2020年4月22日(水) 〜 2020年5月 2日(土) <<臨時休館>>
2020年5月14日(木) 〜 2020年5月27日(水) <<臨時休館>>
幼少のときに聞いた祖母の言葉が耳を離れない。
山は神聖な場所。そう教えられた。
山間で育った私は、常に山を見て暮らし、山と人の係わりを見てきた。
高木は少なく広葉樹の低木が並んでいた。
子供の遊び場は赤土の山肌か蘖の田んぼ。山が怖いという感覚はなく、祖母の教えで怖いものだと思い込んでいたのだろう。
父母が苗を背負い、山に通っていた意味が分かった頃、濃い緑が山を包んでいた。
山や森は遠い昔から特別な霊場として考えられてきた。その対象は岩であり木であり動物であり、すべてが神宿る場所とされてきた。この世とあの世の境、死者の魂が集まる異界とも言われる。人口の増加とともに荒廃の歴史を繰り返してきた森林。その歴史を思うと、緑に包まれた近年の山こそ健全な姿ではないだろうか。信仰や霊場の意味を考える。
人との繋がりが途絶えた今、再び荒廃が進んでいる。
山に入るのが鳥肌立つほど恐ろしい。今こそそう思う。
(荒井俊明)
1952年 京都府福知山市生まれ
1970年 京都市内の映像、写真関係の会社に入社
1971年 初めて一眼レフ(ニコマートFTN)を手にする
1975年 ペンタックス6×7で京都の四季を撮り始める
1984年 ニッコールフォトコンテストの応募を始める
2017年 ニッコールクラブ「みやこ支部」結成
受賞歴
1985年 第33回ニッコールフォトコンテスト第1部ニッコール大賞
2014年 第62回ニッコールフォトコンテスト第1部ニッコール大賞・長岡賞
個展
2016年 「里暦」(ニコンサロンbis大阪、ニコンサロンbis新宿)
2019年 「はしうど」(ニコンプラザ大阪 THE GALLERY)