2020年7月 9日(木) 〜 2020年7月15日(水) 日曜休館
2020年8月26日(水) 〜 2020年9月 8日(火) 日曜休館
私は今まで「Shrove Tuesday」(イングランド)「手負いの熊」「骨の髄」(日本)「Opens and Stands Up」(ジョージア)「Charanga」(ボリビア)という5つの祭事のシリーズを発表してきました。作品を構成する5つの祭事の形態は、格闘とも言える身体行為であり、私はその「格闘の祭事」の只中に身を投じ撮影してきました。
祭事に参加する人間は、時間が進むにつれて覚醒していき、獲物を仕留めようとする捕食者になり、もしくは獲物として捕食されない様に、ただ生きる事以上の意味など必要としない「倫理以前の人間の姿」に変貌していきます。
祭事は、先人たちの霊魂、神そして自然の様々な精霊たちとの対話の場です。この場所は、人間が自然の中の動物であるということを気づかせると同時に、動物である人間が人間たらしめるものを手に入れる場所でもあるのではないだろうか、と「倫理以前の人間の姿」をみながら思うのです。
(甲斐啓二郎)
<新型コロナウイルス感染症拡大防止のため中止いたしました写真展の会期を変更して開催いたします>
1974年福岡県生まれ。2002年東京綜合写真専門学校を卒業。
現在、同校非常勤講師。
スポーツという近代的概念が生まれる以前の世界各地で伝統的に行われている格闘的な祭事を、その只中に身を投じながら撮影し、人間の「生」についての本質的な問いに対して写真で肉薄する作品を発表している。
写真展「手負いの熊」「骨の髄」で第28回写真の会賞を受賞。2016年Daegu Photo Biennale(韓国)、2018年Taipei Photo(台湾)、2019年Noorderlicht International Photography Festival(オランダ)などのグループ展に参加。個展多数。
写真集に『Shrove Tuesday』(Totem Pole Photo Gallery、2013年)『手負いの熊』(Totem PolePhoto Gallery、2016年)がある。