2017年8月30日(水) 〜 2017年9月 5日(火) 日曜休館
2017年9月28日(木) 〜 2017年10月 4日(水) 日曜休館
あるきっかけから日本に住むムスリムのバングラデシュ移民家族と知り合い、親しく付き合うようになりました。家族の父、シクダール・ジャシムさんは日本社会がバブルの絶頂にあった頃来日し、建設や解体の現場で長年働いてきた人です。ジャシムさんと妻、三人の娘と一人の息子は千葉県郊外にある団地で暮らし、その周辺地域には同じムスリムの移民たちがゆるやかなコミュニティをつくり生活しています。
家族と過ごした時間は、想像していたのよりもずっと静かで、淡々と流れてゆきました。彼らの生活には、我々が移民に対して連想してしまいがちな極端な経済的困窮、あるいはイスラム教徒にイメージする、日に何度も一心不乱に祈る姿、などはあまり存在しません。団地の中にある学校に通い、週末は車で大型スーパーに行って食材を買い込み、自宅でYoutubeを見て過ごす。イスラムとバングラデシュという2つのアイデンティティを大切にしながらも、日本の言語、文化や風習も親しみ、ひょうひょうと生きている。私はそのことにかえって移民の生活のリアリティを感じているのです。 (田川 基成)
1985年長崎県生まれ。北海道大学農学部森林科学科卒業。上京後に月刊誌編集者、業界紙記者として働く傍ら、写真を撮り始める。第2期東京ドキュメンタリーフォトグラフィーワークショップ修了。2014年よりフリーランスとして活動する。
2015年、北海道・東川町奨学生として第10期 International Summer School of Photography (ラトビア) に派遣。主な写真展に、「Between the Rivers」(2016年東川国際写真フェスティバル)がある。