感度自動制御機能は、設定したISO感度で適正露出が得られない場合に、カメラが自動的にISO感度を変更する機能です。
感度自動制御は、撮影シーンによってはとても有効な機能です。ここではライブハウスでのステージ撮影シーンを例にして説明します。
ステージ撮影では、シャッタースピードを1/125~1/500秒くらい、絞り値はF2.8~5.6くらいの間で被写体の動きや撮影距離などに応じて選択し、シャッタースピードと絞り値を決めて露出モードはマニュアルで撮影するのがお勧めです。しかし照明がめまぐるしく変化するため、ISO感度をそれに合わせ続けるのは非常に難しいものです。このような場合、露出モードはマニュアルで、[感度自動制御]を[する]に設定すると、シャッタースピードと絞り値が固定されたまま、被写体の明るさに応じてISO感度が自動的に変化する自動露出として機能します。
この2つの作例では、アーティストの動きに対応してシャッタースピードは1/320秒と比較的高速シャッターに設定、絞りはF4.5にしてピントが合う範囲を広めにしています。また露出補正を-0.7段としてスポットライトが当たった時のアーティストの顔が露出オーバーにならないようにしています。同じ場所から撮影していますが、照明の変化に応じてカメラが自動的に感度をそれぞれISO
1800とISO 4500に合わせています。RAW現像で調整可能な程度のほぼ同じ明るさの仕上がりを得られています。
感度自動制御はP、S、Aモードでも使えますが、ISO感度の他にシャッタースピードや絞り値も変わるため使いこなすのが難しいので、ステージ撮影シーンでは露出モードはマニュアルを選択することをお勧めします。
[感度自動制御]を[する]に設定した場合、カメラが自動でISO感度を変更する上限感度を設定します。高感度になるとざらつきなどのノイズが目立つ場合があるので、テスト撮影を行って撮影者が許容できる上限の感度をあらかじめ決めておきましょう。
露出モードPまたはAで感度自動制御が働き始めるシャッタースピードを設定できます。また、[オート]に設定すると、レンズの焦点距離に応じてシャッタースピードの低速限界をカメラが自動で設定します(CPUレンズ装着時のみ)。例えば、望遠レンズ使用時は手ブレが発生しやすくなるため、低速限界が自動的に高速側に設定され、ブレを軽減できます。
• [オート]を選んでマルチセレクターの右を押すと、補正値の設定画面が表示されます。低速限界をカメラが自動で設定するときに、より高速側または低速側になるように調整できます。
• ISO感度を上欄の[制御上限感度]まで上げても露出不足になる場合は、適正露出を得るために、低速限界設定よりもさらにシャッタースピードが低速になります。