第2回
小雲 夕 様
首都圏在住
子どもの頃から大の天文ファン。ここ10年くらいは、双眼鏡、双眼望遠鏡、大口径ドブソニアンなど多種多様の観望機材を所有する徹底した眼視観望派。自宅屋上での観望の他、海外へも遠征している。また、毎日の太陽観察も日課で、宇宙への興味は尽きない。著書に『DSO観望ガイドブック』他がある。
豪州“金環皆既日食”と
星空散歩をWXで楽しみたい
ここ10年で“眼視観望”にどっぷりはまったという小雲 夕さん。所有する機材が、双眼鏡→双眼望遠鏡→大口径ドブソニアン…と拡充していく過程で、超広視野双眼鏡の魅力にも気づいた。そんな小雲さんの観望機材に新たに加わり、いまや欠かせないアイテムがWX。首都圏にある見晴らしの良い自宅屋上で気軽に観望を楽しむ一方、より暗い夜空を求めて天城高原、富士山新五合目、南会津など、海外ではハワイ島や西オーストラリアに遠征する。
WX 10×の実視界9.0度は驚異的な世界で、2018年1月の皆既月食では、首都圏での観望ながらWXの高いコントラストも相まって、赤銅色の月を背景に、かに座の四辺形とプレセペ星団など同一視野に無数の星々が見え、それは幻想的で美しい世界だったという。さらに豪州・南天遠征時にWXで初めて見た星空は「自分が宇宙空間にダイブしているかのようで、しばし言葉を失った…」というほどの衝撃だった。
いて座に向ければ、天の川をバックにM16・M17の散光星雲、M24・M25散開星団が同一視野に収まり、みなみじゅうじ座~りゅうこつ座エータカリーナ星雲にかけての天の川下りもすばらしく飽きることがない。小雲さんにとってのWXの魅力は「視野周辺まで極めてシャープで超広視界、好条件のもと眼視で見ると天体写真では表現できない違う世界が見える。視力が衰えないうちは眼視を楽しむべき!」という。フィールドに出るときは、星図ソフトウェア『SkySafari』をタブレット端末で起動し、9度の視野円を表示させ星図として使用、いまどの天体を見ているかを確認しながらWXで星空散歩を楽しむ。
小雲さんのWXの使いこなしは実にシンプルで、観望しやすさを追求した「手の入れ方」をしている。WXは市販の丈夫なエレベーター付き三脚+ビデオ用雲台に搭載、エレベーターを伸ばせば天頂付近までフリーストップで観望可能だ。WXの対物側にはフィルターボックスをセット、対象により干渉フィルターなどをワンタッチで装着できる。WX購入動機の一つとなっている小雲さんの次なる対象は、2023年、豪州・エクスマスにおける“金環皆既日食”だ。「太陽全周のプロミネンスと彩層をWXで見てみたい。新月でもあるので夜は星空を思い切り鑑賞したい」と意気込む。
※日食観測は必ず減光フィルターを使用してください。直接双眼鏡で見ると失明の原因になります。