近年、「限界集落」というのをよく耳にする。
私は若い頃に登山に行って山岳写真を撮り始めたのがきっかけで写真を撮り始めましたが数年前、里山に残る「棚田の風景」をフレームに収めようと新潟の十日町を訪れた時の事である。
嘗て日本のどこにでも見られたであろう里集落の原風景は、ここだけは時間が止まったかのような風景で、なぜか懐かしく、心休まる景色が私の「郷愁」心を呼び起こしていた。
昔は、子供たちや若い世代もいて皆が助け合って生活を維持していたのだろうと想像に難くないが、何年か前から撮影に訪れるたびに、日中でもほとんど高齢者しか見かけることがなく、空き家となってしまった家や取り壊され「過疎化」していく中、人々がこの里山で社会的共同生活を維持していくことが困難な状況に刻々と変化している様を眼の当たりにした。
私はこの状況を止める手立てを持ち合わせていないが、せめて今現存するこの状況を「先人たちの記録」として皆さんに伝えたい。(河辺美男)
1937年愛知県渥美郡田原町生れ(現田原市)、1953年田原中学卒業
同年上京豊島区の理容店に勤務、1975年埼玉県川口市に「ヘアーサロンかわべ」を開業、現在に至る。
ニッコールクラブ池袋支部所属
1985年写団「脈」設立、写真展・東京の街(テレコムセンター)
1995年写団「櫂」に改名
写真展(グループ展)
「遠い町近い町」(ニコンサロンbis新宿)
「憧憬」(ニコンサロンbis新宿)
「せおと・ひとおと~東京川散歩」(ニコンサロンbis新宿)