JUNJI TAKASAGO THE PLANET2 GRAND JOURNEY

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SEASON3 HAWAII 09 / Volcanic Islands

火と溶岩の島々

ハワイの島々は、火山活動によって海の中から生まれ出たものだ。“ホットスポット”と呼ばれる火山活動が盛んなポイントがあって、その上を地球のプレートが動いていくに従い、まずカウアイ島が生まれプレートごと西に移動し、次にオアフ島ができまた西に移動し、マウイ島、ハワイ島、という順にできていったのだ。一番新しい島であるハワイ島は、ご存じのように今も火を噴き、新島を創り、大地を変化させ続けている。ハワイの島々は、まさに生きている島々なのだ。先住ハワイアンたちは古来、そんなダイナミックな自然に翻弄されながらも、地球を母なるもっとも大切な生命体としてとらえ、フラや祈りなどで畏怖の念や感謝、愛情などを示しながら共に生きてきた。生命力あふれる島々は、これからも人や動植物とともに、変化を続けていくことだろう。

ハレアカラから見た銀河の淵

ハレアカラから見た銀河の淵

標高3000mを超えるハレアカラ山に登ると、
銀河の淵(天の川)がよく見え、地球は銀河の一員なのだ、
ということを実感する。赤い色は月の出の色。

噴火するハワイ島

噴火するハワイ島

山の向こうで大地が火を噴くのが見えた。
地球内部のマグマが噴出していると思うと、
急に“地球も生きている”という実感が湧く。

海に入る溶岩 海に入る溶岩

海に入る溶岩

噴出した溶岩は、地表だけでなく溶岩チューブという
地中のトンネルを通り海岸に到達する。
海に入ると大量の水蒸気が上がる。

燃えるような噴火

燃えるような噴火

かなり遠くからでも噴火の炎が夜空を染め上げる様子が見え、
大きな迫力とともにその雰囲気が迫ってくる。

波打つ溶岩

波打つ溶岩

マウナロアの裾野の広がる溶岩地帯。
向こうに見えるのが標高4205mのマウナケア山。

ハワイ島で、真っ赤な溶岩が目の前を流れる光景を、
一晩中、たった一人で眺めていたことがある。
夜空で輝く星、生きている地球、そして確かに生きてそこにいる自分。
体の大小やサイクルの長さの差こそあれ、誕生してから臨終を迎えるまでを生きる、
それぞれの尊い命を感じた貴重な夜だった。

噴火口

噴火口

マウナケア山の頂上付近にある噴火口。
向こうに見えるのは、標高4169mのマウナロア山。

波にもまれる溶岩 波にもまれる溶岩

波にもまれる溶岩

海岸の溶岩は、波にもまれて少しずつ形が変わっていく。

飛沫の虹

飛沫の虹

滝の水が真っ黒な大地を叩いて飛沫(しぶき)を上げ、
そこに美しい虹が現れた。

溶岩ビーチの夕暮れ 溶岩ビーチの夕暮れ

溶岩ビーチの夕暮れ

溶岩は波にもまれ、削られ、やがて小さく黒い砂粒となって集まり、
ブラックサンドビーチを形成する。

地球の鼓動

地球の鼓動

地球の鼓動にも見える波の満ち引きが、溶岩の海岸を洗う。

満月の出

満月の出

オレンジの光を発する満月が雲海の上に顔を出し、
雲の表面を赤く染めた。

銀剣草

銀剣草

一部の高山でしか見られない、銀色の貴重な植物。
宇宙的な雰囲気を醸し出している。

月暈(つきがさ)

月暈(つきがさ)

満月に薄い雲がかかり、光源のまわりに神秘的な虹の輪が現れた。

ナイトレインボー

ナイトレインボー

満月の光が霧に当たって現れた、白い夜の虹。

見過ごしていたハワイが撮れた

今回がハワイ編最終回となるので、僕のハワイでの過ごし方をご紹介しようと思う。
ハワイにはもう何十回も行っているので、友人宅に泊めてもらったり、コンドミニアムに泊まったりして、自分でレンタカーを駆使して島々をグルグルと周って撮影している。いつもなら朝から夜までバリバリに撮影して回るのだけれど、今回の撮影ではのんびりと撮影地を巡ることにした。気持ちもスケジュールもゆっくりとした撮影にしたお蔭か、忙しいとなかなか目に留まらないものを見つけて撮影したり、半日波を眺めて過ごしたことで波の繊細な動きを見つけたりと、ゆったりした撮影ならではの写真が生まれたりもした。
それにしてもハワイは、何度行っても新鮮だし、居心地もいいし、風も心地よかった。

