広角から望遠までの焦点距離を兼ね備えたAF-S DX NIKKOR 18-140mm f/3.5-5.6G ED VRなどの望遠ズームレンズを使用すると、1本のレンズで様々なシチュエーションに対応することが可能になります。カメラボディと望遠ズームレンズの組み合わせはコンパクトで負担になりません。スナップや風景写真の作例を参考に、撮影を楽しんでみましょう。
撮影・解説:KEN五島(五島健太郎)
風景
レインボーブリッジのライトアップが終了した深夜、お台場の夜景を長時間露光で撮影を行いました。30秒の露光をかけることで海面がなめらかに描写され、東京タワーの輝きが水面に美しく反射しています。広角と望遠、両方を使用し撮影を行いましたが、レインボーブリッジや東京タワーの骨組みが精細に表現されており、光の美しさと構造物の質感を写し取ることが出来ました。こうした長時間露光を行う時は頑丈な三脚を用い、レリーズかセルフタイマーでシャッターを切りましょう。状況に応じ、ミラーアップ機能や露出ディレーモードを使用すると微細なブレを軽減することが可能となります。
また、こうした風景写真の場合は水平を意識してフレーミングしましょう。カメラ内の水準器機能を使用すると便利です。
不忍池で広角18mmを使用し、手前の蓮と奥の構造物との遠近感を意識してフレーミングを行いました。この写真では新緑の緑の鮮やかさを表現する為に新搭載のピクチャーコントロール[オート]を使用しました。コントラストをやや強めに表現しつつ、緑だけでなく少し見えている蒼空の濃さを出せる様に意識しました。
スナップ
《作例4》琵琶の絵馬の色合いが大変美しく、中間域の焦点距離を用いて絞り開放で撮影しました。心願成就の文字にピントをあわせ、前後をぼかすことで立体感が出るようにしています。ピクチャーコントロールの[オート]を使用し、赤と茶色、背景の緑が鮮やかに表現されました。
《作例5》不忍池弁天堂のかたわらに佇む地蔵尊のお姿を、望遠端140mmを用いて撮影しました。お体の金属の質感を表現し、色彩の鮮やかさを活かせるよう意識しています。構図を少し傾けることで地蔵尊の視線の向きや手の位置に動感が出る様留意しています。
風鈴の金魚の姿に心魅かれて撮影した一枚。全体に落ち着いた色調の中、金魚の鮮やかさと風鈴のガラスの質感をメインに表現しつつ、開放撮影をすることで左から右へのボケの量の差を活かした構図構成としました。
屋内スナップ
トルコランプの美しさに魅かれ、撮影を行いました。作例7は通常のアイレベルから撮影した作品、作例8はチルト機能を使用し腕を大きく上に伸ばし構図確認をしながら撮影をしています。見上げた感じでなく、トルコランプと平行の位置から撮影した様に写っています。チルト機能がないと構図確認が難しいシチュエーションですが、こうしてチルト機能を活かして撮影を行うことで従来勘に頼るところがあったような難しい場面でも確実な構図を得ることが出来る様になりました。
露出補正作例
池のほとりに咲く紫陽花にレンズを向けてみました。
《作例9》通常の露出ですと背景の池がシャドーに浮かび上がり、花びらの部分は白トビを起こしてしまいます。そこでマイナス補正をかけ、花びらの色と質感が瑞々しく写り背景が沈む露出として撮影を行いました。
《作例10》では、池に住む鯉の姿を構図内に入れることで構図内の要素を多様にしてみました。花びらに露出をあわせているので池の部分は大きく沈み込んでいますが、鯉の姿が浮かび上がり躍動感をもたらしてくれています。
《作例11》参道横にたたずむ御仏を撮影しました。木漏れ日が美しく降りそそぐ中、石の質感と背景の緑と赤の鮮やかさを出せる様に撮影をしています。
《作例12》谷中の下町の風情に魅かれ、谷中せんべいのお店を正面から撮影しました。ハイライトからシャドーまでよく粘ってくれることで、お店の雰囲気がよく表現されています。
風景作例
《作例13》城南島から、羽田空港B滑走路へアプローチしていく飛行機を撮影しました。構図内に砂浜と歩く親子、上空の飛行機、背景の海と空港と様々な要素を入れ込んで撮影を行っています。蒼空の鮮やかさが印象的な一枚となりました。
《作例14》羽田空港の格納庫、出発を待つ大型機を手前に、背景には今まさに離陸していく飛行機を配置。夕刻の印象的な光の中、様々な物語を感じることの出来る写真となるように意識をして撮影しました。
AF-S DX NIKKOR 18-140mm f/3.5-5.6G ED VRは広角から望遠の幅広い焦点距離をカバーしつつ、全域で高い性能を持つ手軽に使いこなせるレンズです。日常のスナップや風景写真など、様々な分野で活躍してくれます。まずはカメラとこのレンズ一本の組み合わせで、いろいろな被写体を撮影してみましょう。
撮影協力:日本航空株式会社