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KEN五島 × PC-E NIKKOR 24mm f/3.5D ED
PC-E 24mm f/3.5。城郭建築の真髄と向き合う。
15年以上前、バイクツーリングで訪れた北海道で“炭鉱遺産”と呼ばれる産業構造物と出合った。かつて、多くの人々が働き、あるいは暮していた頃の記憶を残しながらも、風雪にさらされ徐々に自然と融合していく姿に、深い感動をおぼえた。その体験が建築写真家としての起点だったと思う。
今回は日本の城郭建築をテーマとし、レンズには建築物の外観撮影に最適な、PC-E NIKKOR 24mm f/3.5D EDを選んだ。被写体のパースペクティブをコントロールする機能を持つ広角レンズである。
カメラボディーは、夜間や早朝の撮影、悪天候なども考慮し、高感度性能や優れた画質、高い防塵・防滴性などによって、あらゆる条件下で高いパフォーマンスを発揮するD4Sとした。撮影は東北から始まり、九州、四国、近畿各地の城を巡った。そのいずれもが日本有数の巨大な伝統建築である。
広い画角、大きなイメージサークルを持ち、パースペクティブをコントロールする光軸調整が可能なこのレンズの特性を最大限に活かすことを意識した。その中の一枚が、今回のメイン作品となった夕景の熊本城天守閣。通常の撮影ポイントは被写体正面の位置であるが、あえて少し右側から撮り、重層的な屋根と美しい弧を描く石垣が生み出す躍動感を表現することを狙った。
そして夕日が小天守の後ろに来るまで待ち、まるで仁王立ちする武者のような威風堂々たる、その姿を収めた。画面のすみずみに至る高い解像感はもちろん、逆光の中でナノクリスタルコートがゴーストやフレアを抑え、クリアーな表現となった。これからも建築と向き合っていく
―― 私のNIKKORで。
INTERVIEW MOVIE
PHOTOGRAPHER
NIKKOR
BEHIND THE SCENE
今回のテーマは、日本の城郭建築。各地を代表する名城を巡る撮影となりました。福島県会津若松市の会津鶴ヶ城(若松城)を皮きりに、熊本市の熊本城、愛媛県松山市の松山城、そして兵庫県姫路市の姫路城を主な被写体としました。このコラムでは、メイン作品となった、熊本城の撮影シーンをご紹介します。実は五島先生が撮影のため熊本入りした日、九州南部は警報が発令されるほどの大雨でした。先生はその中でも可能な限りの撮影を行ってくださいました。皆が太陽の光がある状況はあきらめていたのですが、最終日前日に奇跡的に天候が回復し始め、夕方にはメイン作品のような夕日を背景とすることができたのです。先生の『撮りたい!』という強い気持ちが光をもたらしたのかも知れません。
五島先生とPC-E NIKKOR 24mm f/3.5D EDとの付き合いは約7年。このレンズが発売されると同時に手に入れられたそうです。今回の撮影でも迷わずに選ばれた一本。普通のレンズとは異なり、レンズの鏡筒を上下にスライドさせたり、回転させたりすることなどが可能です。これによりパースペクティブ・コントロール(PC)を行い、被写体を見た目に近い状態で撮ることが可能になるのです。特に大きな建築物の撮影には、広角でかつPC機能を備えた、PC-E 24mmは理想的と言えるでしょう。また先生は、それぞれの城を夕方や夜、明け方にも撮影することや悪天候も考慮し、ボディーをD4Sとしました。優れた高感度性能、安定した高い画質、防塵・防滴仕様などのハイパフォーマンスな機材です。豪雨の中での撮影においても、とても頼りになりました。絶対の信頼をおける機材でこの日、雨の上がった熊本城の撮影に向かいました。
比較作例による、
PCレンズのメリット紹介
五島先生に特別にお願いして、通常のレンズとPCレンズとの違いを解りやすくお伝えするための作例を撮影していただきました。PCレンズの良さが、まさに一目瞭然です。
[撮影の前に]
PCレンズを使用する際は、カメラボディーの垂直水平を“水準器”などで正確に取っておく必要があります。
通常撮影
見上げるようにカメラを上に向けて撮ったもの。通常のレンズの場合このような撮影方法になりますが、被写体の上部がすぼまり、天守閣が小さく窮屈に写ります。
シフト撮影
カメラを正対(真っ直ぐ)にした状態で、 PCレンズのシフト機構を使いレンズ鏡筒のみを上にスライド(ライズ)して撮影したもの。上部のパースがコントロールされ、天守閣が真っ直ぐに堂々と写ります。
天候に恵まれ、この日は早朝からさまざまな場所を撮影しました。そして夕刻。太陽が天守閣の向こう側、狙っていた場所に移動し始めます。先生は天守閣の正面の広場でしばらく立ち止まった後、右側へ歩いていきます。そして目立たない片隅の場所でセッティングを始めました。普通の人ならここから撮ろうと思わないような場所です。そして、PCレンズを操作して構図を探ります。斜め右側から狙うことで、折り重なる屋根が少し角度を変えさらに美しく見えます。そして、正面からは見えなかった右側の石垣が、深い空堀に向かって見事な曲線を描いていました。なるほどこの構図。しかしそれはPCレンズだからこそ得られるものです。そして、撮影された今回のメイン作品。西の空を染める夕日が小天守の屋根にかかる理想的な位置。逆光にも関わらずナノクリスタルコートの効果でゴーストもフレアも目立ちません。そして画面全体にわたる高い解像感。まさにこのレンズの特性を出しきった、秀逸の出来栄えでした。
こちらに掲載されている情報は、2015年7月現在のものです。
DATA
- 撮影日:2015.6.6-21
- 写真家:KEN Goshima
- レンズ:PC-E NIKKOR 24mm f/3.5D ED
- カメラボディー:Nikon D4S
- キーワード :その他