映像クリエイターのための
N-RAW使いこなしガイド
Reference Book
for N-RAW

クリエイターが思い描いた
色彩とトーンをN-RAWから引き出す

クリエイターのN-RAWカラーグレーディング術N-RAW用オリジナルLUTを公開!

NEWS

  • 映像クリエイターのためのN-RAW使いこなしガイド「Reference Book for N-RAW」を公開

Creator's TALK

クリエイターが語るN-RAWの魅力

プロフィール画像 : Suyorukunさん
シネマトグラファー
Suyorukunさん

「映画的な表現をしたいならRAWで撮っておくと安心です。さらに撮影を楽しみたいのなら、僕はZ6IIIのようにできるだけコンパクトでRAWが撮れるカメラを選びます」

プロフィール画像 : JEMMAさん
ビデオグラファー
JEMMAさん

「自分の色を追求したい人は、写真も動画も最初からRAWで撮影したほうがストレスがないと思います。回り道せずに自分の好きな色に到達できる気がします」

プロフィール画像 : 井上卓郎さん
山岳映像家
井上卓郎さん

「N-RAWは用途に合わせて解像度を選べるのがメリットです。しかも他のRAWと比べて容量を抑えられるので、扱いやすいんです」

解説:井上卓郎

RAW動画とは?

12bitで得られる幅広い階調と豊富な色

8bit

H.264等で圧縮
階調:256階調
色数:約1677万色

10bit

H.265、ProRes等で圧縮
階調:1024階調
色数:約10億7374万色

12bit

RAW
階調:4096階調
色数:約680億7194万色

ビット深度が高いほど、色の表現がより滑らかになり、バンディング(帯状の色ムラ)の少ない高品質な映像を実現でき、表現の幅が広がります。
カラーグレーディングを行い印象的な映像表現を目指すのに向いています。
広いダイナミックレンジと滑らかな階調表現、Rec.2020の広い色域により、自然界の色に近い豊かで鮮やかな表現が可能です。
RAWデータなので、ホワイトバランスや色調、シャープネスなどを後で自由に調整できます。
RAWとH.265の関係は、写真におけるRAWとJPEGに相当すると考えてよいでしょう。

N-RAWとは?

同じ12bit RAWでもN-RAWは容量を落として長時間記録できる!

N-RAW

例:Z6III 6K/30pで1TBのメディアに
高画質:約1時間11分、標準:約2時間

ProRes RAW

例:Z6III 6K/30pで1TBのメディアに
約27分

一方でRAWのデメリットは一般的な動画記録形式であるH.264やH.265と比べて記録容量が増えてしまうことです。動画の場合はこれがメディア容量を圧迫してしまうことになります。
ところが、N-RAWは同じ12bit RAWであっても、ProRes RAWに比べて容量を抑えることができ、圧倒的に長時間記録ができることになります。

N-RAW制作で必要なモノ

必ず対応した編集ソフトが必要に

1.N-RAW撮影が可能なカメラ(2025年2月時点)

Z9
Z8
Z6III

Z9、Z8、そしてZ6IIIがN-RAW収録に対応しています。
Z9/Z8は最高8.3K 60p、Z6IIIは6K 60pでの撮影が可能です。
さらに、4Kであってもノンクロップ(画角が変わらない)でRAW撮影でき、最大120pのスローモーションを収録できます。

2.記録メディア

※画像はイメージです

対応するCFexpress Type Bメモリーカード

大容量かつ持続書き込み速度が速いCFexpress Type Bカードが必要です。
必ず推奨するメディアの中から選びましょう。

Z6IIIのRAW動画撮影に使用できるメモリーカードについて

3.編集ソフト

ブラックマジックデザインDaVinci Resolve

制限なくN-RAWを扱えるのは、カラーグレーディングの定番ソフトDaVinci Resolveだけです(2025年2月時点)。
無料版でもN-RAWに対応しています。編集、カラーグレーディング、出力まで、映像制作のすべてを1 本のソフトで完結させることができます。

N-RAW撮影のポイント

【高画質】と【標準】の選択

【高画質】は、高いビットレートで記録され、より多くのデータを保持し、高品質の画像を提供します。ただし、ファイルサイズが大きくなります。

一方、【標準】画質は、より高い圧縮率を使用するため、ファイルサイズが小さくなり、ストレージ容量を節約できます。しかし、画像の品質がやや劣化する可能性があります。

階調モード【SDR】と【N-Log】の選択

RAWを選択した場合、階調モードとして、【SDR】か【N-Log】かを選択します。ただし【SDR】で撮影しても編集ソフト側でN-Logに戻すことができます。両者の違いは、【SDR】はISO800未満の低感度で撮影可能で、暗部のノイズ性能に優れること。【N-Log】は最低ISO感度は800となり、比較するとハイライト側のダイナミックレンジ性能に優れているので、より自由度の高いグレーディングを行いたい場合にオススメです。

