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鈴木 麻弓 × AF-S NIKKOR 50mm f/1.8G
50mm f/1.8G。人とつながるためのレンズ。
人を撮ることで生まれ、その人を撮り続けることで深まっていく絆を大切にしたい。伊豆半島の南端に近い下田に通いながら、この地の自然や風土と共に生きる人々を撮り続けていることもそのひとつ。今回も、養蜂家や漁師、地域の文化を支える人々を撮影した。
レンズはAF-S NIKKOR 50mm f/1.8G。明るい開放F値と、美しいボケ味を持つこの標準単焦点で、被写体により近づいてその表情を捉えたかった。ボディーは総合画質に優れ、肌の質感描写にも強い高画素機、D810である。
さまざまな場所を訪れて撮影を行った中で、今回のメインカットとして選んだ作品が、若き養蜂家、高橋鉄兵さんの表情である。10年前、ミツバチの奥深さに魅せられてこの道に入り、4年前から父の実家であった下田に移住して本格的な養蜂業を営み始めた。その一途な情熱と弛まぬ努力で、年々着実な成果を上げ、多くの人々の信頼を得ている。
夏の日射しを和らげるため森の中に並べられた巣箱に近づいていくと、採蜜の直後であったため、防護服を着ていても不安なぐらい、攻撃的になったミツバチたちが群がってくる。高橋さんは羽音の唸る中で、静かに作業に取り組み始めた。その表情を捉えるために、怯んではいられない。深い緑に染まる森が背景となるように意識して、巣箱から巣枠を引き上げる高橋さんに思い切って近寄った。
さらにもう一歩、手にした巣枠に大きく近づいて撮る。ピントの合った目は高い解像力でシャープに描写され、手前の巣枠と背景になった森の、大きく美しいボケがその愛情あふれる眼差しを際立てた。これからも、人との絆を深めていく
―― 私のNIKKORで。
INTERVIEW MOVIE
PHOTOGRAPHER
NIKKOR
BEHIND THE SCENE
今回の撮影地は伊豆半島のほぼ南端に位置する下田市。急峻な山々がそのまま海岸線へとつながるような伊豆半島の地形によって、山と海の距離がとても近く豊かで美しい自然に恵まれています。特に下田近辺の浜は砂が白く、透き通った水の青さが際立ちます。またここはペリー提督が来航し日本開国の“扉”となった場所。だからでしょうか、人々はとても親しみやすく、また、新しい文化を取り入れる気風を感じさせます。鈴木先生はこの下田で、写真雑誌が企画しニコンもサポートする「下田写真部」の指導を務めました。この写真部の活動は、参加する下田在住のメンバーが、撮影によって自分たちの暮らす下田の魅力を再発見したり、老若男女さまざまな人々との絆を深めたりしながら、それぞれの写真作品を通じて地域を元気にしていこうというものです。鈴木先生はこの活動のために下田を何度も訪れ、写真部の人たちとはもちろん、下田に暮らす多くの人々と出会い親交を深めてきました。今回は、そのようにして知り合った農家や漁師の方々、地域の伝統やカルチャーを支えている人々の撮影に臨みました。
今回使用したのはAF-S NIKKOR 50mm f/1.8G。開放F値1.8の明るい単焦点標準レンズで、高い解像力と美しいボケを得ることができます。50mmという焦点距離は、ポートレート、風景、スナップなど、あらゆる撮影の基本と言えます。今回の撮影にご協力いただいた方たちは、下田でフラの文化を伝える、Halau O Ehukai Tomonaga(ハーラウ・オ・エフカイ・トモナガ)の朝永由香先生と約50人の生徒さん、南伊豆名物の金目鯛を釣る漁師の田中舟一さん、市内で雑貨店を営む金指ちひろさん、吉佐美大浜や多々戸浜のキッズサーファー、そして山間部で養蜂業を営む高橋鉄兵さんでした。海辺から山奥、市街地、さらに下田沖の船上まで、まさにこの地の魅力を発掘するようなさまざまな場所での撮影となりました。このレンズは約185gと非常に軽く、またコンパクトなため抜群の機動力で撮影をサポート。特に、日の出前後の限られた時間、近くに寄ったり大きく離れたりとさまざまな構図に挑戦したフラの撮影や、大きく揺れる狭い漁船の甲板でその威力を発揮。鈴木先生も「とてもフットワークのよい撮影を行うことができました」とおっしゃっていました。
さまざまな場所で下田の人々を撮影した中で、今回のメインカットとなった作品が養蜂家の高橋さんの作業風景でした。下田駅から車で十数分走った山の中にある高橋さんのお宅はお父さんの実家だったところ。約10年前に養蜂に取り組み始めたころ、神奈川県の海老名市からこの家に足しげく通っていたそうです。そして4年前ここに移住することを決意。いまミツバチの数も順調に増え続けてオリジナル商品なども開発。夢はさらに膨らんでいます。ミツバチたちの巣箱が置いてある場所は、さらに山奥に入った森の中でした。採蜜の直後であったため、白い防護服を着て巣箱に近づいていくとミツバチたちが威嚇してきます。巣箱の蓋を開けるとさらに大騒ぎに。高橋さんの近くでカメラを構える鈴木先生にもハチが群がっていました。それでも先生は果敢に巣箱に近づき、さらに蜂蜜の詰まった巣枠を取り出す高橋さんにギリギリまで迫ります。そして、暗く落ちた森を背景に、手にした巣枠越しに高橋さんの表情を捉えました。それが、今回のメインカット。ピントの合った眼はシャープに描写され、ひたむきな情熱を伝えます。手前と背景は美しくぼけて、高橋さんの表情をより印象的にしています。シャッターをきる瞬間、高橋さんと鈴木先生の気持ちがひとつになったことを感じさせる一枚となりました。
こちらに掲載されている情報は、2016年8月現在のものです。
DATA
- 写真家:Mayumi Suzuki
- レンズ:AF-S NIKKOR 50mm f/1.8G
- カメラボディー:Nikon D810
- キーワード :ポートレート