キツネと並んで同じ夕日を見た。
急な雷雨でお互いびしょ濡れになった。
お母さんギツネに怒られた。
カメラを噛まれた事もあった。
「コンコン!」という声を初めて聴き、彼らの言葉をいくつか覚えた。
目の前で車に轢かれそうになってヒヤヒヤした。
彼らの子育てを楽しみにしている農家さんにも出会った。
せっかく掘った子育て用の巣穴を、工事で埋められてしまった。
変わっていく自分たちの暮らしをキツネと一緒に眺めた。
ホンドギツネは本州以南に住むキツネのことです。
北海道に住むキタキツネとは違い、警戒心が強く、人慣れした個体も少ないです。
しかし彼らは僕らのすぐとなりで暮らし、いつも僕らを観察しています。
なぜなら彼らにとって、僕らがとなりで暮らしていることは当たり前であり、常に関わっていることを知っているからです。
では、僕らはどうでしょうか?
となりで暮らす彼らのことをどれだけ知っているのでしょうか?
いつもの散歩道を歩くとき、今度はときどき振り返ってみてください。
もしかすると彼らが草薮からそっと覗いているかもしれません。 (渡邉 智之)
1987年 茨城県生まれ
2013年 山梨県立科学館を辞職後、フリーの写真家として活動開始
2015年 写真展「甲府のキツネ-町で生きるキツネ-」開催 山梨県立科学館
賞暦
第60回 ニッコールフォトコンテスト 第3部 ネイチャー部門 「夜灯り生活」 推薦
第64回 ニッコールフォトコンテスト 第3部 ネイチャー部門 「全う」 入選
第64回 ニッコールフォトコンテスト 第4部 U-31部門 「これまでとこれから」 準推薦
第34回 「日本の自然」写真コンテスト スペシャル部門 「大家族」 優秀賞
Nikon Photo Contest 2016-2017 Next Generation部門 組み写真 「変わりゆく世界で」 3位