レンタカーを借りて自由に撮影して回る。ハワイでは、お弁当も手に入るのが嬉しい。
コンドミニアムの冷蔵庫。

写真左:レンタカーを借りて自由に撮影して回る。ハワイでは、お弁当も手に入るのが嬉しい。
写真右:コンドミニアムの冷蔵庫。

水中撮影の前の晩、水没しないよう水中ハウジングを慎重にセッティングする。

水中撮影の前の晩、水没しないよう水中ハウジングを慎重にセッティングする。

マウナケア山頂まで乗せて行ってあげることになったご夫婦。山頂で感動を共にした。

マウナケア山頂まで乗せて行ってあげることになったご夫婦。山頂で感動を共にした。

標高4000mでタイムラプス撮影中。意識して大きく呼吸し、高山病にならないようにした。

標高4000mでタイムラプス撮影中。意識して大きく呼吸し、高山病にならないようにした。

D5との出合いが見せてくれた世界

うっすらと空が明るくなってきて、やっとあたりが見えるようになる時間帯に、揺れるボート上から400mmの望遠レンズで遠くの噴火を狙うなんて、少し前なら考えられなかった。しかし噴出する溶岩の色を出すには、こんな時間帯がぴったりだ。そんな厳しい撮影条件の時はD5の出番だ。ISO感度をググっと遠慮なく上げていく。撮った写真を再生すると、しっかりとした画質の写真が、きっちり写し止められている。頼もしい。ときどき上がる水しぶきも、強い防塵防滴を誇るD5を持つときは気にならず、被写体に集中できていい。夜の撮影にも、もちろんD5は最高のパフォーマンスをしてくれる。はっきり言って、目で見ている世界よりも、D5はよりしっかりと世界を見ているようだ。対して通常のコンディションでの撮影には、主にD850を使用する。自然の表情を伝えるには、なるべく高画素で精緻な画像を記録したいからだ。状況に応じて選べる最高の機材があり、これまで諦めていた状況でバンバン作品を残せる時代が来たことに、あらためて感謝したいと思った。

D850

HAWAII ロケ撮影機材リスト

Body
D5D850
Lens
AF-S Fisheye NIKKOR 8-15mm f/3.5-4.5E EDAF-S NIKKOR 14-24mm f/2.8G ED
AF-S NIKKOR 16-35mm f/4G ED VRAF-S NIKKOR 24-70mm f/2.8E ED VR
AF-S NIKKOR 80-400mm f/4.5-5.6G ED VRAF-S VR Micro-Nikkor 105mm f/2.8G IF-ED
撮影協力
・ハワイ州観光局 ・Warren & Minori Evans ・Herb & Kaori Mahelona
銀河の淵

カメラ:D5 レンズ:AF-S Fisheye NIKKOR 8-15mm f/3.5-4.5E ED 画質モード:RAW (14-bit) 撮影モード:マニュアル、15秒、f/4.5
焦点距離:15mm ホワイトバランス:晴天 ISO感度:ISO 6400 ピクチャーコントロール:スタンダード

噴火するハワイ島

カメラ:D5 レンズ:AF-S NIKKOR 80-400mm f/4.5-5.6G ED VR 画質モード:RAW (14-bit) 撮影モード:絞り優先オート、1/1600秒、f/5.6
焦点距離:400mm ホワイトバランス:晴天 ISO感度:ISO 12800 ピクチャーコントロール:スタンダード

海に入る溶岩

カメラ:D5 レンズ:AF-S NIKKOR 80-400mm f/4.5-5.6G ED VR 画質モード:RAW (14-bit) 撮影モード:絞り優先オート、1/3200秒、f/5.6
焦点距離:210mm ホワイトバランス:晴天 ISO感度:ISO 6400 ピクチャーコントロール:スタンダード

海に入る溶岩

カメラ:D5 レンズ:AF-S NIKKOR 80-400mm f/4.5-5.6G ED VR 画質モード:RAW (14-bit) 撮影モード:絞り優先オート、1/1600秒、f/5.6
焦点距離:400mm ホワイトバランス:晴天 ISO感度:ISO 6400 ピクチャーコントロール:スタンダード

燃えるような噴火

カメラ:D5 レンズ:AF-S NIKKOR 14-24mm f/2.8G ED 画質モード:RAW (14-bit) 撮影モード:マニュアル、5秒、f/5.6 
焦点距離:16mm ホワイトバランス:電球 ISO感度:ISO 800 ピクチャーコントロール:スタンダード

波打つ溶岩

カメラ:D850 レンズ:AF-S NIKKOR 16-35mm f/4G ED VR 画質モード:RAW (14-bit) 撮影モード:絞り優先オート、1/125秒、f/16
焦点距離:16mm ホワイトバランス:晴天 ISO感度:ISO 800 ピクチャーコントロール:スタンダード

噴火口

カメラ:D5 レンズ:AF-S NIKKOR 24-70mm f/2.8E ED VR 画質モード:RAW (14-bit) 撮影モード:絞り優先オート、1/50秒、f/16
焦点距離:24mm ホワイトバランス:晴天 ISO感度:ISO 800 ピクチャーコントロール:スタンダード

