今年も迎えたクリスマスシーズン。キラキラと輝く季節を楽しもうと室内にクリスマスグッズを飾り付ける方も多いのではないでしょうか。大掛かりではなくても棚の上にクリスマスらしいオーナメントを置いてみたり、定番のリースやツリー、キャンドルやイルミネーションを飾ってみたりするのも素敵ですね。
今回はそんなクリスマスデコレーションを室内でより素敵に撮るアイデアをご紹介します。雰囲気を出すために部屋の明かりはつけず、間接照明やキャンドル、イルミネーションの光を利用して撮影を行います。
撮影監修:斎藤勝則
撮影機材は「Z 5」と「NIKKOR Z 35mm f/1.8 S」「NIKKOR Z 24-70mm f/4 S」「NIKKOR Z 24-200mm f/4-6.3 VR」の3本のレンズです。光源が少ない暗いシチュエーションのため、開放F値1.8の単焦点レンズなど明るめのレンズをそろえました。NIKKOR Z 24-70mm f/4 Sは最短撮影距離が短いため、テーブルフォトに最適です。また室内撮影ですのでそれほど長い焦点距離は必要ありませんが、大きなボケを作ることもできる24-200mmまでの焦点距離を持つ高倍率ズームもあわせて用意しました。
テーブルの上に飾られたクリスマスキャンドル。キャンドルの灯がかすかに揺れ、ほのかに周囲を照らす様子はとても幻想的です。そんなひとコマを捉えたのがこちらの作品。キャンドルの暖かみある光の色がしっかりと再現された、雰囲気ある写真になりました。
ホワイトバランスは見た目に近い色合いになるよう[A2(電球色を残す)]に設定。また暗い写真はカメラが自動的に明るく写そうとしてしまうため、灯の部分が白飛びしないよう-0.7段に露出を下げて撮影しました。
幻想的な雰囲気を出すため、室内の明かりは消してキャンドルの灯のみで撮影しています。使用レンズは「NIKKOR Z 24-70mm f/4 S」。近すぎず遠すぎず、撮影しやすい距離から手持ちでフレーミングしています。手ブレしないよう、しっかりと脇をしめカメラを構えました。
暗いシチュエーションでの撮影、光量が足りなくなればそれだけシャッタースピードが落ちます。手持ちでの撮影は手ブレする可能性が高くなるため、少ない光量でもシャッタースピードが稼げるようあらかじめISO感度を上げる設定を行っておきましょう。
光量が足りないときにカメラが自動でISO感度を上げてくれる[感度自動制御機能]をONに、さらに今回の撮影状況を鑑みて、必要以上にISO感度を上げないよう数値の上限を設定できる[制御上限感度]を3200に設定しました。
撮影モードは[A(絞り優先オート)]が撮影しやすくおすすめです。絞りは開くほどにシャッタースピードを稼ぐことができますが、ピントの合う範囲が狭くなりすぎないよう今回はf/5.6に設定。結果ISO感度は2200、シャッタースピード1/50秒でブレずに撮影することができました。
ツリーに飾られた「Merry Christmas」のオーナメントを主役にした1枚です。個性ある美しいオーナメントはそれだけで映えますし、ツリー全体を引きで撮ったときのような周囲の写り込みが少ない分、フレーミングが難しくならず画になりやすいのでおすすめの被写体です。オーナメントの一部分にピントを合わせ、ツリーの後ろの壁に飾ったイルミネーションが大きな玉ボケになったことで華やかな作品になりました。
1枚目と同じくISO感度の[感度自動制御機能]をONに、[制御上限感度]を3200に設定。ホワイトバランスは[A2(電球色を残す)]で、見た目に近づけつつ電球色の赤みを活かすよう撮影しています。
雰囲気を出すため部屋の電気は消していますが、オーナメント自体が光るわけではありませんのでメインの「Merry Christmas」が暗くならないよう、正面から光が当たる位置に白熱球の間接照明を置きました。またツリーの電飾と、背景の壁に飾ったイルミネーションを点灯させています。
レンズは開放F値1.8の明るい単焦点レンズ「NIKKOR Z 35mm f/1.8 S」を使用。オーナメントに近寄って手持ち撮影を行いました。自分の影で間接照明の光をさえぎらないよう注意しましょう。
大きなボケを作るためには、「より望遠であること」「より絞り値(F値)が小さいこと」「カメラと被写体と背景の位置関係」がポイントとなりますが、今回は35mmの単焦点レンズを使うためそれ以上望遠にはできません。「絞り値(F値)」と「位置関係」を調整して背景に大きなボケを作りましょう。
