ニコンユーザーがCapture NX 2を使うべき理由。
同じニコンの商品ということで、ニコンのカメラユーザーがこのCapture NX 2を使うメリットはありますでしょうか?
メリットと言うより、ニコンのカメラでRAW撮影を行うなら、現像にはCapture NX 2を使うべきでしょう。
色空間や[ピクチャーコントロール] [ホワイトバランス]設定など、ニコンのカメラが持つさまざまな特性や設定をきっちり読み込んで現像してくれるのは、現在このCapture NX 2だけです。
ニコンのカメラの写りや色を信用して使っているのに、他社のソフトのアルゴリズムで現像するということは、極端な言い方をするとニコンのカメラの特性を捨てているようなものです。
具体的にはどのようなことでしょうか?
例えば倍率色収差。D3やD3X、D700などには倍率色収差を軽減する機能があるので、ユーザーは当然軽減されるものと考えRAW撮影していますよね。しかし他社のソフトで現像するとこの設定が反映されない、つまり機能自体の意味が無くなるわけです。
ニコンのカメラは優れているので、ハードの性能によってある程度抑えることは可能ですが、Capture NX 2を使えばさらにクリアでシャープな画像に仕上げることができます。
長年カメラをお使いの方でも、このような現像に対する知識がないためにカメラの機能を無駄にしているケースも多いようで、とても残念です。
右図:他社カメラとニコンのカメラの倍率色収差の比較
同クラスのカメラを使い、同条件で撮影。(画面隅を200%に拡大したもの)
・絞りF2.8 開放/焦点距離16mm(ズームレンズ使用)
・JPEG撮影(撮りっぱなし)
今RAW現像の話が出ましたが、以前のバージョンとCapture NX 2では現像結果が異なりますか?
アルゴリズムが進化しているので、現像結果も良くなります。現像液が変わるようなものですね。
それに以前撮影したRAW画像をCapture NX 2で現像すると、最近のカメラに搭載されている[ピクチャーコントロール]や[ビネットコントロール]といった設定を反映することも可能になります。つまりD3やD300で撮影した画像にかなり近い画を楽しむことができるわけです。
古いカメラだからと使わずにいてはもったいない。Capture NX 2で現像すれば、まだまだ問題なく使えます。
おそらくニコンのデジタルカメラは、最初の設計が良かったのでしょうね。はじめからいい加減な設計だと、どこかで以前の技術や画像を切り捨てねばならなくなります。実際にそのようなメーカーもあると聞きます。
ニコンのカメラで撮影する際、RAW撮影しておけば、将来さらに優れたアルゴリズムをもったCapture NXが開発されたとき、今見る以上にきれいに現像できることでしょう。
初心者にもすすめられる幅広い機能。
Capture NX 2はどんな人にすすめられるソフトでしょうか?
ニコンに限らず、あらゆるデジタルカメラのユーザーにおすすめできます。
使ってもらえば、これまで他のソフトで四苦八苦していた作業があっという間にできるという感動を実感できることでしょう。
ニコンから発売されているため、ニコンユーザーのみを対象としたソフトと思っている人も少なくないようです。しかし他社のカメラで撮影したJPEGやTIFFといった画像でも、RAWを現像する際に使用するパラメーター以外のほとんどの機能が使えるので、多くの人にぜひ使って欲しいですね。
補正例:顔のゆがみと明るさの補正
これから画像補正を行おうという初心者に適した機能はありますか?
画像補正の初心者で、先ほどお話しした[選択コントロールポイント]などが難しく感じられる方は、まず画像全体を簡単に補正する[クイックフィックス]といった機能から始めてみてはどうでしょう。
通常、画像の階調補正には[トーンカーブ]が用いられますが、初心者にはわかりにくい。[クイックフィックス]なら[トーンカーブ]の下に現れるスライダーで画像をコントロール。ヒストグラムの意味を理解する上でも、良い機能です。
それから[ピクチャーコントロール]といった設定も、フィルムを選ぶように簡単に写真表現の幅を広げることができるので、初めての方向きです。
([ピクチャーコントロール]の選択設定は、RAW現像時の機能です。)
画像処理の経験がある方はどうでしょう?
