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PAGETOP
Vol.
21

田川梨絵 × AF-S VR Micro-Nikkor 105mm f/2.8G IF-ED

Micro 105mm f/2.8。内面も写し出すレンズ。

21
写っているのは、血の繋がっていない妹である。十代の頃、亡くなった母への強い想いや思春期の複雑な気持ちを投影するように、幼い彼女を撮り始めた。それが写真家となるきっかけでもあった。そして約20年間、この関係は続いている。今回は小川の流れる森で撮影を行った。ここは以前にも訪れ、妹を撮った場所である。レンズは普段からよく使う、Micro 105mm f/2.8を選んだ。3.0段※の手ブレ補正効果を活かした手持ちのクローズアップ撮影で、彼女という“鏡”に映る自分自身の内面を写し込むことを意識する。カメラボディーは捕捉性、追従性に優れたAFと、鮮鋭感の高い画質を持つD4Sである。
(次へ続く↘)

メインカット

・カメラ : D4S ・レンズ : AF-S VR Micro-Nikkor 105mm f/2.8G IF-ED ・画質モード : 14ビットRAW(NEF) ・撮影モード : 絞り優先オート、1/800秒、f/3 ・ホワイトバランス : 晴天 ・ISO感度 : 200 ・ピクチャーコントロール : スタンダード

作品2

・カメラ:D4S ・レンズ:AF-S VR Micro-Nikkor 105mm f/2.8G IF-ED・画質モード:14ビットRAW(NEF)・撮影モード:絞り優先オート、1/640秒、f/3 ・ホワイトバランス:晴天 ・ISO感度:100 ・ピクチャーコントロール:スタンダード
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朝から森の中のさまざまな場所で妹を撮った。木漏れ日の美しい水辺では、ベストなポジションを求めて小川の中まで入り、気が付けばふたりともずぶ濡れになっている。夢中で求めているものは、妹の表情を活かしきる“光”と“風”と“背景”。コンマ1秒の差、僅かな眼の開き方の違いでも、求めるものとは大きくかけ離れてしまう。狙っても撮れない瞬間を狙って、シャッターをきり続ける。そして夕刻近く、傾いてきた陽の光に輝く新緑を背景に、彼女が手にした本からふと顔を上げた瞬間を撮った。川からの微風が彼女の髪を撫でる。
(次へ続く↙)
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このレンズは、ピントの合った眼や風に揺れる髪、肌の質感を克明に描写し、そこから始まるなだらかな変化の自然なボケ味で表現に深みを与えてくれた。さらに背景の大きなボケが彼女の表情を際立てる。逆光気味であったが、ナノクリスタルコートの効果がここまで透明感のある画をもたらしてくれた。これからも、自分の内面に向き合う
―― 私のNIKKORで。

※CIPA規格準拠(撮影距離が約3mより近距離になるにつれ、効果は徐々に減少)

作品3

・カメラ:D4S ・レンズ:AF-S VR Micro-Nikkor 105mm f/2.8G IF-ED・画質モード:14ビットRAW(NEF)・撮影モード:絞り優先オート、1/640秒、f/3 ・ホワイトバランス:晴天 ・ISO感度:100 ・ピクチャーコントロール:スタンダード

INTERVIEW
MOVIE

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PHOTOGRAPHER

田川梨絵(たがわ りえ)

NIKKOR

AF-S VR Micro-Nikkor 105mm f/2.8G IF-ED

BEHIND THE SCENE

撮影レポート
01
光と風と理想の背景を求めて、小川の流れる森の中へ

  • 不思議な空気感に包まれた撮影場所


  • 小川の岸から撮影ポイントを吟味する田川先生

今回の撮影は、以前から何度か訪れている森へ向うとのこと。車を降り徒歩で20分ほど移動して着いた所は、そのあたりだけ湿原のようになっていて、他の場所とは異なる不思議な雰囲気。低く茂った木々の間を縫うように幾筋もの小川が走り、湿原の切れ目には碧く水を湛えた天然のプールもありました。魚や鳥や虫などの生き物も多い場所です。到着してすぐに、ひとりであちらこちらを探索する田川先生。今日の撮影イメージに合う場所を探しているようです。後で聞いたのですが、妹さんの表情を活かすための背景を探していたのでした。もちろん光の条件も必須です。そして、風が大きな効果をもたらしてくれるともおっしゃっていました。しばらくして戻ると妹さんに声をかけて、いよいよ撮影開始。普段はふたりきりの世界ですが、今回は特別に近くで拝見させていただきました。
02
深く、さらにもう一歩、Micro 105mm f/2.8で迫る

  • D4S+AF-S VR Micro-Nikkor 105mm f/2.8G IF-ED


  • 先ほどの小川の中に入って撮影

まずは、先ほどの小川のひとつで撮影が始まりました。使用するレンズは、AF-S VR Micro-Nikkor 105mm f/2.8G IF-EDです。105mmという中望遠の焦点距離でありながら、最短撮影距離は0.314m(等倍)。被写体にぐっと迫ってより大きく切り取ることが可能です。また、開放F値2.8という明るさと3.0段※の手ブレ補正効果によって、手持ち撮影でもシャープな画像を得ることが可能。特に妹さんを撮影する際にはよく使っているレンズだそうです。「もっと寄って撮りたいと思ったときに、それ以上寄れないとストレスになるので」と田川先生はおっしゃっていました。シャッターをきり続けるごとに先生の集中は高まり、いつしか川の中に体を浸しています。木漏れ日、背景に射す光、水面に反射する光を活かし、さまざまなアングルと距離で妹さんを撮り続けます。

※CIPA規格準拠(撮影距離が約3mより近距離になるにつれ、効果は徐々に減少)
03
まるで、風が吹くように訪れた理想の瞬間

  • 逆光気味の条件で緑を背景に撮り始める


  • かなり近くまで迫って撮り続ける

小川での撮影が終わった後、その他の場所でもシャッターをきり続けた田川先生。夕方に近くなってきた頃、カメラバッグなどを置いた天然プールの近くに戻り、再びひとりでロケハンに向かいます。妹さんはキャンピングチェアーに座り本を読み始めました。しばらくして戻ってきた田川先生。妹さんに小さく声をかけて、そのまま撮影に入りました。最初は2~3メートルほど離れていましたが、徐々に距離を詰め、最後には顔の前、数十センチまで迫って静かにシャッターをきります。田川先生の後ろから撮影風景を見ると、傾いた陽の光が逆光気味に妹さんの髪を輝かせています。背景の緑にも光が注ぎ、暗い森の奥とのコントラストをつくりあげていました。そして小川の方から吹く風が、妹さんの髪をなびかせます。求めていた理想の条件が重なった瞬間。そうして撮影した中のワンシーンが、今回のメインカットとなりました。

こちらに掲載されている情報は、2014年6月現在のものです。

DATA

撮影日: 2014.5.19
写真家: Rie Tagawa
レンズ : AF-S VR Micro-Nikkor 105mm f/2.8G IF-ED
カメラボディー : Nikon D4S
キーワード : ポートレート
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