第66回ニッコールフォトコンテスト
ニッコール大賞 | |
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推選 | |
準推選 | |
特選 | |
準特選 |
応募点数 | 8,461点 |
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講評 | 三好 和義 |
訴える力のある上位作品
この部門の面白さは、ネイチャーやドキュメンタリー、スナップなど、さまざまな被写体のバリエーションに富んだ作品が、同じ土俵の上で評価されて選出されるところでしょう。審査では、まず各審査員にモニターが与えられ、大きな画面に作品を映して粗選りを行います。次々に多くの作品が目の前を通過していき、その美しさに心が躍りますが、冷静な気持ちも忘れずに優れたものを選別していきます。そこで選ばれた作品はA4サイズにプリントされ、テーブルに並べてじっくり見た上で賞を決めます。応募者の皆様にとっての応募はモニター上で終わりですが、結果としてはプリントしても美しく、訴える力のある作品が上位に選ばれるのです。
さて今年度の第4部 ニッコール大賞は、求磨川貞喜さんの「老犬」です。愛犬を撮っているのでしょうか、作者の温かな眼差しが涙を誘います。重厚な時間の経過が感じられ、小さな子犬の頃から飼っていたかのような想像が掻き立てられる作品です。ツヤが少なくなった毛並みもリアルで、夕陽を感じさせるアンバー調の色みもテーマに厚みを与えています。
推選に選ばれた杉原輝美さんの「得る。」はオシャレな作品です。家の中で撮影されたものですが、スタジオでモデルを撮ったかのように、スタイリッシュに仕上がっています。仕草ものびのびとしていてお茶目です。自由に育つ子どもの可愛らしさが、画面からあふれ出ています。モノクロームの黒の調子を強くしすぎなかった点もよく、肌の透明感や光の入り方も美しいです。
準推選に入賞した森田康平さんは、若いながらも立派に活躍するダイビングガイドだそうです。深海から浮かび上がってくる生き物を撮影した作品「美しき
特選・竹本圭佑さんの「出会い」は奥さんと子どもの誕生を撮った作品です。ファミリー写真で終わらずに、ドラマチックなドキュメンタリーになっているところが素晴らしい。石川浩之さんの「戦いの光跡」は富士24時間耐久レースを撮ったものですが、車体は画面に登場していません。色とりどりの光跡だけが弧を描いています。静寂の中の興奮と緊張が伝わってくるような、不思議な感覚を覚えました。
また、同じく特選の秋山知伸さんは世界で大型肉食獣などを追っている学者でもあるそうで、入賞作品「北極の生命」からは動物への深い愛情が感じられます。スピッツベルケン島で撮影されたものです。カットの選択や組み方も素晴らしく、ドラマチックな独自の世界観に圧倒されました。
最近のWeb上では、いわゆる「インスタ映え」する、軽快で色鮮やかな写真が好まれる風潮がみられます。しかしニッコールフォトコンテストでは見た目だけではなく、写真本来の持つ力や、内容に深みのある強い表現をもった作品かどうかを見極め、評価していきたいと考えています。