第72回ニッコールフォトコンテスト

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ネイチャー(自然・風景)部門(単写真)

金賞
銀賞
銅賞
入選
応募点数 1,935点
講評 上田 晃司

講評 ニッコールクラブ アドバイザー 上田 晃司

生命と風景が描く地球の美しさが感じられる

 今回初めて、ニッコールフォトコンテストの審査員を務めさせていただき、驚くほど多くの力作が揃っており審査は良い意味で大変でした。ニッコールフォトコンテストは多くの様々なジャンルの先生が評価と審査をするためネイチャー作品も様々な作品が選定され、全ての審査員の投票で上位が決まっていきます。特に上位になっていくと票も割れていきますが、今回金賞を受賞した作品は、多くの審査員の目にとまりすんなりと賞が決まりました。
 金賞を受賞した土屋 瞳さんの「夢の世界へ」は、鹿児島県の硫黄島で撮られたというウミガメと不思議な色の海水はとても印象的で目が止まりました。主題の亀は画面に対して小さいながら生命の強さが感じられます。そして、太陽の位置、黒潮、火山活動、ウミガメの出現、ご自身の潜るタイミング全てが重なり最高の1枚になったと思います。
 銀賞は溝部 久美子さんの「飛翔」ですが、利尻山とウミネコのコントラストがとても印象的で、地球と生命の共存がストレートに伝わるダイナミックな作品だと感じました。
 銅賞は3名の方が受賞されました、溝口 拓哉さんの作品はエゾナキウサギの食事のワンシーンですが、やはり見所は葉を食べている一瞬、葉が口から3本バランスよく飛び出た様子が牙のようですごく印象的で見る方が笑顔になる1枚ですね。タイトルも「新種のエゾキバウサギ!?」というコミカルなタイトルも素敵です。吉本しゅうじさんの「輝く水面」はとてもクリエイティブな作品で審査員の中でどのように撮ったのか話に出たほどでした。砂丘のくぼみに溜まった水と流れ込む水の対比、そこに映り込む朝焼けは、クリアな場所と波紋で少しぼけた場面がありそこにも対比が生まれとても見応えがあります。技ありの素晴らしい作品だと思います。釜崎 笙さんのダイナミックな地球を感じられる1枚「阿蘇の咆哮」は、幻想的な天の川と阿蘇山、そしてひときわ目立つ火映現象を見事に撮られた作品です。そして、雲が出ていたことも功を奏して、阿蘇山と天の川がより際だって表現できていると感じました。
 入選を受賞された皆さんの作品も非常にレベルが高く、多くの作品の中でもひときわ際っている作品が多かったです。佐藤 章さんの「森のカムイ」は、エゾフクロウの決定的瞬間をとらえた作品、川崎信義さんの「ゲット」は黒鯛を捕ったミサゴの迫力ある瞬間、内田陽二さんの「いのち いただく」はアカアシチョウゲンボウが昆虫を捕らえる決定的瞬間など素晴らしい瞬間をとらえた作品がどれも素敵でした。また、山中健次さんのシカのシルエットがコミカルでな動きをとらえた「冬日」や枩澤ふみ子さんの「湖畔の妖精」では木の木陰から覗く小猿の表情が素敵でした。富沢夏樹さんのキジをとらえた「Moonlight」と高柳光希さんのバオバブ街道と犬をとらえた「朝霧の中に」は自然現象と動物を上手に組み合わせた見応えのある作品だと感じました。
 今回のネイチャー部門の作品はどれも撮影者の思いがこもっている作品が多く本当に選考に悩みましたが、入賞された皆さんの作品を見ると素晴らしい瞬間、撮りたい情熱が伝わってきました。