栽培品種が生み出され、現在流通しているものはおよそ100種にも及びます。
わたしたちにとってもっとも身近なサクラ、「ソメイヨシノ」。この種は、エドヒガンとオオシマザクラの交配で生まれたとされており、最大樹齢100年を超える長命の樹木です(そもそも原種となっているエドヒガンもオオシマザクラも、古木・名木・巨樹が多いことで有名)。
現代のお花見ではソメイヨシノが人気ですが、江戸時代ではお花見時のサクラといえばヤマザクラでした。ヤマザクラは東北南部から九州にかけて広く自生する種で、九州では2月に咲き始めるものもあります。
儚い存在とされ、あっという間に散ってしまう印象のサクラですが、実は咲き始めの花の花弁は少々の雨風にさらされても散ることはありません。むしろこのタイミングで雨が降ったとしても、雨が止み気温が上がった時が、花としてはもっともみずみずしい状態となるので、実は見頃であったりもします。
サクラの花は自然な光と相性がいい優しい雰囲気を持ったもの。撮影タイミングとしては、快晴で強い光を持つ日よりも、光が強すぎない曇りの日がオススメです。
また、サクラの花は咲いた後、しばらくたつと次第に花の中心部が赤くなるため、美しい花を撮影するためには5分咲き程度の時期が狙い目です。
取材協力:国立研究開発法人 森林総合研究所 多摩森林科学園