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Lesson10:レンズの扱いかたの基本

カメラが変わっても使い続けることができ、用途に応じて増やしていくこともできるレンズ。快適な撮影を長く楽しんでいただくためにも、正しいレンズの扱いかたやお手入れ方法を知ることが大切です。
レンズを扱う上で注意したいポイントは大きく分けて以下の3点です。

  1. 大きな振動を加えない
    レンズは外からの大きな振動によって故障してしまうことがあります。落としたりぶつけたりしないようにしましょう。
  2. カビ対策をしっかりとる
    レンズにカビが生えることがあります。保管時の水分や湿気などに注意を払いましょう。
  3. 接続部分を汚さない
    レンズとカメラの接続部分はとてもデリケートです。CPU信号接点()などを汚さないようにしましょう。
※CPU信号接点

ニッコールレンズのうちCPUを内蔵しているレンズを「CPUレンズ」と呼びます。CPUレンズにはカメラに装着する部分(レンズマウント)に信号接点があります。

これらを念頭に置きながら、今回は一眼レフカメラとレンズを手に入れたらまず知っておきたい、正しいレンズの扱いかたの基本について学んでいきましょう。

レンズとフードの着脱方法

レンズの着脱方法

レンズ着脱(交換)時の注意

レンズを着脱(交換)する際は、カメラの中にほこりなどのゴミが入らないように、カメラのマウントを下に向けて行います。またレンズ交換は平らな場所で行い、交換したあとのレンズは必ず立てて置くよう心がけましょう(不用意に横に置くことでの転落防止のため)。

レンズの装着方法

レンズとカメラ、それぞれについている「レンズ着脱指標(白い点)」同士が合わさる位置からレンズをカメラに差し込み、矢印の方向に回します。カチッと音がし、しっかりレンズが固定されたら装着完了です。

レンズの取り外し方法

カメラの「レンズ取り外しボタン」を押しながら矢印の方向に回すことで、レンズを取り外すことができます。外したレンズには、すぐ裏ぶたをつけるようにしましょう。

レンズフードの着脱方法

レンズフード着脱の目印

フードを着脱する際には、レンズにある「フード着脱指標(白い点)」とフードにある「フード取り付け指標()」、「フードセット指標()」を目印に行います。

※「フード取り付け指標」、「フードセット指標」といった着脱時の目印となるマークの呼称は、レンズの種類によって変わる場合があります。詳細はレンズの説明書をご確認ください。

フードの装着方法

フードの根元部分をしっかりと持ち、レンズ先端にある「フード着脱指標(白い点)」とフードにある「フード取り付け指標()」を合わせてはめます。「フード着脱指標(白い点)」と「フードセット指標()」が合うまでフードを回し、カチッと音がしてしっかりフードが固定されたら装着完了です。
フードが正しい位置についていなかったり、違うレンズのフードを取りつけてしまったりすると「ケラレ」が生じる場合があるので注意しましょう。

フードの取り外し方法

フードの根元部分をしっかりと持ち、装着時と逆方向に「フード着脱指標(白い点)」と「フード取り付け指標()」が合うまで回すことでフードを取り外すことができます。なお、「フードロック解除ボタン」がついているフードもありますので、その場合はフードロック解除ボタンを押しながら回すことで外すことができます。

フードを逆さ向きに装着する方法

カメラバッグに入れて持ち歩くときなど、コンパクトに収納できるようフードを逆さ向きに取りつけることができます。通常の装着時と合わせる指標が逆になり、まず「フード着脱指標(白い点)」と「フードセット指標()」を合わせ、「フード取り付け指標()」まで回して装着します。

レンズフードって必要なの?

