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野鳥の探し方
いつ、どこへ行けば、どのような鳥に出会えるのか?鳥の行動や生態への理解を深めることが、良い野鳥写真を撮るための一番の近道です。
01 環境別の探し方
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住宅街にも野鳥はいます。スズメはもちろんシジュウカラの仲間などは庭先にも現れ、都市公園でも身近な存在です。ジョウビタキやメジロなど姿の美しいものも意外に多いものです。こうした身近な野鳥は初心者からベテランまで野鳥撮影の対象として楽しめます。
都市公園の池にはカワセミがいる場所も多く、冬なら数多くのカモ類やカイツブリなどもねらい目です。
- 田畑や田園地帯は、草原や湿地をはじめとした様々な環境がそろっており、隣接する低山の里山まで含めればほとんどの野鳥が利用できる多様な自然環境があります。そのため、サギ類やシギ・チドリ類、ガン・カモ類、草原性や森林性の小鳥、そしてタカの仲間まで季節ごとに多種多様な野鳥の姿があります。
- 平地の雑木林から広葉樹林、照葉樹林、河畔林、山地の針葉樹林など様々なタイプの森林があり、高山のハイマツ帯も含めそれぞれの植生に応じて野鳥が生息しています。最も野鳥撮影が楽しめる環境とも言え、四季折々、季節ごとに楽しめます。撮影フィールドとしては森林公園など、整備された安全な場所がおすすめです。
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カモ類、サギ類、シギ・チドリ類といった水鳥の生息地として誰もが思い浮かべるのが池や湖沼、河川でしょう。それ以外にもセキレイ類やカワセミ類、カワガラスやミソサザイなど実に多くの鳥種が水辺を利用しています。
湖沼のほとりや河川沿いには草原や森林がある場合もあり、それぞれの環境に棲む鳥の姿も一緒に見られます。
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海岸にはカモメ類をはじめカモ類、ウ類、シギ・チドリ類、アジサシ類、ミサゴやハヤブサなどの猛禽が棲んでいます。さらに船で沖へ出ればミズナギドリ類やウミスズメ類をはじめとする多様な海鳥にも出会えます。
初心者には識別などの点でハードルが高い鳥たちが多いですが、経験を積んだらこれら海の鳥の撮影も楽しみたいものです。
02 季節別の探し方
春
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南方で越冬していた鳥たちが繁殖のために続々日本列島へ渡って来る季節で、身近な留鳥たちも繁殖の時期を迎えます。美しい夏鳥たちの渡来の時期に合わせるかのように森では新緑が芽吹きますので、木々の瑞々しい緑はもちろん、森ではサクラやツツジ、田園ではレンゲなど春らしい花との組み合わせで鳥を撮れば季節感のある絵になります。
一方、干潟や水田などにはシギ類など日本よりもさらに北方まで行く鳥が見られ、こちらも種類によっては夏羽の美しい姿をカメラに収めることができます。
夏
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夏も春に続いて鳥たちの繁殖の季節ですが、平地の森では繁った葉に隠れて鳥の姿が見えにくくなります。そこで、夏は高い山や高原、あるいは海岸沿いの草原などへ行くのがおすすめ。そういう場所にいる鳥たちは平地の森の鳥よりも繁殖時期が遅く、6月以降に目立つ場所でさえずるようになります。子育てシーンに出会うこともあるかもしれません。
7月中旬くらいまででほとんどの鳥たちの雛は巣立ち繁殖の季節は終わりますが、一方、沖縄などでは8月も青い海とアジサシ類の組み合わせといった夏らしい情景が楽しめます。
秋
- 秋は繁殖を終えた鳥たちが南下する季節。日本よりも北で繁殖した鳥たちが南方で越冬するため日本列島を通過していく時期で、干潟や農耕地、水辺では渡り鳥の代表格といえるシギ・チドリ類などが数多く見られます。一方、雑木林でもやはり渡り途中の小鳥や山から里へ下りてくる鳥の姿も見られ、紅葉とともに季節を感じられる撮影も可能です。
冬
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鳥たちにとって冬は非繁殖期のため警戒心が比較的薄くなる季節で、近づいて撮れる可能性があります。例えば都市公園の池で見られるカモ類やカイツブリ類、サギ類などはとても撮りやすいでしょう。
また、森や林は木々の葉が落ちて見通しがきくため鳥の姿を見つけやすい利点があり、冬鳥や留鳥を落ち着いてじっくりと撮影できます。