まずはCapture NX 2の特長を知るために、[カラーコントロールポイント]で部分的な色調補正を試してください。
慣れてきたら、[選択コントロールポイント]で[ノイズリダクション]や[D-ライティング]といった効果をかけてみましょう。
そしてプロはまず、パソコンに画像を飛ばすことを覚えましょう。そして自らの画像処理する負担を減らすことに、Capture NX 2を利用してください。
このようにCapture NX 2は、どのレベルから入ってもすぐに活用できる機能が満載です。カメラメーカーでここまでのソフトを作ってくれる会社はなかなかありません。
とにかく、プロから初心者までそれぞれのレベルで使える、非常に間口の広いソフトと言えるのではないでしょうか。
今の時代の写真家のために開発された多機能ソフト。
あらためておうかがいしますが、三浦さんにとってのCapture NX 2はどのようなソフトでしょう?
私には、画像補正をするためにCapture NX 2を使っているという意識はありません。
これまで私を含め多くの写真家は、より良い写真を撮るために撮影前のセッティングには時間をかけてきました。しかしとにかく仕事にスピードが求められる現在、効率化できる部分はできるだけ効率化をしたい。Capture NX 2はそれを可能にする撮影支援シミュレーションソフトです。
どうしても補正が難しいようなケースでは完璧なライティングを行いますが、先ほどお話ししたように若干ライティングに問題があってもその調整のために時間が取られるようなら、その状態のまま撮影。後から気になる部分だけをCapture NX 2で補正する、といったことも行っています。このことで写真のクオリティが落ちることはありませんし、逆に今まで細かなセッティングにかけていた時間は大幅に短縮されます。
また補正においても、イメージ通りの選択範囲を一つ作るのに数十分もかかる画像処理ソフトでは、仮に撮影時間を短縮したところで結局トータルの手間や作業時間は変わらないことになります。クリック一つで自然な選択範囲を作ることができるCapture NX 2だから、はじめて仕事の効率化が行えるのです。
なぜCapture NX 2だけ、このような選択方法ができるのでしょう?
現在ある多くの画像処理ソフトは、フィルムでの作業工程をデジタルに置き換えただけで、概念は一昔前のものと言わざるを得ません。特に長年使われ続けているソフトであるほど、基本的な構造を変えにくいと思います。
例えば一般的な画像処理ソフトの基本として「部分的に補正を行う場合は、選択ツールなどでその部分を囲んでから補正効果をかけるように」といわれます。しかしそのように補正を行うと、補正した部分は周囲から浮いて見えてしまいます。
これは従来のソフトが、「写真は平面」という観点を前提に設計されているからでしょう。
本来画像は、色相、彩度、明度といった立体的で多元的な深度や空間性を内在した要素で構成されています。Capture NX 2では、コントロールポイントを置いた部分のこれらの要素を解析・判断して、インテリジェントに調整範囲を作ってくれます。
この基本概念の違いが、他のソフトとの決定的な違いです。
そして、撮影にまつわる作業がワンストップで効率的に行える点も、大きな違いですね。
やるべき作業が増えると、その分仕事の料金の割り増しが必要になります。だからといって実際に料金を高くしては、仕事を失います。
対してCapture NX 2で効率化を図れば、作業量や作業時間を減らすことができ、不満なく仕事ができます。クライアントにも良いことですし、写真家にとっても信頼を得ることにつながります。
ソフトも使い方によって、自分の仕事そのものが変わるのです。
このようなソフトが実売2万円前後。かなりコストパフォーマンスの高いソフトだと思います。機能に見合うように、もっと価格を上げた方がありがたみが出たのではないかと考えるくらいです(笑)。
時は金なり、といいます。画像処理をするのが、私たち写真家本来の仕事ではありません。
何を写すのか、何を表現するのかを明確にすることが仕事です。他の画像処理ソフトを使用している方々には、本来の仕事のクオリティを上げるためにも、ぜひ使ってほしいですね。
今や画像処理は、写真家にとって重要な作業です。しかしそれもあくまで、多くの仕事の中の一部。デジタルインフラの急激な整備にともない、写真家に課せられる責任は日増しに大きくなっています。
そんな状況に対応すべく、Capture NX 2は単なる画像処理ソフトではない、写真家の仕事全般をサポートするツールとして使用されているとのことでした。
今後も仕事の精度とスピードアップが要求されるであろうメディア業界。写真家用に特化したこのソフトによって、写真家のワークフローは大きく変化するかもしれません。
三浦 健司 みうら けんじ
1956年 北海道生まれ。
