2018年6月20日(水) 〜 2018年6月26日(火) 日曜休館
2018年7月19日(木) 〜 2018年7月25日(水) 日曜休館
モンゴルの首都ウランバートルから西に1600km。多くのカザフ族が暮らすバヤン・ウルギー県で、わたしはイヌワシを使って狩猟をする鷹匠の一族と出会った。彼らは、他の遊牧民と同じように無数の家畜と共に、新しい牧草を求めて移動する生活を送っている。本作は、年4回の移動の中で最も過酷と言われる“クゼゥゲ・クシュ”(春の移動)を追ったドキュメンタリーだ。
ある耳が不自由な鷹匠が言った。「耳は悪いけど、鷹匠もできるし、ダンスも楽器も弾けるから幸せだよ」
本展のテーマは、“助け合い”――。狩りはワシ一羽、鷹匠一人ではできない。狩人と言うと、いかにも孤高の存在のように思えるが、彼らの生業は家族や仲間たちの協力なしには、成り立たない。それは、遊牧という暮らしそのものにも言える。人と人、家族と家族が、たがいを支え合う。その精神は、遠く日本のわたしたちと、根の部分でつながっているのではないか……。寂寞の大地で生涯を送る人々の、つつましく、そして雄々しい生きざまに、そっと触れて欲しい。(松尾 純)
1976年広島県生まれ。女子美術大学デザイン科卒。19歳の頃から一眼レフを持って世界を旅する。50以上の国と地域での撮影経験を持ち、チベット文化圏を最も得意なフィールドとする。5,000mを超えるヒマラヤ山脈など、世界各地の辺境で暮らす人々を写し続ける。近年は本や雑誌への執筆、取材撮影、講師、写真展など広島を拠点に活動中。
主な写真展(個展)に、04年「ラダック・ザンスカール」(M’s GROWN/広島)、05年「Spirit Of ASIA」(TENGU SQUARE/広島)、07年「北のタルチョ南のタルチョ」(Roonee/東京、gallery718/広島)などがある。グループ展多数。
共同著書に、04年『撮り・旅! 地球を撮り歩く旅人たち』(ダイヤモンド社)、11年『夜明けの言葉』(大和書房)がある。
ウェブサイト http://junmatsuo.jp