※この動画では Z 6を使って説明しています。
撮影・解説:その江
かわいい猫ちゃんやワンちゃんの写真を簡単に撮れたら素敵ですね。ペットに当たる光を気にしたり、構図を考えたり、ちょっとしたコツを知ることで、素敵なペット写真を撮ることができます。さらに、動物AFなど最新のカメラの機能を上手く使えば、ピントがバッチリのかわいいショットが確実に!
さあ、カメラを持って撮影を始めてみましょう。
動物AFを使う
動物AFの機能を使って撮ることで被写体のペットの瞳にしっかりピントが合います。カメラがペットの瞳にフォーカスエリアを合わせるのでフォーカスエリアの位置を気にせずに好きな構図で、一瞬の表情を逃すことなく撮れる機能です。
カメラを最新のファームウェアにアップデートしたら、さっそく設定してみましょう。
1. カメラ背面の"iボタン"を押して"iメニュー"を表示させます。
2. [AFエリアモード]を[オートエリアAF]に設定します。
3. "MENUボタン"を押してカスタムメニューを表示させます。
4. [a4 オートエリアAF時の顔と瞳認識]を[動物認識する]に設定します。
フォーカスモードはAF-Cをおすすめします。(AF-Sを使用する場合は、カスタムメニュー[a12 内蔵AF補助光の照射設定]を[しない]に設定してください。[する]に設定してあると、ペットの瞳に悪影響をおよぼす可能性があります。)
動物AFの注意事項
瞳が⽑で覆われていたり、瞳の⾊と⽑の⾊が同じだったりすると瞳を上⼿く検出できないときがあります。そんなときはタッチシャッターを使う⼯夫をしましょう。 また、瞳AFが⼈物のポートレート撮影に向いているように、動物AFも基本的にはあまり動きの無いペットの撮影に向いています。ドッグランや動きが⼤きいときは、ターゲット追尾AFやワイドエリアAFなどを使うとよいでしょう。
アングルを変える
かわいいペットの表情豊かな瞬間を色々なアングルを変えて撮影しましょう。動物AFはアングルに左右されず、全身を入れて撮ったり、顔をアップで撮ったりしても顔や瞳を認識します。
露出補正
露出補正を使うことで、写真全体の明るさが変わります。例えば、思ったより暗く写りがちな白や明るい毛並みのペットは、露出補正で明るくしてあげるとよいでしょう。作例8では露出補正を+1してみました。するとペットは明るく、毛並もふんわりとした仕上がりになりました。
単焦点レンズを使う
キットレンズの絞り値f/4で撮影した写真はシャープで美しい写真に仕上がります。でも、もっと背景をぼかしてみたい、柔らかな毛並みを表現したい、などの気持ちに応えてくれるのが明るいF値の単焦点レンズです。
単焦点レンズの良さ
単焦点レンズを使った写真の良さは何といっても柔らかなボケ味です。
F値を開放値(そのレンズの一番F値の小さい状態)にすれば、ピントを合わせたところ以外がふんわりぼけて被写体を強調することができます。
また、暗い室内などで撮影するときも、明るい(F値の小さい)単焦点レンズを使い、絞りを開ければシャッタースピードを速くしてブレにくくすることもできます。
動物AFが働き、猫の瞳にしっかりピントが合いました。開放値f/1.8のレンズを使用することで、顔以外のボディが柔らかくぼけてふんわりとした光を感じる写真になりました。〈作例9〉
f/4とf/1.8との背景の比較
絞り値による背景のボケ感を比べてみました。
f/4では背景の椅子やテーブルがしっかり分かります。f/1.8ではそれらをかなりぼかすことができました。室内で家具など物が多くうるさくなりがちな時は明るい単焦点レンズで背景をぼかし、ペットを目立たせてあげるとすっきりとかわいい写真に仕上がります。〈作例10・11〉
単焦点レンズによる柔らかな表現
ワンちゃんの背景にある階段と柱や赤い壁のコントラストが強くて、ワンちゃんが目立たなくなりがちな構図です。単焦点レンズで思い切りぼかすことで手前のワンちゃんが立体的に見えてきました。〈作例12〉
お家の中では大抵、お気に入りの椅子やソファに座っていることが多いペット達。背もたれが背景になる場合、被写体との距離が近いため、なかなかボケ感を出すことができません。そんな時も開放値の明るいレンズを使えばかなりぼかすことができます。この写真では背もたれの黒いラインもぼかすことでうるさくならずワンちゃんを目立たせふんわりとした毛質の表現に成功しました。〈作例13〉
