現世に存在する全ての物は、“形のある物(有形物)”として生じ、時を経て、形成期から、興隆期、衰退期へ移り、最後は“形”が消失する運命を辿る。
この変遷は「流転」とも呼ばれ、“有形物”が時空間で“秩序”から“乱れ”へ移行する自然界の理に一致している。外見的には、劣化、荒廃、崩壊、消滅といった“形”の変化をともなうが、この変化に客観的に向き合っても特別な感情は湧かないことも多い。 しかし、主観的な感性で捉えると、消滅途上の“乱れ”に対し、形を越えた精神感情として、哀れさ、怖さがうまれ、畏敬の念さえ感じられることもある。
現在、この“形”の変化と人の感性とのかかわりに興味を覚え、他の人と共有できる世界観の展開を目標として、撮影を行っている。
この度は、多くの人の楽しみと癒しの場であったレジャーランドが、長い間の放置で荒廃が進み、最終的には壊され消失する状態を撮影し、作品として纏めた。(相薗泰生)
1938年 福岡県福岡市生まれ
1961年 九州大学農学部農芸化学科卒
2002年 神戸大学教官を退職
2003年~2015年 全日本写真連盟会員
2008年~ ニッコールクラブ会員(阪神支部)
2013年~ 写塾・AIM会員