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Lesson6:ピクチャーコントロールの操作と使いかた

くっきり鮮やかに写っているのか、ふんわり淡い色合いなのか、同じ被写体でも仕上がりのコントラストや色味が違うとその写真の印象はずいぶん違って見えるものです。今回はそんな、写真の仕上がりイメージを変えるピクチャーコントロールについて学んでいきましょう。

撮影監修:斎藤勝則

1.ピクチャーコントロールとは

「ピクチャーコントロール」とは、写真の雰囲気を変える画作り設定のことです。ニュートラル、ビビッドなど数種類あるピクチャーコントロールの中から好きなモードを選んで撮影すれば、より自分好みの1枚に仕上げることができます。

画像形式をRAWにして撮影しておけば、撮った後からでもピクチャーコントロールをかけることができます。カメラ内で現像する際に好みのピクチャーコントロールを選んだり、またニコンの現像ソフトウェア「NX Studio」を利用して変更したりすることも可能です。

RAWについての詳細はこちら
NX Studioの詳細はこちら

基本の操作方法

ピクチャーコントロールは、静止画撮影メニューから変更することができます。
ここではD7500を例に、操作方法を紹介します。カメラによってピクチャーコントロールの設定画面が異なる場合がありますので、詳細は使用説明書をご確認ください。

手順1

MENUボタンを押し、タブのアイコンを選ぶと静止画撮影メニューが表示されます。マルチセレクターの▲▼で[ピクチャーコントロール]を選び、▶を押します。

手順2

設定したいピクチャーコントロールを▲▼で選んでOKボタンを押せば設定完了です。

ではさっそく、ピクチャーコントロールを変更しながら撮影してみましょう。同じ被写体でもそれぞれ違った仕上がりイメージの写真になりました。

[スタンダード]
色鮮やかなチューリップ畑を撮影。バランスの取れた色味、画作りで、どんな被写体にも適したモードです

[ビビッド]
チューリップの花色がさらに鮮やかに、緑も濃くメリハリある写真になりました

[ニュートラル]
実際の被写体に忠実な色味で撮影するモードで、この被写体では[スタンダード]や[ビビッド]に比べコントラストや彩度が低く、落ち着いた雰囲気に仕上がりました

2.ピクチャーコントロールの種類

基本のピクチャーコントロール

ピクチャーコントロールには、基本となる8つのモードがあります。それぞれのモードの違いを知って、被写体や撮影シーンにあわせて、自分好みのモードを見つけて使いわけてみてください。
なお、P、S、A、M以外の撮影モードの場合は、それぞれの撮影シーンに適したピクチャーコントロールが自動的に選ばれます。

オート

[スタンダード]を基本に、色合いや階調をカメラが自動的に調整するモードです。人物を撮影するシーンでは[スタンダード]に比べて人物の肌を柔らかく表現。屋外のシーンでは、[スタンダード]に比べて青空や草木などの色が鮮やかになります。

スタンダード

鮮やかでバランスの取れた標準的な色味で撮影します。ほとんどの撮影状況に適したモードです。

ニュートラル

被写体の色味を忠実に再現する、素材性を重視した自然な画像になります。

ビビッド

メリハリのある、生き生きと色鮮やかな画像になります。彩度を上げて色味を強調したいとき、よりハッキリした印象の写真を撮りたいときに適しています。

[スタンダード]で撮影

[ビビッド]で撮影

モノクローム

白黒やセピアなど、単色の濃淡で表現する写真を撮ることができます。

[スタンダード]で撮影

[モノクローム]で撮影

ポートレート

人物を撮るのに適したモードで、肌の描写をきれいで滑らかにするだけでなく髪の毛の柔らかい質感も再現します。

[スタンダード]で撮影

[ポートレート]で撮影

風景

自然の風景や街並みを撮るときに適したモードです。彩度やコントラストが高く、メリハリをつけ写真映えするように仕上げてくれます。

フラット

ピクチャーコントロールの中で、コントラスト、彩度、輪郭強調が最も低い設定になります。そのため、メリハリがなく眠いような画像になりますが、後から画像処理をして仕上げるのに適しています。

