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私のNIKKOR | MY FAVORITE NIKKOR

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Vol.
03

大和田 良 × AF-S NIKKOR 35mm f/1.4G

35mm f/1.4。自分のアングルを探すための眼。

メインカット

メインカット

・カメラ : D800E ・レンズ : AF-S NIKKOR 35mm f/1.4G ・画質モード : 14 ビットRAW(NEF) ・撮影モード:絞り優先オート、3秒、f/5.6・ホワイトバランス:AUTO 1 ・ISO 感度:100 ・ピクチャーコントロール: スタンダード

考えれば小さな頃から、自分なりの物事の見方や考え方にこだわっていたと思う。10代は自分のやりたいことが何なのかとばかり考え、バンドの活動に夢中になった時期もあった。

しかし満足する結果はなかなか得られなかった。もっと自分の視点を明確に表現したかった。だから、写真に出会えたことは幸運だったと思う。東京の大学で写真を学び始めた頃は、50mmの単焦点レンズ1本を自分の眼として、街を歩き続けていた。その後、プロの写真家として、ポートレートやコマーシャルフォト、エディトリアルなどさまざまなジャンルに取り組んできたが、その習慣はいまも変わらない。

作品2

作品2:ビル屋上西側方面の夜景

・カメラ:D800E ・レンズ:AF-S NIKKOR 35mm f/1.4G・画質モード:14 ビットRAW(NEF)・撮影モード:絞り優先オート、10 秒、f/5.6 ・ホワイトバランス:オート1・ISO感度:100・ピクチャーコントロール:スタンダード

気が付けば常に自分のアングルを探し歩いている。今回の撮影テーマは、f/1.4と非常に明るい35mmの大口径広角レンズで、その鮮鋭な解像力を活かして都会の夜を撮影すること。

試行錯誤の結果、東京タワーを撮影することに決めた。かなり歩きまわってロケハンを重ね、最終的にこの場所を選んだ。カメラボディーはD800E。高画素のカメラと高解像なレンズによって、より精細に夜のランドスケープを捉えることが狙いだった。

作品3

作品3:この夜のもうひとつのアングル(芝公園からの東京タワー)

・カメラ:D800E ・レンズ:AF-S NIKKOR 35mm f/1.4G・画質モード:14 ビットRAW(NEF)・撮影モード:絞り優先オート、13 秒、f/11 ・ホワイトバランス:オート1・ISO感度:100・ピクチャーコントロール:スタンダード

54階の高層ビルの屋上から見えるさまざまな光を意識しつつ、東京タワーの形が最も良く見えるアングルをさらに探る。フレームのすみずみにまで散在する点光源が歪みなく捉えられ、ナノクリスタルコートが無駄な光の反射を制御することで、暗い場所と光のある場所を明瞭なコントラストで描くことができた。

実は、撮影のもうひとつのテーマは、大都会の夜にわずかに残る闇。そんな儚い闇を適切な階調で表現できたことがとても嬉しかった。写真をはじめてから今まで、周囲の環境も自分自身も常に変化していった。しかしこれからもずっと、表現者としての自分なりの視点・アングルを探し続けていく ―― 私のNIKKORで。

PHOTOGRAPHER

大和田 良
大和田 良(おおわだ りょう)

1978年、宮城県仙台市生まれ。東京工芸大学大学院 芸術学研究科修了。2005年、スイスのエリゼ美術館『reGeneration: 50 Photographers of Tomorrow』展に選出される。以降、国内外で作品展示、写真集刊行を展開する。さらに雑誌、広告などの分野でも活躍しつつ、独自の視点を活かした作品制作を続けている。東京工芸大学非常勤講師、ニコンカレッジの講師も務める。

プロフィール

NIKKOR

AF-S NIKKOR 35mm f/1.4G
AF-S NIKKOR 35mm f/1.4G

風景、夜景、星の撮影に最適な大口径広角レンズ

色収差を効果的に軽減した開放絞りでの高解像力と、自然なボケ形状を両立させた、描写性能の高い大口径広角レンズ。コマ収差も少なく、点光源の多い星空や夜景の撮影に最適です。ゴースト、フレアの少ない鮮明な画像が得られるナノクリスタルコートを採用。SWMの搭載で静粛なAFも実現しています。

製品情報more
レンズ解説

BEHIND THE SCENE

撮影レポート
01
足でベストアングルを探す

テーマは東京タワーをメインとした夜景。しかし、東京タワーをどこからどのように撮るのかを決めなければいけません。そのアングルを探すためのロケーションハンティング(ロケハン)につき合わせていただきました。まず、芝公園を起点に赤羽橋方面へ向かい、麻布十番から六本木方面まで歩いて移動しながら、綿密にベストアングルを探しました。大和田先生は日頃も時間があればこのようなロケハンを行っているそうで、大通りから路地へ、路地から丘の上の高層マンション街の一角へと、迷路のような場所をどんどん歩き続けます。その間、ビルの隙間や道路の奥、丘の上などから東京タワーが突然姿を現し、ちょっとした探検気分でした。そして、六本木ヒルズ周辺から今度は地下鉄で大門まで戻り、そこから芝公園、御成門付近をくまなく歩きました。

02
海抜270mのベストアングル

ロケハンは2日にわたり、最終的な撮影場所は、六本木ヒルズ森タワー(地上54階)屋上のスカイデッキに決まりました。海抜270mに位置するオープンエア形式の施設で、360度の眺望をガラス越しではなくダイレクトに撮ることができます。カメラボディーは、大和田先生が最近メインで使用しているD800E。有効画素数3630万画素で、さらにローパスフィルターの働きを無効にしたこのカメラの鮮鋭感を、明るく高解像なNIKKOR 35mm f/1.4Gが最大限に活かします。撮影開始は陽が落ちて東の空が暗くなり始める午後6時前。スカイデッキでも最適なアングルを決め三脚をセットし、ボディー内に搭載された水準器で微妙な傾きを調整。東京タワーを中心に、ビル群の灯りと空のバランスを意識しながら、長時間露光による撮影が進みました。

03
夜空の色、無数の点光源、わずかに残る闇を捉えた

西の空はまだまだ明るく、夜景の撮影には少し時間が早いのでは、と思っていました。しかし撮り出してその時間帯の意味がよくわかりました。東京タワー側の空が、西空の明るさに応えるように、碧く輝いているのです。何とも不思議な空の色でした。大和田先生によると8時を過ぎると空全体が黒くなり、さらにオフィスの密集したこの付近のビルの灯りはどんどん少なくなっていくのだということでした。そして今回の最高の一枚が撮影されました。碧く発光する夜空を背景に、キャンドルのように暖かい光を放つ東京タワー。シャープなフォーカスで複雑な鉄骨の一本一本まで克明に描写することができました。まるでタワーからこぼれ落ちたような無数の点光源もコマ収差や色収差が抑えられ、緻密な点描のような美しさ。そしてナノクリスタルコートによって無駄な反射が制御され、光と闇を明瞭なコントラストで描くことができました。大和田先生の狙いどおり、大都会の夜に残されたわずかな闇が適切な階調で表現されたのです。

こちらに掲載されている情報は、2012年11月現在のものです。

DATA

  • 撮影日: 2012.10.16
  • 写真家: Ryo Ohwada
  • レンズ : AF-S NIKKOR 35mm f/1.4G
  • カメラボディー : Nikon D800E
  • キーワード :風景・自然
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