撮影モードを[A(絞り優先オート)]にし、今回は「絞り値(F値)」をf/2.8まで開いて設定しました。位置関係については「カメラ」と「ピントを合わせる被写体」の距離が近ければ近いほど、また「被写体」と「背景」の距離が遠くなればなるほど大きなボケを作ることができます。構図のバランスを見ながらカメラをオーナメントに近づけて撮影しました。
さまざまな形のオーナメント、ピクチャーコントロールを変更して写真の仕上がりイメージを変えてみましょう。今回は「D780」やZ シリーズに搭載された「クリエイティブピクチャーコントロール」を使用。20種類の多彩なモードでより自分好みの写真に仕上げることができます。
カメラレッスン Lesson6:ピクチャーコントロールの操作と使いかた
近頃では置物や壁に吊るすタイプのものなどさまざまなイルミネーショングッズが手に入るようになり、より手軽に光で室内を飾ることができるようになりました。こちらはそんなワイヤー状のLEDライトを使い、雪だるまの置物を撮影しました。部屋の明かりを消して撮れば、ライトの光を受けた雪だるまがシルエットになって浮かび上がり、またテーブルに反射した光がよりその輪郭を強調してくれます。
雪だるまと背景のライトはそれほど離れていませんが、少し遠くから望遠で狙うことで背景のライトが大きくボケ、よりファンタジックな写真に仕上げることができました。
暗いシチュエーションのためISO感度は[制御上限感度]で設定した上限の3200まで上がりましたが、シャッタースピードも1/125秒まで確保できています。望遠画角の手持ち撮影は手ブレしやすいため、これくらいのシャッタースピードがあると安心です。
テーブルの上に丸めたワイヤー状のLEDライトを置き、その前に2体の雪だるまの置物を飾りました。レンズは「NIKKOR Z 24-200mm f/4-6.3 VR」を使い、テーブルと少し離れた位置から焦点距離200mmで手持ち撮影しています。
部屋の明かりは消し、光源はワイヤー状のLEDライトのみ。暗いシチュエーションですので手ブレしないようしっかり脇をしめ撮影しましょう。
今回はホワイトバランスを[A2(電球色を残す)]に設定して撮影しました。暖かい白熱球のようなLEDライトの色味を活かすことができました。
この作品のようにイルミネーション中心に写真を撮る場合、ホワイトバランスを変えることで仕上がりの雰囲気をガラリと変えることができます。光源や撮りたいイメージに合わせて試してみるのも楽しいですよ。
メニューから[ホワイトバランス]を選んでOK ボタンを押すとホワイトバランスの選択項目が表示されます。設定したいホワイトバランスを選ぶと、そこからさらに微調整をかけることができます。G:グリーン、B:ブルー、A:アンバー、M:マゼンタ、それぞれの濃さの値をマルチセレクターで選ぶことができます。もう少しこういう色味にしたい、こんなイメージにしたいなど、よりこだわった画作りがしたい方におすすめです。
新次元の高画質と多彩な表現を提供する大口径、ショートフランジバックのZ マウントを採用したミラーレスカメラです。有効画素数2432万画素のフルサイズ画質を実現する、ニコンFXフォーマットCMOSセンサーを搭載。またZ シリーズ初めてSDカード2枚を使用できるダブルスロットを採用しています。暗いシーンで美しい映像を実現する常用感度ISO 51200の高感度画質や、独創的な表現ができる「クリエイティブピクチャーコントロール」も魅力です。
高い解像度、美しいボケ味、少ない軸上色収差、高い点像再現性と、これまでの開放F値1.8レンズとは一線を画す新次元の光学性能を備えた単焦点レンズです。マルチフォーカス方式採用で静止画・動画を問わず静粛で高速・高精度なAF制御を実現。大口径レンズならではの自然で柔らかな美しいボケ味も魅力です。
広角24mmから中望遠70mmまでの使いやすい焦点距離範囲をカバー。f/4で一定の開放F値、0.3mの短い最短撮影距離でスナップからポートレート、風景まで幅広い撮影フィールドや被写体に対応します。良好な点像再現性、そしてナノクリスタルコートを採用した高い逆光耐性なども備えており、静止画・動画を問わず高画質が得られます。
広角24mmから望遠200mmまでの幅広いズーム域をカバーする、8.3倍高倍率ズームレンズ。手ブレ補正効果5.0段※のレンズシフト方式VR機構を内蔵、小型で重さも約570gと軽いため、気軽に持ち歩きができます。また最短撮影距離も広角側で0.5m、望遠側で0.7mと短く被写体に寄った撮影も可能、撮影チャンスを逃したくない旅先などで最適な1本です。
このギャラリーでは「カメラレッスン」で撮影した作品を掲載しています。
写真の目的で絞り込んで作品を検索することができますので、この目的でどんな作品が撮れるのか参考にしながらご覧ください。