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D500

撮影のコツ

電波制御AWL 1灯ポートレート撮影編

スピードライトが1灯あるだけで、さまざまな光や影の印象を操って被写体を魅力的に表現することができます。スピードライトの光を天井などに反射させる「バウンス撮影」や、スピードライトをカメラから離して撮影する「オフカメラ撮影」などを使いこなせるようになると、実際の撮影場所の条件にとらわれず、自分で好みの雰囲気を作り出せるようになります。

照射角を生かしたスポットライト効果
アクセサリーで光を拡散

光の向き、強さ、広がり、またアクセサリーによって得られる効果など、スピードライトの特性をよく知って、スピードライト1灯の撮影をマスターしましょう。

 

光をやわらかく -バウンス撮影

スピードライトをカメラのアクセサリーシューに装着して発光させるクリップオン撮影を行うと、内蔵フラッシュでは実現できない効果を得ることができます。より強い光量に加え、光の向きを自在に変えられるフラッシュヘッドを使えることが大きな特長です。

クリップオン撮影 直射

クリップオンでポートレート撮影する場合、フラッシュヘッドを被写体に向けて直接照射すると、肌にてかりが出たり、顔全体が均質な光を受けて平板でかたい印象になることがあります。この場合、スピードライトの光を天井などに一旦反射させる「バウンス撮影」を行うと、反射面に大きく広がる光に照らされた被写体の顔にやわらかな陰影と立体感が生まれます。

クリップオン撮影 天井バウンス
クリップオン撮影 壁バウンス

室内の撮影では、バウンスさせる面として天井や壁を使うと手軽で効果的です。
天井バウンスは、フラッシュヘッドを回転させて天井に向けて行います。被写体に当たる光が均一になるように、カメラの真上か少し後ろの天井にフラッシュヘッドを向けるのが基本です。天井にバウンスさせた光で撮影すると、肌のてかりがやわらぎ、やさしい印象になります。天井が高くてバウンス光の光量が不足したり、あごや鼻の下に出る影が気になる場合は、天井より被写体に近い壁を利用して横からのバウンス光を使うと自然な立体感を出せます。部屋の角で撮影すれば、バウンス面以外の壁面でのレフ効果も期待できます。フラッシュヘッドを左右に回転できるスピードライトの場合はカメラに装着したまま壁バウンスを行なうことができます。

バウンス撮影では光が反射面に回るため、瞳に入るキャッチライトは弱めになります。天井バウンスの場合は、スピードライトに内蔵されているキャッチライト反射板を使うとよいでしょう。反射板に当たる光が被写体方向に照射されることで瞳にくっきりと光のアクセントが入り、表情に活気を与えます。被写体の顔に直射光が当たることになるので、光が強すぎる場合には引き出した反射板を少し戻して弱めるなど、反射板を引き出す幅で光の強さを調節する技も覚えておくと便利です。


光を当てる方向で印象を変える

カメラにスピードライトを装着したままの撮影では、どうしても光の向きが限られてしまいます。そんな時はオフカメラ撮影に挑戦してみましょう。カメラからスピードライトを外してスタンドに装着すれば、光の場所を自由に選ぶことができます。高めの位置からの照射も可能になり、人間の目が慣れている太陽光や照明の下での見え方に近い仕上がりを得られます。

スピードライトをカメラからリモート制御する場合は、カメラとスピードライトを直接ケーブルでつなぐ方法以外に、光や電波を使ってワイヤレス制御する方法があります。電波制御を使うと、ケーブルや光が届かない場所にあるスピードライトとも通信が可能になるので、撮影の幅が大きく広がります。電波制御によるワイヤレスライティングを行うには、電波制御機能搭載のスピードライトSB-5000と、ワイヤレスリモートコントローラーWR-R10(及び10ピンターミナル用WR変換アダプターWR-A10)を装着したD500などの電波制御対応カメラの準備が必要です。

