流し撮りを使った鉄道写真
鉄道写真でよく使われるテクニックに「流し撮り」があります。車体は止まっているけれど背景が流れて動感の写真になります。基本的には車両の動いている方向に合わせてカメラも同時に動かし(振り)ながらシャッターを切る撮影テクニックです。
カメラの設定は、撮影モードがS(シャッター優先オート)またはM(マニュアル)、シャッタースピードは1/250秒以下、ISO感度は100、絞りはf/8程度を基本とします。被写体が明るい場合は絞りを絞り(f/11~f/16程度まで)、暗い場合はISO感度を上げて、適正な露出になるよう調整します。
ピントは基本的に車両の顔に合わせます。フォーカスエリアモードは、ダイナッミックAFの9点が最適です。構図を考えて車両の顔が来るあたりにフォーカスポイントをセットしておきます。
「流し撮り」では、シャッターボタンの半押しでピントを合わせるので、カスタムメニューのa4[半押しAFレンズ駆動]は[する]を選択します。
レリーズモードはCH(高速連続撮影)にしておき、車両の顔に合わせてカメラを振りながら連写します。
シャッタースピードを遅くすればするほど背景も流れていきますが、同時に車体のディテールが残る範囲も狭くなっていきます。1/60秒以下になると流し撮りに慣れた人でも車体を写し止めるのが難しくなります。遅いシャッタースピードで撮影したいときは、前もって列車本数の多いところで流し撮りの練習しておきましょう。
「流し撮り」の効果は、車両の走る速度にも関係します。新幹線などでは1/250〜1/500秒でもかなり背景が流れてくれますが、在来線では1/125秒程度で良い効果を得ることができます。
また、望遠系のレンズを使って車両の顔のアップを狙うと効果が出やすくなります。手持ちのレンズで充分な望遠効果を得られないときは、静止画撮影メニューの[撮像範囲]を変更してみましょう。ちょっと車両に寄るだけでスピード感が増してきます。
最近の鉄道車両の多くは、行き先や列車種別の表示にLEDの電子表示が使われています。この電子表示を高速シャッターで撮影すると文字が欠けてしまうことがあります。そんな時は、シャッタースピードを下げて流し撮りのテクニックで撮影すれば、電子表示の文字を写し出すことができます。
ただし、最適なシャッタースピードは電光表示の種類によって異なります。1/500秒でも文字がきちんと写る場合もありますが、1/30秒まで下げる必要があるときもあり、さまざまです。
鉄道写真のマナー
鉄道写真を撮るときの基本的なマナーをいくつかご紹介しましょう。
良いポジションを見つけるのは大切ですが、原則、私有地への立ち入りは禁止です。民家の庭先や建物内は論外ですが、田畑なども立ち入りをなるべく避け、どうしてもというときは所有者の方の許可をもらいます。
また、鉄道写真では、三脚を使いたくなる場面が良くありますが、私有地の中や歩行者、車等の交通の妨げとなるようなところでは三脚の使用を避けます。また駅などの鉄道施設内では三脚の使用を禁止しているところが多いので事前に確認をしましょう。
他にも、線路内には、撮影はもとより移動の時でも決して立入らない、列車の安全な運行を妨げることになるのでフラッシュは使用しない、などのマナーがあります。
ベストショットも鉄道と自分の安全あってこそです。