第66回ニッコールフォトコンテスト

受賞作品

第1部 モノクローム

ニッコール大賞・長岡賞 「ハプニング」

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第2部 カラー

ニッコール大賞 「カムイノミ・イナウ~伝承~」

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第3部 ネイチャー

ニッコール大賞 「人気もの」

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第4部 Web応募

ニッコール大賞 「老犬」

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第5部 TopEye&Kids

ニッコール大賞 「まつ毛長くなりたい系女子」

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総評 大西 みつぐ

人間の根源としての生きる力

 第66回ニッコールフォトコンテスト審査は、折からの豪雨、そして地震など自然災害が続く時期の前後に行われました。被災された皆さんには心よりお見舞い申し上げます。
 そうした状況の中、本年もたくさんの作品が寄せられましたことは、皆さんの写真へのたゆまぬ愛情の賜物であると同時に、カメラで写真を撮ることが人間の根源としての生きる力に関わるものであることを思い知らされました。第2部入賞作品のひとつに「命を見つめる」と題された作品がありますが、ニッコールフォトコンテストの長い伝統はそうした真摯な皆さんのまなざしや想いにより形成されてきたのではないでしょうか。それらは時代が変わり、応募部門の変化はあれど、このコンテストの基盤をなすものであろうと思います。
 全部門の入賞作品を俯瞰しますと、「人」に関わっていく作品がよく目につきます。第1部、第2部はもちろんのこと、第3部 ネイチャーも自然の美しさや見事さ、いかに癒されたかというだけにとどまらず、私たちの生きている環境を提示したり、自然と人間の共生を考えさせる作品も数多く登場しています。
 また、第4部 Web応募部門は、SNSを通じて気軽な写真を褒めてもらいたいという欲望に終始することなく、さまざまなカメラを使い、暮らしの中でしっかり撮りこんでいらっしゃる形跡が認められます。第5部のTopEye&Kidsも、それらに加え、若い皆さんならではの溌剌とした力が全面に押し出されている作品が多く、審査をする私たちもつい力が入りましたし、技術的にも「ここまでうまくなったのか!」と驚異すら感じる作品もありました。ニッコールフォトコンテストはこれまでの伝統がそうさせるのか、「モノクローム部門」や「カラー部門」、「ネイチャー部門」が注目されがちですが、新たな部門において確実に次世代の作者と作品が育ってきているのは心強い限りです。これは大きな収穫といえましょう。
 さて、「ニッコール大賞」作品については他の先生方の詳しい講評も続きますが、簡単に述べておきたいと思います。
 第1部 モノクローム、宮崎 豊さんの「ハプニング」はベテラン作家の勘どころだけに頼らず、常にアグレッシブな態度で現場に臨もうという積極的なスナップショットの真髄を感じさせます。「名作」に値する作品が生まれたのではないでしょうか。また、第2部 カラー、山守陽一さんの「カムイノミ・イナウ ~伝承~」は、先住民「アイヌ」の祭りと精神を独特なカメラワークとトーンで印象的にまとめた作品。組写真ならではのストーリー性が活かされています。第3部ネイチャー、佐藤之隆さんの「人気もの」は、北の大地の生き物たちの限りなく可愛い姿態を真正面からとらえ、普遍的な自然への憧憬を表現しています。第4部 Web応募、求磨川貞喜さんの「老犬」は、写真や映像が言葉を超えて私たちにせまってくるほどの力を備えていることがうかがえます。どのような関わりでとらえることができたのか、直接お聞きしたい作品のひとつです。そして第5部 TopEye&Kids、髙松志帆さんの「まつ毛長くなりたい系女子」は、心から高校生活を楽しみ、写されることも写すことも楽しいということを身体でいっぱいに表現しています。生を見つめ、命を見つめるということでは、このような元気な作品から勇気も希望もたくさんもらえます。そして彼女たちの笑顔が閉ざされることなく、これからもずっと続くことを祈りたくなります。
 写真はいつでも、時代と人間とともにあるのでしょう。

審査員

ニッコールクラブ顧問 大西 みつぐ、小林 紀晴、佐藤 倫子、ハナブサ・リュウ、三好 和義
ゲスト審査員 (公)日本写真家協会副会長 野町 和嘉
(株)インプレスデジタルカメラマガジン編集長 福島 晃
写真家 山口 則子