カメラボディーにあわせて欲しいレンズを探すのも、一眼レフカメラやミラーレスカメラを使う楽しみのひとつですね。今回はたくさんのレンズの中から、選ぶときに知っておきたいニッコールレンズの基本知識や用語、ポイントをわかりやすくご紹介します。
撮影監修:斎藤 勝則
一眼レフカメラやミラーレスカメラはカメラボディーに交換レンズを装着して使いますが、この装着する部分には決められた規格サイズがあり、それを「マウント」といいます。
おもちゃのブロックなどでも規格が違うとくっつけられないように、カメラボディー、レンズそれぞれのマウント規格が異なるとレンズを装着することができません。
ニコンのカメラには、長い歴史を持つラインナップ豊富な「F マウント」と、ミラーレスカメラZ シリーズとともに誕生した「Z マウント」の2種類のマウントがあります。
このふたつは規格が異なるため、そのままではF マウントのレンズを「Z 50」などのZ マウントのカメラボディーにつけることはできませんが、マウントサイズの違いを補う「マウントアダプター」をカメラボディーとレンズの間に装着することで、使えるようになります。
「マウントアダプター FTZ」は、Z シリーズのカメラボディーでF マウントのレンズが使えるようになるアダプターです。
レンズを選ぶ際は、お手持ちのカメラボディーのマウントを確認してから、レンズや必要な機材を選ぶようにしましょう。
デジタルカメラの内部にある写真を撮るための装置(撮像素子)の大きさのことを「フォーマット」といいます。ニコンには2種類のフォーマットがあり、それぞれサイズが違います。
FXフォーマットは35mmフィルムの大きさに準じたサイズで作られており、DXフォーマットはそれより小さいサイズになります。ニコンのカメラには必ずどちらかのフォーマットの撮像素子が入っているのですが、このサイズの違いは写りにどう影響するのでしょうか。
上の写真は、同じ被写体を同じ場所から撮り比べたものです。FXフォーマットのカメラの方が広い画角で写ります。言い換えると、DXフォーマットはFXフォーマットより望遠ぎみで写るのです。
カメラボディーだけでなく、レンズにもFXフォーマット用とDXフォーマット用があります。たとえば、FXレンズの50mmとDXレンズの50mm、同じ焦点距離で撮影したとしても上の写真のように写る画角は違います。FXレンズを基準とすると、DXレンズは約1.5倍の画角となります。
“焦点距離50mm”と言っても、それがFXフォーマットなのかDXフォーマットなのかで写る画角が違うということを覚えておくとよいでしょう。
DXレンズの説明文などによく、「35mm判換算で●mm相当」という記載があります。
これは、「35mmフィルム判=FXフォーマットでいうと、●mm相当の画角で写ります」という意味です。DXフォーマットのカメラやレンズを使用する際に参考にしましょう。
マウントの場合規格が異なるとそのまま装着することができませんでしたが、フォーマットが違うカメラボディーとレンズでは、装着することができるのでしょうか?
答えは、「装着できる」です。マウントさえ同じであれば、FXフォーマットのカメラにDXレンズ、あるいはその逆でも撮影することができます。では、組み合わせパターンとそれで撮影できるフォーマットを一覧でみてみましょう。
FXフォーマット対応レンズ | DXフォーマット対応レンズ | |
---|---|---|
FXフォーマットのカメラ (約36×24mm) | FXフォーマットで撮影可能 | DXフォーマットで撮影可能 |
DXフォーマットのカメラ (約24×16mm) | DXフォーマットで撮影可能 | DXフォーマットで撮影可能 |
このように、組み合わせによって写る画角が変わります。
FXにはFX、DXにはDXと決めてしまわないで、いろいろと撮り比べてみるのもレンズ交換式カメラならではの楽しみかたのひとつかもしれませんね。
ニッコールレンズには、よりよい撮影を実現するために培われてきた技術がたくさん詰まっています。
それぞれのレンズにどんな機能が備わっているのか、サイト内の製品情報ページを見てみましょう。
これは、レンズの製品一覧ページの一部分です。レンズ名や製品イメージとともに、「STM」「N」「ED」…などなどさまざまなマークがついていますね。
このマークは、それぞれのレンズが持つ機能やレンズに使われているガラス素材の略称です。
ここに記されている用語の意味をあらかじめ知っておくと、「ステッピングモーターがついているから静かで速いオートフォーカスだな」「色収差に強いガラスがつかわれているぞ」など、おおよそのレンズの特長が把握できるようになっています。
それぞれの用語の解説は「ニッコールレンズテクノロジー」で説明されているので、レンズ選びの参考に是非一度見ておくことをおすすめします。1本のレンズのなかにこれほどの技術が詰め込まれていると思うと、レンズを使うときの気持ちも少し変わってくるかもしれませんね。
備わっているすべての機能がここに略称化され載っているわけではありませんので、それぞれの製品について細かく知りたいのであればサイト内にある各レンズの詳細ページやカタログを確認するのが一番です。代表的な機能として何が備わったレンズなのかを見たいのであれば、まずはここを確認してみてはいかがでしょうか。
レンズにはいろいろな場所にいろいろな数字やマーク、スイッチなどの機能がついています。ここではそんな、レンズの各部位の名称とその用語について解説します。それぞれの部位がどんな意味や機能を持つものなのか知っておくと、使いこなしにさらに磨きがかかるかもしれません。
①フィルター径
レンズに取り付けるフィルターやレンズキャップの直径を表す数値で、購入時はこの数値を確認しましょう。単位はmmで表します。
②フード着脱指標
レンズフードの着脱の目印です。
③フォーカスリング
MF(マニュアルフォーカス)の際、このリングを回しながら手動でピント合わせを行います。
④ズームリング
ズームレンズの場合、このリングを回すことで引いたりズームをしたり、画角を変えることができます。
⑤距離目盛
最短撮影距離から∞(無限遠)まで、被写体までの距離を表す目盛です。ピント合わせの参考にします。
⑥レンズ名
F マウントレンズとZ マウントレンズではレンズ名の表記方法が異なります。Z マウントレンズには、「焦点距離/開放F値」が記載されています。
⑦焦点距離目盛
広角側から望遠側まで、そのズームレンズの焦点距離を表示しています。ズームリングを回しながら、白い点(焦点距離目盛指標)の位置に合わせた場所が現在の焦点距離になります。
⑧レンズ着脱指標
レンズの着脱目印です。
⑨CPU信号接点
AF(オートフォーカス)などを作動させるためのカメラとレンズをつなぐ信号接点です。
⑩フォーカスモード切り替えスイッチ
自動でピントを合わせるAF(オートフォーカス)と手動でピントを合わせるMF(マニュアルフォーカス)を切り替えるスイッチです。
⑪手ブレ補正スイッチ
手持ち撮影などで起きるブレを補正する手ブレ補正機能をON、OFFにするスイッチです。手ブレ補正機能はレンズ側だけでなく、カメラボディー内で補正するものもあります。
⑫コントロールリング
このリングを回転させると、絞りや露出補正などカメラで設定した機能を使用することができます。
⑬レンズ情報パネル
撮影距離や被写界深度、絞り値などの情報を表示します。
⑭表示切り替えボタン
レンズ情報パネルに表示する情報を切り替えたり、設定を行ったりする際に使用します。
⑮L-Fnボタン
あらかじめカメラで設定しておいた特定の機能をこのボタンで行うことがきます。
知れば知るほど奥が深く、そして進化していくレンズの技術。機能も使い勝手も納得の、お気に入りの1本を見つけて撮影を楽しんでくださいね。