TALK:飯野×鈴木(レンズ設計)・足立(商品企画)
キットレンズとは思えない描写力~ 標準ズームキットレンズ24-50&フードのこだわり 編 ~
フォトグラファー 飯野匠紀氏とニコンのZ 5開発メンバー 鈴木(レンズ設計)、足立(商品企画)との対談が動画でお楽しみいただけます。
足立:このポートレート写真は、ボケがすごくきれいですね。
飯野:僕自身びっくりしたんですけど、キットレンズで撮った写真です。50㎜のF6.3で撮影したんですが…今まで思っていたF6.3のボケじゃない!
鈴木:今回「キットレンズを小さく、軽く」という中で、「Fマウントのレンズよりクオリティを上げる」という想いが画質に反映されています。
特に解像感、中央付近の解像感がすごく高いですし。ボケもここまで…私もこの写真を見て、「こんなにきれいに写るんだ!」と思ったくらい、不自然なところがないようなボケに仕上がっていると思います。
飯野:最近のスマートフォンでは、広角域から50㎜の人間の目が見ている感じに近いレンズが出てると思うんですけど…。24-50mmに決めたのは、どんな理由からだったんですか?
鈴木:Z 5との組み合わせで、小型軽量でいつでも持ち出したくなるようなレンズを考えました。「どのくらいの大きさにしようか」に関しては、一眼レフ用でお散歩される方に人気のAF-S NIKKOR 50mm f/1.8Gという単焦点で軽いレンズがあって。
飯野:僕も使ってますよ!
鈴木:ズームであの大きさにできないかな…と。
鈴木:広角側は28mmという選択肢もあったんですが、最近スマートフォンもワイドになってきましたし、テーブルフォトを撮られることも考えて…。スマートフォンから初めてフルサイズを使ってみたいという方のことを意識して「24mm」に決めました。
望遠側はあるに越したことはないんですが、サイズと重さの問題ですね。ここを固定して、どれくらいなら通常の撮影を満たせるかなと考えたときに、「50mm」であれば自然な画角で、クロップを使えば75㎜くらいまで実質的に対応できるので、「最初のコンセプトの大きさと重さを守れる」ということで決めました。
飯野:そういった経緯があったんですね!
軽量の部分ももちろん気に入ったんですけど、フードも個人的に好きで。ストリートで撮っているときに、フードがあることでカツンとぶつけちゃっても守ってくれる安心感があったりして。しかも逆付けしたときに、このフードはすごく小さいですよね?
鈴木:この形については、かなり議論をしていて…。
企画段階では、切り欠きがない円筒状のものもありました。その場合、逆付けで収納して、フードを回して取りたいときにどうしても邪魔になってしまって。花形でカッコよく見えて、しかも光線を十分カットできるように…と考えて、こういう形になったんです。