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笹岡啓子 × AF-S NIKKOR 18-35mm f/3.5-4.5G ED
18-35mm f/3.5-4.5。境界の風景を撮る。
内面と外観、日常と非日常、過去と未来、破壊と再生、人工と自然など、さまざまな異なる事象が入り組みせめぎ合う場所に意識を向けている。十数年にわたって、日本各地の海岸線を撮り続けていることもそのひとつ。
今回の撮影は南房総の千倉にある磯で行った。ここ十年ほど通い続けているが、天候や季節、潮の満ち引きなどで、訪れる度に違う表情を見せてくれる場所である。レンズは、自分の眼で見たイメージに近い広角から、さらに広い風景を狙うための超広角までをカバーし、かつコンパクトな18-35mmを選んだ。カメラボディーは、小型・軽量の機動性と高感度性能、高画質を併せ持つDfである。
足元の悪い岩場を移動しながらの手持ち撮影に威力を発揮する組み合わせだ。撮影当日は大潮で、波も程よく立っていた。早朝から広大な磯のさまざまなポイントで撮り続ける。そして、陽が少し高くなった時刻、黒潮の海に突き出た大きな岩に釣り人を見つけレンズを向けた。
陸と海の接する際。人が自分の足で踏み込めるギリギリの境界である。
ちょうど朝霧の間から射し込んで来た光で釣り人をシルエットにし、ワイド端18mmの超広角で撮る。手前に大きく岩と波を入れ、水平線と空を背景にした。このレンズは手前のダイナミックな岩肌のディテールや打ち寄せる波の表情はもとより、広い画面の隅々までゆがみを抑え緻密に描写し、豊かな臨場感を与えてくれた。
これからも、さまざまな事象のせめぎ合う場所に立つ ―― 私のNIKKORで。
INTERVIEW MOVIE
PHOTOGRAPHER
NIKKOR
BEHIND THE SCENE
今回撮影に訪れたのは房総半島の南端、千倉にある磯。笹岡先生がここ十年ほど通い続けている場所で、釣り人にも非常に人気があるとか。先生は、北海道、青森、秋田から、三宅島、紀伊半島、沖縄本島まで、日本各地の海岸を撮影していますが、この場所は中でもお気に入りの撮影スポットだそうです。たしかに、磯に立ってみて驚いたのは、そのスケールの大きさ。海岸沿いの道路からしばらく移動すると、まるでSF映画の舞台となる未知の惑星のようです。長い年月をかけて風と雨と潮に削られた岩が、オブジェのような美しさと、恐ろしいまでの迫力を持って眼に迫ります。その日の天候や潮の満ち引きなどによって、印象もガラリと変わるそうで、なるほど被写体としての魅力は十分。先生は断崖の上にいた釣り人に話しかけ、撮影を開始しました。
磯は非常に変化と起伏が激しく、なかなか真っ直ぐには進めません。脆い岩もあり、足元はかなり不安定。笹岡先生はその状況で、軽やかに移動を繰り返し、さまざまなスポットから、さまざまな画角で釣り人や岩の景観などを手持ちで撮り続けます。その撮影スタイルにコンパクトで軽量なAF-S NIKKOR 18-35mm f/3.5-4.5G EDと、やはり小型・軽量なDfが大きく貢献しています。中判カメラで撮影することも多い笹岡先生ですが、その場合は、あまり多くのカット数は望めないとおっしゃっていました。機動力の高さは、シャッターチャンスの多さにも比例するのではないでしょうか。しかも、高感度性能に優れたDfなら、夜明け前や夕暮れなど、光の少ない状況でも幅広い対応力で満足のいく画質を提供してくれます。先生は、常に場所を変えながら、釣り人を見つけてはその姿をカメラに収めていきます。
撮影を開始してからしばらく時間が経ち、朝日も少し高い位置になってきました。雲はありますが空は晴れています。海からでしょうか薄い霧が周囲に漂い、光が全体に回っているような印象。沖を見ると雲と霧の合間から光が射し海面がキラキラと輝いています。そしてこのあたりでも特に大きな岩の上に釣り人を発見。いい具合に逆光の中のシルエットになっていました。勢いよく潮が流れ込む磯の裂け目をはさんだポジションから釣り人を撮り始める先生。偶然にも、射し込む光はさらに強くなり、光と影、陸と海、人と自然のコントラストが強調されます。それが、今回のメイン作品。18mmの超広角で、ダイナミックな岩と力強い潮の流れを前面に大きく入れ、遠く海と空を背景にすることで、まるで、その場所に立っているかのような奥行と臨場感が感じられる一枚となりました。
こちらに掲載されている情報は、2014年7月現在のものです。
DATA
- 撮影日: 2014.6.1
- 写真家: Keiko Sasaoka
- レンズ : AF-S NIKKOR 18-35mm f/3.5-4.5G ED
- カメラボディー : Nikon Df
- キーワード :風景・自然