同系色の背景の中でペットを撮る時は、特に背景をぼかすとペットが引き立ちますのでおすすすめです。単焦点レンズで絞りを開けて、ワンちゃんを目立たせます。特に背景に直線などがあるこういった構図ではとても有効です。〈作例14〉
多頭撮影
目の位置を合わせて撮る
ペットを多頭で撮影する時は、なるべく瞳の位置を揃えて並ばせてあげることが大切です。特に明るいレンズを使って背景をぼかしたい時などは、ペットが前後してしまうと一頭にしかピントが合わなくなってしまいます。動物AFが働いている状態では、ピントを合わせたい被写体の方にマルチセレクターでフォーカスエリアを移動させることができます。〈作例15〉
頭数が多くなる時は壁を使って並んでもらえば、それぞれの被写体の瞳の位置が揃ってきます。その中でも若干前に出ているペットの瞳にマルチセレクターで合わせてあげるとピントの合った写真になりやすいでしょう。この時、絞りも少し絞ってあげるとより全てのペットに合いやすくなります。〈作例16〉
黒い犬の撮影 ― 瞳にキャッチライト
黒いペットの瞳は毛の色と同化して見えにくく、動物AFも瞳を認識しづらくなります。そんな時はペットに当たる光を気にしてください。なるべく瞳に光が当たるようにして、目にキャッチライトが入れば黒い毛並みの子もキラリ生き生きとした表情になります。 〈作例17〉
別売のスピードライトを使ってバウンス撮影する
暗い室内では感度を上げても被写体がブレたりノイズが目立つ画像になりがちです。お家の中でとっても良い表情をしている瞬間を撮りたい!そんな要求をかなえるのがフラッシュ撮影です。外付けのスピードライトを使って、瞳がキラキラしている撮影を行ってみましょう。
白など明るい色の天井のお部屋で、天井バウンス撮影をするのが基本になります。スピードライトをカメラに取り付けたら発光面を天井に向けます。カメラの設定はオートで感度もオートでOKです。あとはスピードライト側をTTL調光のオートでそのままシャッターを押すだけです。写真が暗いと思ったらスピードライト側でプラス補正します。明るすぎたらマイナス補正します。
天井バウンス撮影では、明るくなった天井が猫の瞳に映り込むことでキャッチライトが入ります。
やや下向きの顔では、瞳にキャッチが入らず、暗い表情になってしまいます。〈作例18〉
少し上を向いてもらうことで、天井のフラッシュ光の反射が猫の瞳に映り込みキラキラした瞳のかわいい表情が撮影できました。〈作例19〉
バウンス撮影の注意事項
至近距離での撮影となることが多いため、フラッシュを内蔵したカメラでは内蔵フラッシュを使わないようにしましょう。バウンス撮影をする時は、フラッシュの発光面の角度に注意してフラッシュの光がペットの瞳に直接入らないように天井や壁にバウンスさせてください。猫カフェなどの施設ではフラッシュ撮影自体を禁止していることが多いです。撮影前に施設に確認しましょう。
タッチシャッターを使う
Z シリーズのミラーレスカメラは、背面モニターでのタッチシャッターが格段に使いやすくなりました。ペット撮影では、たくさんのメリットがあります。床に寝ているペットを撮影する時に、自分が寝転んでファインダーを覗かなくても、背面モニターをチルトさせ、上から見ながら撮影できます。こうすることでアイコンタクトをとりながら撮影できるので、カメラに慣れていないペットでも怖がらせないで撮ることができます。そしてもう一つ、瞳が毛で覆われているなど動物AFが認識しにくいペットにも有効です。モニターの中のペットの瞳をタッチすることで、ピントを合わせたい場所に的確に合わせていくことができます。
毛におおわれているプードルの瞳にしっかりピントを合わせることができました。〈作例20〉
動画でも動物AF
動物AFは顔認識だけになりますが動画撮影時にも機能します。⽚⼿でペットをあやしながら、アイコンタクトをとって撮影できるので、かわいい表情を動画で残すことも簡単です。
コミュニケーションが一番大切
高感度にしてシャッタースピードを速くするなど、ペットをかわいく撮るポイントはまだまだ色々ありますが、大切なことはコミュニケーションをとりながら楽しく撮ることです。良い写真を撮るためには、ワンちゃんにおやつをあげたり、猫ちゃんと猫じゃらしで遊んだり、カメラを向ける時は楽しい時間なのだと思ってもらうことが一番です。常に笑顔を向けながら撮影するように心がけてください。