フードなし:画面が白っぽくなるフレアが起きています

フードあり:フードをつけることでフレアを軽減することができました

半逆光での撮影時など、太陽が直接画面内に入らなくても太陽からの強い光がレンズに当たることで、ゴースト(光の玉のようなものが画面内に写る現象)やフレア(画面全体や一部が白っぽく写りコントラストが低くなる現象)が発生してしまうことがあります。レンズフードは写真に悪影響を及ぼす光をカットする効果があるため、装着することでゴーストやフレアの発生を軽減することができるのです。
また、不意に指でレンズを触ってしまうのを防いだり、雨の日につけることで多少の雨よけになったりもします。撮影時は常につけておくとよいでしょう。

持ち運びかた

移動するときの持ち運びかた

移動中は、カメラとレンズの保護のため、カメラバッグに入れて持ち歩くとよいでしょう。レンズキャップは忘れず装着し、フードは逆さ向きにつけておくとよりコンパクトに収納することができます。
リュックタイプ、ショルダータイプなど様々なタイプのバッグがありますが、どれも外からの衝撃を和らげるような構造になっています。レンズ同士が鞄の中でぶつかり合ってしまわないように、間にクッションを挟むなどして収納しましょう。

カメラバッグ、リュックを探してみよう

撮影中の持ちかた

撮影中はカメラを落とさないよう、ストラップをしっかり首にかけて持ち歩きましょう。ストラップを肩にかけて持ち歩く場合は、カメラが外側を向いているとレンズが出っ張るため、どこかにぶつけてしまってはレンズにとっても周囲にとっても危険となります。カメラが身体の内側に向くようにかけましょう。

カメラバックに入れておくと便利なもの

撮影中についたほこりや水滴などを払うために、簡単なレンズの清掃グッズをカメラバックに入れておくと安心です。以下のものを用意しておくのがおすすめです。

ブロアー

レンズ表面(フィルター面)だけでなくレンズ全体、カメラ本体などについてしまった砂やほこりを取る際に使用します。

乾いたきれいなタオル(クリーニングクロス)

レンズについた汚れや水滴などが気になったときにあると便利です。汚れが気になる場合はレンズをこするのではなくタオルでさっと払うように取り除き、レンズについた水滴は吸い取るように使いましょう。

撮影中の掃除のしかた

レンズの中央から外に向かって吹くようなイメージでほこりをふき飛ばします

撮影中にレンズ表面に付着したほこりや指紋などは、写りに影響がない限りそこまで神経質になることはありません。撮影後にしっかりとメンテナンスをすれば問題はありませんが、どうしても気になるようであればブロアーやタオル(クロス)で軽く取り除くとよいでしょう。
ブロアーは、先をレンズ面など汚れの気になる部分に向け、指で押しながら風圧で汚れをふきとばします。それでも落ちない場合は、タオルで軽くさっと払うように取り除きましょう。万が一タオル(クロス)に汚れなどがついたままでレンズをふくと傷がついてしまう場合があるので、注意が必要です。
レンズに水滴がついてしまった場合は、その都度取り除いてあげましょう。軽くタオルをポンポンとあてるように、やさしく水滴を吸い取りましょう。

撮影シチュエーション別、気をつけたいレンズの使いかた

砂ぼこりの立ちやすい場所

運動会などの校庭でのイベント、野球場や土手など砂ぼこりの立ちやすい場所では、レンズ交換時にカメラやレンズのフィルター面に砂が入ってしまうことがあるため、基本的にレンズ交換をするのはおすすめできません。自宅などであらかじめレンズを装着して来るとよいでしょう。
とはいえ交換したい場面も出てくると思います。その場合は風が吹き込まない建物の中や、風が防げるような壁の前などで行うようにしましょう。やむを得ずその場で交換しなければならない場合は、風上を背にして素早くレンズ交換をしてください。
万が一、砂がレンズ面やフィルター面についてしまい写りに差し障りが出るようであれば、ブロアーでその都度、砂を吹き飛ばすようにしましょう。フィルター面を掃除する際は、風が吹き込まない建物の中で行うようにしましょう。

