行楽シーズン到来、ハイキングを楽しみながら写真を撮ろうと訪れたのは近郊にある山。ハイキングを趣味のひとつとして楽しんできた真一郎ですが、カメラを持ってきたのは初めて。遠く広がる雄大な山並み、日差しにきらめく青々とした木々、小さな花をつけた可憐な山野草など、山に来るたび心奪われる美しい風景をいつかカメラに収めたいと思っていたようです。そんな風景を感動のままに、ダイナミックにとらえるためには何かコツがあるのでしょうか?
撮影監修:斎藤 勝則
山で撮影をする場合、すべての機材を背負って移動しなければならないため、機材の重さが登山中の負担にならないよう最低限の機材だけで収めたいところ。そこでおすすめなのが、広角から望遠まで1本でカバーできる高倍率のズームレンズ。これ1本で山で出会う様々なシーンに対応することができます。
余裕があれば、プラスしてマイクロレンズを1本持っていくと良いでしょう。クローズアップの撮影だけでなく、単焦点レンズならではの美しいボケを活かした撮影も可能で、ズームレンズとはまた違った描写で風景写真を撮ることができます。
風景写真では「水平」をきちんと取ることが基本となる。D7100ではライブビュー撮影時に水準器が表示できるので利用したい
メモリーカードが2枚挿せるダブルスロットは、登山など長時間にわたって撮影するようなシーンでは重宝する。一方のカードが一杯になっても自動的に次のカードに記録できるので、山道でカードの差し替えといったわずらわしさを忘れて撮影に打ち込める
山での撮影で押さえておきたいのは、やはり山頂から見下ろした雄大な景色。とはいえ、山道を登りながら、あるいは下る途中にも面白い被写体に巡り合えるかもしれません。足元を観察したり、頭上を見上げてみたり、時には目線を変えて被写体を探してみましょう。
ここでは、目線の高さから撮影したアングル、見上げるように撮影するローアングル、見下ろして撮影するハイアングルと、3つのアングルで撮影した作例を紹介します。
形が誇張されることなく、一番自然な表現で風景を撮ることができるアングルです。山道や山並みなど、美しいと感じるものを素直に正面からとらえることができます。
樹木の高さや力強さを演出したり、下から見た枝や葉の形の面白さを撮影したりすることもできるアングルです。広角で近接して撮影することで、迫力のある描写を楽しめます。
山野草や昆虫など、小さな被写体を撮影する際はマイクロレンズがおすすめです。また、上から俯瞰気味に撮影することで、木の根や植物などを模様のように切りとったり、造形の美しさを強調したりすることができます。
山並みをダイナミックに写すならば、広角で奥行きを出し、絞り込んで前景から奥までピントが合うように撮影するのがおすすめです。また、三脚を使い、水準器でしっかりと水平を取ってから撮影することで、写真全体の安定感が増します。
そして一番のポイントは、ピクチャーコントロールを「風景」に設定することです。「スタンダード」に比べ、鮮やかながら深みのある色合いを表現するモードで、緑色が生き生きと鮮やかになり、迫力ある山並みを写すことができます。
なお、三脚を使う際は周囲の迷惑にならないよう、また足場のしっかりした広い場所で撮影を行いましょう。
ただ漠然と山並みを撮るのではなく、前景、後景を意識し構図を決めると写真に奥行きや広がりが出やすくなります。
D7100で採用されている「DXフォーマット」では、装着レンズの約1.5倍の焦点距離のレンズに相当する(※)撮影画角になりますが、今回、D7100に搭載された「対DX1.3×クロップ」を使うと、装着レンズの約2倍の焦点距離(※)の撮影画角を得ることができます。つまり、離れた位置の被写体を、より大きく写すことができるようになるのです。
山道から外れた位置にある花を撮影する際など、撮影場所が制限されるシチュエーションや近づくことが難しい場所を撮影する場合にとても便利な機能です。この大きさでは少し迫力に欠ける、あと一歩近寄れたらいいのに……。そんな時にぜひ試してみたい機能ですね。