ベトナム北部ラオカイ州Sapa近郊の山岳地帯には、いくつもの少数民族が暮らしている。 モン族、ザイ族、タイ族、テイ族などのベトナムにおける少数民族の人たちの地域である。彼らは先祖代々、雄大な山中に壮大な棚田を作り上げてきた。これらの民族の居住地は中国やラオスとの間に国境が引かれ、彼らはそれぞれの国でこの棚田とそれぞれの文化を継承してきた。特にベトナムに住むモン族やザイ族の女性は、伝統的な衣装に誇りを持って受け継いでいることで有名である。
Sapaは標高1600メートルの高地にあり、ベトナムといえども冬には雪が積もる。農家の伝統的な家屋は、立て板を壁に屋根を取り付けただけの簡単なものが多く壁には窓がない。真っ暗な家の中には、昼間は壁の隙間からわずかな光が入ってくる。冬の寒さは身にしみるが、囲炉裏を囲ってじっと春夏が来るのを待つのだと言う。
Sapaからの便りが来た。6月に入ってやっと待望の雨が降り、遅れていた田植えに取り掛かることが出来ている、と言う喜びの季節を伝える手紙である。棚田は山の中腹まで広がっているから、彼らにとっては雨だけが頼りの農作業だ。子供達も長い夏休みに入った。小学校の年長組みともなれば貴重な労働力でもある。幼い弟や妹の世話をし、水牛の世話をする。貧しい農家の子供達だが屈託のない笑顔と輝いている瞳が誠に印象的だ。この子供達の未来に幸あれと祈る。 (古清水 輝光)
1944年長野県小海町生まれ
青山学院大学卒
貿易関係業務退職後65歳より写真の取り組みを始める。
写真展:2015年「成田空港人模様」ニコンサロンbis新宿
所属:ニッコールクラブ(本部)、写団モノクロ(千葉市)