NIKON

株式会社ニコンビジョン
品質技術部 第二技術課(2017年10月時点)

牛久保 信行

入社以来約44年間、望遠鏡や双眼鏡の評価・検査だけを一徹に行ってきた。
WXシリーズの評価・検査が、長い品質技術部人生の最後の大仕事となった。

「ニコンの信頼」を守る最後の番人。

ニコンの企業理念である「信頼と創造」。そのうちの信頼を支えているのが、品質だ。
そして、その品質を支えているのが品質技術部である。

牛久保はニコンに入社以来、ずっと品質技術部で品質管理に携わってきた。
「我々品質技術部の人間がOKしない限り、どんな製品も日の目を見ることはありません。
その意味で、我々はニコンの信頼を担保する最後の番人というわけです」と牛久保は言う。

組立が終わり、出荷検査を待つWX。WXは全数検査を受けている。
視度調整機構のテスト。一つひとつ丁寧に手作業で行う。

品質技術部の役割の1つが、開発中の製品の評価だ。
双眼鏡の開発は、レンズの並びやプリズムの配置などを定める光学設計と、それらを鏡体に収めるメカ設計の両輪で進められる。品質技術部は設計部とタッグを組んで、その要所要所で評価を行う。
「設計の評価は、設計仕様通りの性能が出ているかどうかを評価することが基本です。たとえば視界中心部から周辺部まで、意図した性能が出ているかどうかなど確認します。メカ設計については、視度調整リングなど各部の作動を装置と手感で評価します」

WXの品質管理は、光学部品で特別な検査が必要で、これまで以上に厳しい精度が必要となった。
例えば、プリズムの精度、コートの特性がある。
それ以外にも設計された仕様通りか、価格に見合った品質であるか、競合製品と比べてどうかなどが厳しくチェックされる。牛久保たちは、比較検討対象として各メーカーの最上位機種をも一堂に揃えて、WXの評価に臨んだ。

WXのアッベ・ケーニッヒ型プリズム(試作品)の透過率を検査している様子。
WXのプリズムは組み込み前に全数検査している。

長い開発期間の中では、開発者たちとは真剣勝負が繰り広げられる。今までに軋轢がなかったと言えば嘘になる。
特に、WXシリーズの中心的な開発メンバーである西岡達志は牛久保よりも社歴が長く、しかも天体の世界では有名な開発者だと牛久保も認識していた。
それでも、突きつけなければならないこともある。その点、牛久保と西岡の二人は、かつて天体望遠鏡の自動追尾装置の評価が立て込んだ時など毎晩のように一緒に過ごしたこともあり、ざっくばらんにものを言える関係にあったことは幸いだったかもしれない。

牛久保は振り返る。「お客さまに満足してもらう為、わたしたちは絶対に妥協しない。
ただ、それだけのことです」

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美しい星空のタイムラプス動画を、Youtubeにて公開中。

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