波にもまれる溶岩

カメラ:D850 レンズ:AF-S NIKKOR 16-35mm f/4G ED VR 画質モード:RAW (14-bit) 撮影モード:絞り優先オート、1/500秒、f/11
焦点距離:18mm ホワイトバランス:晴天 ISO感度:ISO 200 ピクチャーコントロール:ビビッド

波にもまれる溶岩

カメラ:D850 レンズ:AF-S NIKKOR 16-35mm f/4G ED VR 画質モード:RAW (14-bit) 撮影モード:絞り優先オート、1/1.3秒、f/22
焦点距離:16mm ホワイトバランス:晴天 ISO感度:64に対して約1段減感 ピクチャーコントロール:スタンダード

飛沫の虹

カメラ:D850 レンズ:AF-S NIKKOR 80-400mm f/4.5-5.6G ED VR 画質モード:RAW (14-bit) 撮影モード:絞り優先オート、1/3200秒、f/7.1
焦点距離:240mm ホワイトバランス:晴天 ISO感度:ISO 640 ピクチャーコントロール:ビビッド

溶岩ビーチの夕暮れ

カメラ:D850 レンズ:AF-S NIKKOR 16-35mm f/4G ED VR 画質モード:RAW (14-bit) 撮影モード:絞り優先オート、1/400秒、f/11
焦点距離:16mm ホワイトバランス:晴天 ISO感度:ISO 400 ピクチャーコントロール:スタンダード

溶岩ビーチの夕暮れ

カメラ:D850 レンズ:AF-S NIKKOR 16-35mm f/4G ED VR 画質モード:RAW (14-bit) 撮影モード:マニュアル、15秒、f/18 
焦点距離:20mm ホワイトバランス:晴天 ISO感度:64に対して約1段減感 ピクチャーコントロール:スタンダード

地球の鼓動

カメラ:D850 レンズ:AF-S NIKKOR 80-400mm f/4.5-5.6G ED VR 画質モード:RAW (14-bit) 撮影モード:絞り優先オート、1/1600秒、f/9
焦点距離:400mm ホワイトバランス:晴天 ISO感度:ISO 400 ピクチャーコントロール:ビビッド

満月の出

カメラ:D5 レンズ:AF-S NIKKOR 14-24mm f/2.8G ED 画質モード:RAW (14-bit) 撮影モード:マニュアル、25秒、f/11
焦点距離:14mm ホワイトバランス:晴天 ISO感度:ISO 5000 ピクチャーコントロール:スタンダード

銀剣草

カメラ:D850 レンズ:AF-S NIKKOR 14-24mm f/2.8G ED 画質モード:RAW (14-bit) 撮影モード:マニュアル、30秒、f/5.6
焦点距離:15mm ホワイトバランス:電球 ISO感度:ISO 6400 ピクチャーコントロール:スタンダード

月暈(つきがさ)

カメラ:D5 レンズ:AF-S NIKKOR 80-400mm f/4.5-5.6G ED VR 画質モード:RAW (14-bit) 撮影モード:マニュアル、1/5秒、f/5.6
焦点距離:150mm ホワイトバランス:電球 ISO感度:ISO 3200 ピクチャーコントロール:スタンダード

ナイトレインボー

カメラ:D5 レンズ:AF-S NIKKOR 14-24mm f/2.8G ED 画質モード:RAW (14-bit) 撮影モード:マニュアル、3秒、f/2.8
焦点距離:14mm ホワイトバランス:晴天 ISO感度:ISO 3200 ピクチャーコントロール:スタンダード

Profile

高砂淳二JUNJI TAKASAGO

写真家。1962年、宮城県石巻市生まれ。
ダイビング専門誌の専属カメラマンを経て1989年に独立。世界中の国々を訪れ、海の中から生き物、虹、風景、星空まで、地球全体をフィールドに撮影活動を続けている。著書は、「LIGHT on LIFE」「night rainbow ~祝福の虹」「ASTRA」「虹の星」「Children of the Rainbow」「free」「BLUE」「life」(以上小学館)、「Dear Earth」「そら色の夢」「南の夢の海へ」(以上パイインターナショナル)、「クジラの見る夢 ~ジャックマイヨールとの海の日々~」(共著・七賢出版)ほか多数。ザルツブルグ博物館、Nikon THE GALLERY、渋谷パルコ、阪急百貨店、大丸百貨店など写真展多数開催。2008年には、外務省主催・太平洋島サミット記念写真展「Pacific Islands」を担当。海の環境NPO法人“OWS”理事。自然のこと、自然と人間の関係、人間の役割などを、トークショーや、テレビ、ラジオ、雑誌などを通して幅広く伝え続けている。

高砂淳二

推奨環境

Windows
・Microsoft Internet Explorer 11以上
・Microsoft Edge
・Google Chrome 最新版
・Mozilla Firefox 最新版
Mac
・Google Chrome 最新版
・Apple Safari 最新版
・Mozilla Firefox 最新版
モニタサイズ
・1024px x 768px以上の解像度