ピクチャーコントロールを調整する

ピクチャーコントロールはさらに細かく色の濃さやコントラスト、輪郭強調の効果を調整することができます。この設定で、よりこだわった画作りができるようになるのです。
なお、選んだピクチャーコントロールによって設定できる項目は異なります。またカメラの機種によって調整項目が変わりますので、詳細は各カメラの使用説明書をご確認ください。

手順1

調整したいモードを選んだ状態で、マルチセレクターの▶を押します。

手順2

マルチセレクターの▲▼で調整したい項目を選びます。◀▶でその調整を効かせる度合いを選び、OKボタンを押します。

手順3

調整をかけると、設定されたピクチャーコントロールのアイコンの横に、アスタリスクが表示されるようになります。

ピクチャーコントロールの調整項目

[クイック調整] 輪郭強調、コントラスト、色の濃さ(彩度)のレベルを自動的に調整します。
※[ニュートラル][モノクローム][フラット]では設定できません。また手動調整した後にクイック調整を行うと、手動調整で設定した値は無効になります。
[手動調整] [輪郭強調] 輪郭の強弱を調整できます。[A](オート)を選ぶと、自動で調整します。
[明瞭度] 画像の明瞭度を調整します。[A](オート)を選ぶと、自動で調整します。
[コントラスト] 画像のコントラストを調整できます。[A](オート)を選ぶと、自動で調整します。
[明るさ] 白とびや黒つぶれを抑えながら画像の明るさを調整します。
[色の濃さ(彩度)] 画像の彩度(色の鮮やかさ)を調整できます。[A](オート)を選ぶと自動で調整します。
[色合い(色相)] 画像の色合いを調整します。
[フィルター効果] 白黒写真用カラーフィルターを使って撮影したときのような効果が得られます。
[調色] 印画紙を調色したときのように、画像全体の色調を調整します。

では実際に、ピクチャーコントロールに調整をかけて撮影してみましょう。
ここでは[クイック調整]を例に設定を行います。これひとつで輪郭強調、コントラスト、色の濃さ(彩度)をバランスよく自動で調整してくれる便利な機能です。

ピクチャーコントロール[ビビッド]から、[クイック調整]を+1に設定します

[ビビッド]で撮影

[ビビッド]+[クイック調整]+1で撮影

[ビビッド]で撮影したバラの花、さらに[クイック調整]を+1に設定し撮影しました。色の濃さやコントラストなどが上がり、輪郭協調もされています。よりポップで鮮やかな1枚に仕上がりました。

3.クリエイティブピクチャーコントロール

クリエイティブピクチャーコントロールの種類

「D780」やZ シリーズには、基本の8つのピクチャーコントロールに加えて20種類の「クリエイティブピクチャーコントロール」が新たに搭載されました。色合いや階調、彩度などを細やかに作り込み、撮影したときの気持ち、空気感や温度といった微妙なニュアンスも写真に込めて表現できそうな多彩なモードになっています。

