氷上で育まれる命
毎年2月になると、グリーンランドの海からカナダのセントローレンス湾へと、タテゴトアザラシたちがはるばるやってくる。湾内に浮かぶ流氷の上で、出産、そして子育てを行うためだ。彼らはまるで正確なカレンダーでも持っているかのように、2月末になると、真っ白い氷の上で一斉に仔を産む。そして2週間の授乳期を終えるとオスとメスは交尾を果たし、次のシーズンへの準備に入る。地球のサイクルに合わせた出産や交尾と、季節になると南下してくる流氷という自然の恩恵を使った子育て。アザラシたちはこんな地球規模の生きざまを無心に繰り広げ、子孫を残していく。地球温暖化の進む中、流氷の減少や気温の上昇などでサイクルを狂わされながらも、無垢な瞳で前に進もうとする仔アザラシたちの姿はあまりにも美しかった。
横スクロールでお楽しみください>>