飛行機のように高速で動く被写体をシャープに写すにはグループエリアAFを使います。同じような機能にダイナミックAFがありますが、ダイナミックAFでは自分で選んだ1点のフォーカスポイントでピントを合わせますが、その1点から被写体が外れてしまった場合などに周囲のフォーカスエリアがバックアップとして働きます。それに対して、グループエリアAFでは5点のポイントで構成されたグループから最適なピント位置が割り出されます。いわば、面でピントを捉えているので、ピント合わせが難しい被写体でも簡単に精度よくピントが合います。
動きの速い被写体を滑らかに追うことのできるプロカメラマンは意図した位置にピントの合いやすいダイナミックAFを使いますが、滑らかに被写体を追うことができずその結果被写体の動きが不規則になってしまう場合や、模様が少なくピントを捉えにくい被写体、点景となる被写体の場合などに有効なAFモードです。
グループエリアAFを使った飛行機の撮影では、操縦席付近をピント位置として、構図を決めておきます。その位置にあらかじめグループエリアをマルチセレクターで動かしておき、決めた構図になったらシャッターを切ります。フォーカスモードはAF-Cがおすすめです。高速で動く被写体では普段以上にブレに気をつけましょう。飛行機を横から捉えるような特に速い動きの場合は三脚での撮影がおすすめです。手ブレを抑えることが目的ですので、あまり大きな三脚は必要ありません。一脚でも十分です。なお、三脚を使う場合はVR機能はOFFにします。また、ブレを抑えるためにはできる限り速いシャッター速度にしましょう。シャッター優先モード、ISO感度オートに設定しておきます。シャッター速度は撮影する焦点距離の4倍の数値を目安にします。例えば400ミリで撮影するなら1600分の1秒より速いシャッター速度です。そしてもう一つ。ズームレンズでは一旦ワイド側にして飛行機を探し、画面内に捉えてから望遠側にすると、とても簡単に飛行機のアップを撮ることができます。
手持ちで気軽に飛行機を撮影したい場合は、飛行機が正面に近くなる位置から撮影しましょう。正面からなら見かけ上の動きは遅くなるので落ち着いて構図やピント位置を決めることができます。ブレ対策は一緒ですので、速いシャッター速度を使うこととVR付きのレンズでは、VR機能をONにしておくことがポイントです。また、グループエリアAFは広角レンズでも効果的です。空に浮かぶ飛行機もきちんと捉えてくれるので、点景の飛行機にも挑戦してみましょう。飛行機は同じ飛行場でも風向きによって使う滑走路や離発着の向きが変わります。どの滑走路で離発着が行われるかは、ウェブサイトやスマートフォンアプリで調べることができるので活用しましょう。情報も撮影テクニックのひとつなのです。
撮影協力:日本航空株式会社