ピクチャーコントロールとは、写真の雰囲気を簡単に変えることのできる画づくり設定で、[スタンダード]、[ニュートラル]、[ビビッド]、[モノクローム]、[ポートレート]、[風景]、[フラット]の7種類が搭載されています。
また、各ピクチャーコントロールは、[輪郭強調]、[明瞭度]、[コントラスト]、[明るさ]、[色の濃さ(彩度)]、[色合い(色相)]の各パラメーターと、それらの調整をまとめて行ってくれる[クイック調整]での微調整が可能です。仕上げたい写真のイメージに近いピクチャーコントロールを選択して各パラメーターを微調整することで、シャープでクールなイメージの写真も、ふんわりと優しい写真も自在に作り出すことができます。
「ピクチャーコントロール使いこなし1」では[スタンダード]、[ビビッド]、[ポートレート]と、調整項目の[明瞭度]についてご紹介します。
スタンダード
スタンダードは被写体の輪郭のシャープさやコントラスト、明るさや色味の濃さや色合いをバランス良く描き出してくれるピクチャーコントロールです。派手過ぎず地味過ぎず、多くの方から好まれる自然な仕上がりになります。街中のスナップはもちろん、ポートレートや風景写真、テーブルフォトなど多くの用途で活躍する使い勝手の良いピクチャーコントロールです。
ビビッド
赤や青、緑色などの被写体がメインの写真ではピクチャーコントロールをビビッドにすると、輪郭が強調されてコントラストの高い鮮やかな写真に仕上げることができます。さらに作例のような金属的な被写体の場合、作例3のように露出を少しマイナスに補正して見た目よりもほんの少しだけ暗めに、アクティブD-ライティングを弱めにしてわざと明暗の差を出すことによって、シャープなこってりとした深みのある色合いを作り出すことができます。
スタンダードの作例は、露出補正をせずにアクティブD-ライティングを標準のままで撮影したので、明るく爽やかな写真になりましたが、肝心の車の赤色が少し浅い色になってしまっています。
最近の写真の傾向としては明るめが好まれやすいのですが、メインの被写体が硬い質感の物の場合は少し暗めに露出補正し、アクティブD-ライティングを弱めにしてコントラストを高めるとシャープなイメージの格好の良い写真に仕上げることができます。
また、ピクチャーコントロール内の[明瞭度]をプラスに調整することによって明るさを変えずにくっきりとした写真に仕上げることができます。ビビッドの明瞭度の初期値は+1なのですが、作例では+2まで上げてシャープ感を増しました。
この明瞭度はシャドー部とハイライト部の諧調を損なわずに写真をくっきりさせたり、柔らかくできる便利な調整項目です。プラスに調整すればクリアーな抜け感のある写真に、マイナスに調整すればふんわりと優しいイメージの写真にすることができます。
ポートレート
ピクチャーコントロールのポートレートは、人物の肌を諧調豊かになめらかに描写して、スタンダードより全体に柔らかいイメージの写真に仕上げてくれます。特に女性や子どもなど人物を優しく描写したいときにお勧めのピクチャーコントロールです。
スタンダードで撮影すると輪郭はシャープに、コントラストははっきりと描かれるので写真としては力強くて見る人の目を引き付けるのですが、女性の柔らかい肌を表現したいときには少し強すぎる描写になってしまうことがあります。作例のように女性を優しいイメージで描きたいときはピクチャーコントロールのポートレートを使ってみましょう。
また、人物をアップで撮影するときは逆光か半逆光で撮影して、顔に光が強く当たって陰影が出ないようにしましょう。露出は見た目よりもほんの少し明るくなるようにプラスに補正することで肌が明るくなり透明感を演出できます。そして、女性の肌をなめらかに表現するためにはコントラストは低いほうが良いので、アクティブD-ライティングはONにしましょう。
さらに、ピクチャーコントロールのポートレートの中の調整項目[明瞭度]をマイナスに調整すると全体に優しくソフトフォーカスがかかったようになるので、細かい笑いジワや毛穴が目立たなくなり肌をより綺麗に見せることができます。
シャープなイメージのポートレートでしたらそのままでもいいのですが、思わず触りたくなるような柔らかさやほっとする優しさを表現したいときはピクチャーコントロールはポートレートに、さらに明瞭度を少しマイナスに調整すると良いでしょう。
明瞭度
明瞭度とはピクチャーコントロールの中にある調整項目で、画像内の明るい部分(ハイライト部)と暗い部分(シャドー部)の諧調を損なわずに画像をくっきりとシャープにしたり、ふんわりとソフトに調整することができます。
同じような調整項目として被写体の輪郭をシャープにしたりソフトにする[輪郭強調]と、明暗の差を高めたり低めたりする[コントラスト]がありますが、この明瞭度は画像の明るさをほとんど変えずに全体の雰囲気を硬くも柔らかくも変えることができる便利な調整項目です。
この明瞭度は、0.25ステップの細かい刻みで-5から+5の範囲で調整が可能です。
プラスに調整すると画像はくっきりとシャープになり、力強いイメージになります。陰影の差を出したいスナップや、風景、鮮やかな色合いの被写体を印象強く描きたいときに向いています。
マイナスに調整すると画像はふんわりと優しい雰囲気になります。女性のポートレートや赤ちゃんの柔らかい肌、ネコやウサギなどフワフワとした質感の動物を優しく描きたいときに向いています。
ただし、過度に調整しすぎると不自然な画像になってしまいますので、そのような狙いがあるとき以外はプラス・マイナス3以内の調整にしておくと良いでしょう。