2020年3月11日(水) 〜 2020年3月24日(火) <<臨時休館>>
2020年4月 2日(木) 〜 2020年4月15日(水) <<臨時休館>>
イスラエルには、国防軍により建設された全長700kmに及ぶコンクリート壁が、狭い国土の中を縦横無尽に走っている。その巨大な壁は、ユダヤ人とパレスチナ人との居住区を隔てるだけでなく、ユダヤ人にとっては安全と平穏の象徴として、パレスチナ人にとっては暴力と憎しみの象徴としてそびえる。そしてこの国ではしばしば、何が正義かということも、その壁のどちら側に立つかによって変わる。
2018年から19年、イスラエル並びにパレスチナ自治区を訪れ、ひとつの土地をめぐり争う彼ら双方の側からの生活を記録した。
迫害の歴史からイスラエルを作ったユダヤの人々。入れ替わりで迫害されるパレスチナの人々。この場所にルーツを持ち、ここで生活を営み、ここで生まれてここで死ぬ。そんな最低限のアイデンティティが脅かされることへの恐怖は、他者に対する暴力から罪悪感を取り去り、分断を加速させ、葛藤する時間をも許さない。そのことに、この地に暮らす彼らほど自覚的である人々は少ない。
(小山幸佑)
1988年 東京都生まれ、日本写真芸術専門学校卒業後、新聞社系出版社にカメラマンとして入社。
2020年よりフリーランスとして独立。