クリエイティブピクチャーコントロールについての種類と詳細はこちら

今回はその中からいくつかのモードをご紹介します。

モーニング

早朝のすっきりとした空気の中で撮影したような雰囲気を出すモードです。暗部をやや明るめにし、全体の色調を透明感のある青傾向とすることで爽快感ある画調になります。

[スタンダード]で撮影

[モーニング]で撮影

サンデー

晴れた日曜の昼下がりに撮影したような、開放的な雰囲気になるモードです。コントラストを高め、ハイライト部分を大胆に飛ばす。被写体の印象を強めた表現が得られます。

[スタンダード]で撮影

[サンデー]で撮影

ブリーチ

メタリック感のある、渋い雰囲気になるモードです。全体的に緑がかり彩度は低くなりますが、被写体のディテールはしっかりと再現。銀残し風の味わいある表現が楽しめます。

[スタンダード]で撮影

[ブリーチ]で撮影

メランコリック

わずかに気だるさの漂うような、レトロ調の表現になるモードです。全体的にマゼンダがかり、また彩度と輪郭を弱めているためやわらかな印象の画像になります。

[スタンダード]で撮影

[メランコリック]で撮影

デニム

青味の強い深い色合いになるモードです。彩度を高めにして青をシアン方向に表現。被写体の青色をより際立たせることができます。

[スタンダード]で撮影

[デニム]で撮影

ピクチャーコントロールを調整する

クリエイティブピクチャーコントロールも細かな調整をかけることができます。
調整項目の内容も新しく追加され、たとえば[適用度]では選んだクリエイティブピクチャーコントロールをどれだけ利かせるのかを10段階で選ぶことができたり、シャープネスに関する調整が[輪郭強調]、[ミドルレンジシャープ]、[明瞭度]とより細やかに調整できるようになったりしています。

ピクチャーコントロールの調整項目

[適用度] クリエイティブピクチャーコントロールの効果をどれだけ適用するかを調整します。
[クイックシャープ] 画像のシャープさを調整する[輪郭強調]、[ミドルレンジシャープ]、[明瞭度]の各項目を自動でバランスよく調整します。各項目を個別に調整することも可能です。
[輪郭強調] 画像の精緻な部分や、被写体の輪郭部分のシャープさを調整します。
[ミドルレンジシャープ] [輪郭強調]と[明瞭度]の中間、細かさの模様や線に対してのシャープさを調整します。
[明瞭度] 画像の階調や明るさを維持しながら、画像全体や太めの線のシャープさを調整します。
[コントラスト] 画像のコントラストを調整します。
[明るさ] 白とびや黒つぶれを抑えながら画像の明るさを調整します。
[色の濃さ(彩度)] 画像の彩度(色の鮮やかさ)を調整します。
[色合い(色相)] 画像の色合いを調整します。
[フィルター効果] 白黒写真用カラーフィルターを使って撮影したときのような効果が得られます。
[調色] 印画紙を調色したときのように画像全体の色調を調整できます。調色の項目([B&W]以外)を選んでマルチセレクターの▼を押すと、さらに色の濃淡を選べます。
[色の濃淡] 適用するクリエイティブピクチャーコントロールの色の濃さを調整します。

では実際に、クリエイティブピクチャーコントロールに調整をかけて撮影してみましょう。ここではZ 50を使って[適用度]を変更します。なお、カメラによって設定画面が異なる場合がありますので、詳細は使用説明書をご確認ください。

メニューボタンから[ピクチャーコントロール]を選び、OKボタンを押します。

マルチセレクターの◀▶で設定したいピクチャーコントロールを選びます。

OKボタンを押す前にマルチセレクターの▼を押すと各種調整項目が表示、この画面から調整を行います。ここでは1番上の[適用度]を選択、◀▶でその度合いを変えます。

OKボタンを押すと設定完了。ピクチャーコントロールが調整された状態になると、アイコンの横にアスタリスクが表示されます。

[ピュア]で撮影

[ピュア]+[適用度]80で撮影

クリエイティブピクチャーコントロールの適用度は、そのままでは100に設定されています(適用度は0〜100の10段階で設定できます)。ここでは、適用度を80まで下げて撮影しました。やわらかく無垢な印象で、青味がかった画調に仕上げる[ピュア]。比較するとさらにその印象が強まっています。

今回ご紹介した比較写真を見てもわかるように、色の雰囲気が変わることで写真そのものの印象が大きく変わっています。ピクチャーコントロールは写真の仕上がりを良くするだけでなく、自分らしさをより写真に反映できる機能だといえるのではないでしょうか。ぜひこれを機に、自分ならではの色味、自分らしい1枚を目指して作品作りを楽しんでください。

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