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フォトシティさがみはら 2019 プロの部入賞作品展

会期

2020年2月12日(水) 〜 2020年2月17日(月) 日曜休館

10:30~18:30(最終日は15:00まで)

2020年2月12日(水) 〜 2020年2月17日(月) 日曜休館

10:30~18:30(最終日は15:00まで)

開催内容

2019年10月に開催された総合写真祭「フォトシティさがみはら2019」のプロの部受賞者4人の作品を集めた写真展が、新宿駅西口の新宿エルタワー28階・ニコンプラザ新宿THE GALLERY1+2で開催されます。
会場では、豊かな精神文化の育成に貢献することを基本理念に掲げた総合写真祭において、新たな時代の担い手として顕彰されたプロ写真家の作品が展示されます。ぜひ、多くの方々に写真の持っている表現力や記録性などのすばらしさを感じとっていただきたいと思います。

2019年(令和元年)10月に開催された第19回写真祭プロの部には、広義の記録性の分野で活躍している中堅写真家の中から「さがみはら写真賞」として1名、新人写真家の中から「さがみはら写真新人奨励賞」として2名が選出されました。また、アジア地域で活躍している写真家を対象にした「さがみはら写真アジア賞」として1名が選出されました。


<受賞作家のご紹介> ※作品点数は変更になる場合があります。

「さがみはら写真賞」
太田 順一(奈良県)
作品名『ひがた記』より24点

「さがみはら写真アジア賞」
エリア・パク(韓国)
作品名『二面の海』より20点

「さがみはら写真新人奨励賞」
初沢 亜利(東京都)
作品名『隣人、それから。38度線の北』より20点

「さがみはら写真新人奨励賞」
山元 彩香(兵庫県)
作品名『We are Made of Grass, Soil, and Trees』より20点


【ギャラリートーク】 ※写真展会場で開催いたします。
2月12日(水)16:30~17:30
石川直樹(写真家、フォトシティさがみはら審査員)
太田順一、エリア・パク、初沢亜利、山元彩香

審査員コメント

第19回目を迎えた、さがみはら写真賞は太田順一の「ひがた記」(2018)に決まった。これまで作者は、阪神大震災の瓦礫の焦土を見つめた眼差しで誰もいない大阪24区を彷徨う「群集のまち」(2007)、増え続ける空家や遺品に遠く懐かしい家族の肖像を読み取る「遺された家 家族の記憶」(2016)といった写真集を発表し、高い評価を得てきた。受賞作は関西国際空港に近い岸和田沖に作られた実験調査用の人工潟へ通いつめ撮影したものである。大阪湾の海岸は殆どがコンクリートで覆われているが、この干潟は例外であり、潮の満ち引きで陸地になったり海底に沈んだりする。満潮干潮の時刻は少しずつずれ、そこには現れては消える特別な世界が生まれていた。人の力の及ばない干潟へ電車を乗り継ぎ足繁く通いながら太古の昔から繰り返されてきた波のリズムに身を委ねる。そこには穏やかな諦念と共に静かに死と向き合う心構えのようなものが滲み出ている。

第19回さがみはら写真アジア賞は韓国のエリア・パクの「二面の海」(2017)となった。
パクの代表作が網羅されたこの写真集のなかでもソウルと東京で展覧会を行なった「写真の路-宮城県でアルバムを拾う」は、東日本大震災を契機に、海という''写真の路''により韓国と日本が繋がっていることを明らかにする。大震災の4日後に被災地宮城を訪れた作者は「カネコマリ」という名の女性の、少女から大人に至る成長を記録した泥まみれのアルバムを発見する。そしてそのアルバムを手掛かりに記録としての写真だけでなく、時代や言葉を超え、共感を分かち合う行為としての写真の役割を見いだそうとしてゆく。韓国と日本を行き来しながら、国境のない海を介して、巨大な死の下で忘却と戦い、記憶の新たな回路を探ろうとするパクの試みは写真の意味と存在理由を問いかけてくる。

さがみはら写真新人奨励賞は山元彩香「We are Made of Grass,Soil,and Trees」(2018)と初沢亜利「隣人、それから。38度線の北」(2018)に決定した。前者はエストニアへの旅を契機に、様々な土地に潜む記憶や時間を湛えた女性を撮影した連作であり、各人の表情や身振りに神秘的な揺らめきを何重にも宿したポートレイトが印象深い。後者はミサイルの脅威や拉致問題だけがクローズアップされる北朝鮮という隣国を、案内人の監視下に行動制限されながら旅し、隣人たちの何気ない日常を発見と気づきを込め描きだしたシリーズである。写真には様々な路があり、それらは平行したり、交錯したりしながら記録と記憶の特別な場所を浮上させていることを改めて受賞作は伝えてくる。

東京藝術大学教授/美術史家/美術評論家 伊藤俊治

プロフィール

相模原市総合写真祭フォトシティさがみはらについて

写真は、芸術写真から家族写真まで広い地盤を持ち、その卓越した記録性と豊かな表現機能により、多くの人に感動を与えるものであるとともに、私たちの生活にとても身近な存在です。
相模原市では、豊かな精神文化が求められる新しい世紀の幕開けにあたり、写真文化にスポットをあて、これを「新たなさがみはら文化」として全国、世界に発信することを目指して、総合写真祭「フォトシティさがみはら」を2001年にスタートさせました。
この写真祭は、新たな時代を担うプロ写真家の顕彰と、写真に親しむアマチュアに作品の発表の場を設けるとともに、市民が優れた芸術文化に触れたり、それぞれの場に参加できたりする市民参加型の事業で、写真をキーワードとして、時代と社会を考え語り合うことで、新世紀における精神文化の育成に貢献することを基本理念にしています。
また、2006年日本写真協会より「日本写真協会賞・文化振興賞」、2011年日本写真家協会より「日本写真家協会賞」に、写真文化の振興、発展に貢献したとして、相模原市総合写真祭フォトシティさがみはら実行委員会が選定されました。

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