大手出版社・広告代理店・情報出版社等のフォトグラファーを経て1991年独立。エムツー代表。以後、広告から出版にいたる広い範囲で活躍。得意分野は伝統工芸、IT産業、最先端テクノロジー。作家活動は、1970年から桜を中心に日本各地の自然を撮り続ける。写真展やカメラ雑誌への掲載も多数。所蔵点数は約10万点。
デジタルカメラはニコンD1から。理由はフィニッシングソフト、Nikon Captureに「デジタル時代の未来を見たから」。以降、RAWモード撮影と、その現像テクニックの普及に勢力を注ぎ、「ニコン塾」や「PHOTO IMAGING EXPO」などでNikon Captureに関するセミナー講師を勤める。また、同時にCapture NXに関する執筆も多数こなす。日々「写真が楽しくなるフォトフィニッシング」を信条に、新たな画像調整テクニックを開発中。
主な英文出版物
講談社インターナショナル
1981 | The Genius of Japanse Design(日本の文様) |
1983 | SHIBORI(有松絞り) The Inventive Art of Japanese Shaped Resist Dyeing |
1984 | KOREAN FURNITUER(朝鮮の家具) Elegance and Trdition |
1984 | TANROKUBON(丹緑本) Rare Book of Seventeenth-Century Japan |
1985 | YOSHITISHI(芳年) |
1986 | UTAMARO(歌麻呂SHARAKU(写楽) |
ANA WINGSPAN ANA国際線機内誌(英語版)
1995 | 特集 Hardly a Pipe Dream(FAMILY ALBUM) 親子三代パイプ作り物語 |
2002 | 特集 Hokkaido The cheese Frontier 北海道・チーズの開拓者(半田ファーム) |
2003 | 特集 Almost a Dynasty (FAMILY ALBUM) 親子三代陶芸家 山本 出 |
2007 | 特集 CRYSTAL IN THE MOUNTAINS (ガラス工芸)月夜野ガラス |
2007 | 特集 JUST ART (Japanese Things)鹿児島・菖蒲園 |
2008 | 特集 HOT SPOT FOR POTS (Japanese Things) (陶芸/益子焼) |
IKEBANA INTERNATIONAL
2002-2003 | EMBROIDERED GARDENS OF FLOWERS |
2002-2003 | Photo essay Rain |
2003-2004 | Photo essay Sakura |
2003-2004 | Five Contemporare Japanese Potters |
2003-2004 | KUNIHARU The Cutting Edge of Technology |
2003-2004 | The Japanese Morning Glory |
2004-2005 | Coloes of Delight The Japanese Art of Paper Embellishment |
2004-2005 | Rozashi Needlework of Dreams |
2004-2005 | Photo essay Higanbana |
2004-2005 | Contemporary Japanese Art of Glass |
2004-2005 | Photo essay A Song of Antumn |
2005-2006 | Subtle Elegance |
2005-2006 | Silk Unraveled |
2006-2007 | Photo essay Water Landscapes |
2006-2007 | Life with Furoshiki |
2006-2007 | NINTH WORLD CONVENTION 2006 |
2005-2006 | Photo essay Mirrors of Life |
2005-2006 | Kumihimo A Creative Approach to japaanese Braiding |
2007-2008 | The flowers that bloom in the spring |
淡交社・Weatherhill Inc
1990 | The WAY OF THE CAROENTER(日本の大工道具) Tools And Japanese ARCHITECTER |
日本語
文化出版局
1995 | 北村光世著「ハーブさえあれば」表紙用カット撮影 |
2002 | 赤岩 保著「my made 表装」全カットデジタル撮影 |
2005 | 寺村裕子著「植物染料による絞り染め」全カット撮影 |
テレビ東京
1989~1991 | テレビ番組「極める」 人間国宝の方や伝統工芸保持者の撮影。 |
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