オフカメラ撮影 上方左斜め45度から照射
オフカメラ撮影 上方左斜め30度から照射

人物を撮影する場合、顔にかかる影の形や濃さは、その人物をどのように表現したいかという撮影意図と密接な関係を持ちます。たとえば、人物の斜め上方から左45度方向の光を当てると、鼻筋を境にできる深い陰影が印象的な、重厚な雰囲気のポートレートになります。スピードライトの位置を少し正面方向に移動させて左30度くらいの角度から照射すると顔の左右を分断する影がやわらぎ、優しい印象のポートレートを撮影できます。

オフカメラでポートレート撮影すると、カメラの向きや高さとは違う場所から光を当てることができるので、その位置や距離での効果を活かした表情をとらえることができます。スピードライトを置く場所によって変化する顔の陰影の特徴を知って、意図通りのポートレート作品をつくりましょう。

 

アクセサリーを使う

スピードライト撮影をするときには、アクセサリーの効果も見逃せません。
ソフトボックスディフューザーと呼ばれる市販のアクセサリーには、スピードライトの光を拡散させて大きな発光面を作り出す効果があります。基本的に、発光面が大きいほど普段自然光の中で人間が見る印象に近いライティングになります。

ディフューザー使用

ディフューザー(フラッシュベンダーなど)はスピードライトの発光部分に装着して光を拡散させるアクセサリーです。発光面を任意の形状にして固定することができるので、拡散させる光の方向や位置を自在に決めることができます。

ソフトボックス使用 被写体から遠ざけた場合(3m)
ソフトボックス使用 被写体に近づけた場合(1m)

ソフトボックスは、スピードライトの光をボックス内に集めて方向を定めインナーディフューザーを通して照射するアクセサリーです。ソフトボックスと被写体の距離を変化させると光のやわらかさや強さを調節することができます。

光の広がりと強さをコントロールする -照射角

スピードライトがカメラに装着されている場合、スピードライトの照射角は装着しているレンズの焦点距離に合わせてスピードライト自身が自動的に調整します。一方、オフカメラ撮影の場合は照射角を手動で設定する必要があります。

照射角 24mm
照射角 200mm

照射角を手動で設定する場合、レンズが捉える範囲をまんべんなく照らすために広角側に調整するのが一般的ですが、あえて望遠側に設定すると、スポットライトのような効果を出すことができます。

 

スピードライトだけの光で表現する


周囲の光の影響を無くして、スピードライトだけの光で人物を際立たせる印象的なポートレート写真も、オフカメラ1灯で撮影可能です。

黒バック使用 マニュアル発光 M 1/16、f/4.5、1/200秒、ISO 160

被写体と壁との距離を離して背景を黒く落とすか黒いバックを使い、シャッタースピードは高速側にして絞りや感度を調節して全体的に露出を下げ、サイドからのスピードライトのみの光で人物を浮かび上がらせます。ライティングされた部分以外は背景に溶け込むような幻想的なポートレートができあがります。


カメラの設定と組み合わせる


被写体を映し出す光をコントロールする際には、 カメラの撮影設定も大切な要素となります。絞り、シャッタースピード、感度の値を変化させることで、スピードライトの効果による陰影だけでなく、周囲の光とのバランスやコントラストも演出に加えることができます。

スピードライトとカメラの設定を効果的に組み合わせると、スピードライトの効果が生きた高コントラストなポートレートから、スピードライトの使用を感じさせないやわらかな自然光をまとったようなポートレートまで、幅広い表現が可能になります。

マニュアル発光 M 1/32 F/6.3、1/160秒、ISO 800
i-TTL調光 F/4、1/50秒、ISO 1600

同じ場所での同じ被写体の撮影でも、スピードライトの設置位置や光量、周囲の環境光の取り入れ方を変えることで、まったく違ったイメージのポートレート作品に仕上げることができる--いつもの撮影にスピードライトを加えることをお勧めする理由はここにあります。まずはオフカメラ1灯撮影をマスターして、思い通りのポートレート作品づくりの第一歩を踏み出しましょう。

電波制御AWL 1灯ポートレート撮影編 で使った機能
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