海の近く

海岸沿いや砂浜での撮影、海水浴場での記念撮影など海の近くで撮影をする場合も、レンズ交換の際には海水や砂が入り込まないように注意が必要です。また砂がレンズ面などについてしまい気になるようであれば、ブロアーでその都度吹き飛ばしましょう。
海水は塩分を含むため、レンズに海水がついてしまった場合はその場で簡単に掃除をします。まずきれいなタオルを真水で濡らしかたく絞り、海水で濡れてしまった部分をふき取ります(レンズ面に海水がついた場合は、指先にタオルを巻きつけくるくると円を描くようにふきます)。その後、乾いたきれいなタオルで水気を取り除きましょう。海の撮影ではレンズ面に直接海水がつくのを防ぐため、あらかじめ水や汚れをはじいてくれるレンズ保護フィルターをつけておくのもおすすめです。
なお海水や砂などで汚れたレンズは、帰宅したあとに再度きちんとメンテナンスを行いましょう。

雨の日

雨の日の撮影、また滝の近くなど水しぶきが飛ぶような場所での撮影は、レンズを濡らさないような対策をしてくることが大切です。
雨対策として、雨に濡れないようカメラを守ってくれるレンズカバーなどを装着しておくと便利です。また、レンズフードはレンズ面の水滴よけにもなるため忘れず装着しましょう。レンズ面に雨粒がつき写りにも影響してしまうようであれば、その都度かわいたタオルで軽くふき取るようにしましょう。レンズ保護フィルターをつけておくのも有効です。
なお、濡れたままレンズをしまうと部品がサビつくなどの故障にもつながるため、撮影後はしっかり乾燥させてからしまうようにしましょう。

気温差のある場所を移動するとき

たとえば暑い夏の日の屋外から冷房の効いた室内へ、逆に寒い冬の暖房の効いた室内から屋外へ出る際など、温度差のある場所をカメラを持って移動する場合、急な温度変化によりレンズが結露してしまうことがあります。結露はレンズ内部を曇らせてしまい、一度曇ると“曇りぐせ”がつきやすくなりカビの原因になる恐れもありますので、カメラとレンズを急激な温度変化にさらさないよう配慮することが大切です。
おすすめなのは、徐々に周囲の温度にカメラとレンズを慣らしていく方法です。

  1. 温度の違う場所に移動する前にまずバッグにカメラとレンズをしまう
  2. そのまま移動する
  3. 移動先でバッグのふたを開け、そのまま置いておく
  4. バッグの中の温度が移動先の温度とほぼ同じくらいになったらカメラを取り出す

少し手間に思うかもしれませんが、こういった手順を踏むと結露ができにくく安心です。
なお、移動先でバッグのふたを開け置いておく際、クーラーやヒーターの前など、急激な温度変化をうながしてしまうような場所は避けましょう。

レンズ保護フィルターってなに?

高い撥水効果で水滴をよくはじくレンズ保護フィルター

レンズ前面に装着することで、撮影中に付着する汚れからレンズを守ってくれるレンズ保護フィルター。砂やほこり、指紋などもつきにくく、また汚れがついてもすぐに落とせるといった利点があります。雨の日の撮影では高い撥水効果により水滴がつきにくく、付着してもすぐに落とすことができます。汚れが気になるような撮影場所では、おすすめのアイテムです。

レンズの保管方法

カメラとレンズはどのようなところに保管しておけばよいのでしょうか。 保管時に一番注意したいのは、レンズにとって大敵となるカビです。カビは湿気の溜まりやすい場所を好みますので、高温多湿の場所はくれぐれも避けて保管しましょう。また、直射日光の当たる場所、防虫剤のあるところもカメラの保管に好ましくありませんので注意しましょう。
中には撮影から帰ったら機材一式をカメラバッグにしまいこんだまま置きっぱなし、という方もいるのではないでしょうか。密封されたバッグの中はカビが発生しやすくなります。普段から頻繁にカメラを使っていればよいのですが、使う頻度が少ない場合はバッグから出して正しく保管してください。それでも、ずっとどこかにしまい込んでおくのはレンズによい環境とはいえません。定期的に取り出して、撮影を楽しんでくださいね。

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