【SDR】を選択すると、フレキシブルカラーピクチャーコントロールで作成したルックを見ながら撮影することが可能です。

露出モニタリングツールで適正な露出を確認する

RAWは後から調整できるとはいえ、完全に白飛びや黒潰れした部分は修復が困難です。露出を確認するツールとしてヒストグラム、ウェーブフォームモニター、そしてゼブラ表示があります。

ヒストグラムは分布がなるべく偏りなく中央に、ウェーブフォームモニターは波形が画面全体にバランスよく分布するように、ゼブラ表示はゼブラパターンが画像の重要な部分に過度に現れないよう露出を調整します。

これらのツールを使い、適正な露出に合わせましょう。

ヒストグラム

画像の明るさ(輝度)の分布をグラフで表す

ウェーブフォームモニター

画面内の輝度信号と色信号のレベルを波形で表示

ゼブラ表示

ハイライト部分(非常に明るい部分)を斜線で表示

N-Logを選択したら【ビューアシスト】をONに

N-Logで撮影する際、モニターに浅い色で表示されます。【ビューアシスト】をONにすると、N-Logのフラットなトーンカーブを補正し、モニター上でより自然な色合いとコントラストで映像を確認できます。

これにより、撮影時に実際の映像の見え方を確認できるので、露出や色彩などの調整がしやすくなります。

ビューアシストOFF

ビューアシストON

N-RAWの編集方法

N-RAWを編集するには対応した編集ソフトが必要

N-RAWを編集するには、N-RAWを読み込める編集ソフトが必要です。ブラックマジックデザインのDaVinci Resolveは無料版でもN-RAWファイルを扱うことが可能です。無料版の場合、書き出せる最大解像度は4K UHDまでに制限されますが、8.3Kや6Kの高解像度N-RAW素材を読み込んで編集することは可能です。
また、ノイズリダクションなどの一部高度な機能は使用できませんが、基本的な編集作業は十分に行えます(2025年2月時点)。まずは無料版で試してみることをオススメします。

N-RAWカラーグレーディング

クリエイターのノウハウを公開

プロフィール画像 : Suyorukunさん
シネマトグラファー
Suyorukunさん

パワーウィンドウを活用して、他に影響を及ぼさずに色のコントラストをつけていく

「今回、Z6IIIのN-RAWで『Drama Queens』というショートムービーを作成しました。その素材をもとにして、どのように色のコントラストをつけていくのかという方法を動画で解説します。特にパワーウィンドウを効果的に使うことで、色が被ることなく自然に見えるグレーディングに仕上げることができます」

プロフィール画像 : 軍司拓実さん
ディレクター/フォトグラファー
軍司拓実さん

RGBのバランスを調整して自分好みのフィルムルックを追求

「写真フィルムのカラーネガの色に近づけることを目指して、RGBのトーンカーブでバランスを調整していきながら、自分好みのフィルムルックに仕上げていきます。撮影時にはフレキシブルカラーピクチャーコントロールを利用して、最終のルックを想定しながら撮影しています」

プロフィール画像 : 大川優介さん
映像クリエイター
大川優介さん
プロフィール画像 : 萩原正輝さん<em>(TREE Digital Studio / DIGITAL GARDEN)</em>
カラリスト
萩原正輝さん(TREE Digital Studio / DIGITAL GARDEN)

フィルムライクでノスタルジックな質感と雰囲気を追求した

「今回の作品でのテーマはフィルムライクで、現代的な4Kや8Kといった高画質表現とは一線を画した、フィルムライクでノスタルジックな質感と雰囲気を追求しました。これは、繊細なRAW素材を活かしつつ、視覚的な美しさを引き出すための挑戦でもあります」

プロフィール画像 : 正垣琢磨さん
映像クリエイター
正垣琢磨さん

秋を意識したオリジナルのLUTとフィルムLUTを重ね掛けする

「オリジナルで作ったLUTと既存のLUTをパラレルノードを使って、重ね掛けしています。ティール&オレンジを意識した秋の深い色合いを表現したLUTです。キー出力のゲインを調整してブレンドしています」

プロフィール画像 : 小原 穣さん
映画監督・映像作家・撮影監督
小原 穣さん

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