非常にコンパクトでありながら超広角域をカバーするAF-P DX NIKKOR 10-20mm f/4.5-5.6G VRを用いて、飛行機や風景を撮影しました。フルサイズ換算15-30mmという超広角から広角をカバーするレンズで、肉眼の視界よりも広い範囲を撮影することが出来ます。被写体と背景の処理などを勘案しながら撮影をしてみましょう。
撮影・解説:KEN五島(五島健太郎)
飛行機と格納庫
羽田の格納庫にシップインしてくる飛行機を撮影しました。背景を流さずに飛行機・格納庫両方を写し止めたかったので、三脚を用いつつISO2000に設定をして撮影をしています。超広角域では被写体のデフォルメが大きくなってきますが、このカットでは飛行機を見上げつつ水平を出し、飛行機の形状が必要以上にデフォルメされないように意図をしています。右側から左へ進む飛行機と格納庫の形状がちょうどよいバランスとなった時にシャッターを切りました。
作例2、作例3は、作例1の前後のカットになります。作例1は機体に正対をしていますが、この2作品は機体に対し斜めになっています。その為、作例2は空が、作例3は格納庫の内部がより強調される描写となっています。また作例3は航空灯の閃光がシャッターと同調し、赤い光が加わることで華やかな印象となりました。
《作例4》格納庫からのシップアウトの準備が整った飛行機を撮影しました。足場に乗り、垂直尾翼とほぼ同じレベルから飛行機を見下ろす形で撮影を行っています。このレベルを確保することで、カメラの垂直水平を出し地面と天井のバランスを取り、飛行機を構図の真ん中に配置することが可能となりました。そのため、格納庫の壁面が垂直となり、デフォルメを最小限にした表現となっています。超広角10mmでの撮影のために尾翼辺りが少し大きく写っていますが、これが飛行機の造形に力強さを出してくれました。
《作例5》このカットは地面に立ち、カメラの垂直水平を出して撮影した作品です。アイレベルでの撮影でカメラを見上げていないため、格納庫の壁面は垂直ですが、床面の構図内の割合が大きくなります。この構図内の割合を調整するには撮影時の高さを変化させる、カメラを上に向けて見上げた構図とする、などがあります。
風景
不忍池を10mm端で撮影。手前の蓮の葉から奥の構造物まで繋がっていく様に留意しています。
アオリ効果
新宿のビル群の夜景を撮影しました。通常ビルの上部を写そうとするとカメラを見上げての撮影となりますが、今回はカメラ内[アオリ効果]という機能を使ってみましょう。この機能を使用することで、PCレンズを使用した様なアオリ効果を得ることが出来ます。
風景作例
《作例9》手前の石垣から中央の階段、奥の森までを10mm域を使用して撮影しました。こうして至近から奥まで被写体を連続させることで、超広角の広さが強調され迫力のある描写とすることが可能となります。
《作例10》手水の水が流れ落ちる光景を、液晶モニタのチルト機能を使用して撮影。地面近くにカメラを構えても構図決定が簡単に行うことが出来ました。
格納庫に佇む機体の背景に夕陽が輝くシーンを撮影しました。20mm域を使用しての撮影です。
AF-P DX NIKKOR 10-20mm f/4.5-5.6G VRは非常にコンパクトなフルサイズ換算15-30の超広角レンズです。フルサイズ用の同様焦点距離レンズは筐体が大きいですが、このレンズのコンパクトさは優れた取り回しでシャッターチャンスを逃さないでしょう。画面隅々まで高解像度な描写をしてくれるのも嬉しいポイントです。
撮影協力:日本航空株式会社