まず手に取ってその軽さに驚いた。今回は Z 6II との組み合わせで撮影したが、機動力が高く、まさに日常使いができる1本。開放F値がF2.8で一定の望遠ズームと言えば、大きく重たいのが一般的だが、機動力を優先したい場面でも迷わず持って行ける気軽さはとても便利だ。ふだん600mm以上で撮影する私の代表作「月と岐阜城」をこのレンズで引きの構図を試したところ、空の表情を広くダイナミックに捉えられ、このレンズのおかげで表現の幅を広げられた。テレコンバーターにも対応し、TC-2.0xを使えば360mmの超望遠域までカバーできる点もまた、このレンズの利便性をさらに高めていると思う。
写真を通じて、地元・岐阜の魅力を伝えていくのがライフワーク。岐阜市をはじめ、各自治体とのタイアップ事業に注力している。2023年に写真家として起業。一級建築士。
写真を通じて、地元・岐阜の魅力を伝えていくのがライフワーク。岐阜市をはじめ、各自治体とのタイアップ事業に注力している。2023年に写真家として起業。一級建築士。
岐阜市では、夜に「ぎふ長良川の鵜飼」の開始を告げる花火が4発だけ上がる。岐阜城と重ねて撮れる場所に三脚をセットし、長時間露光で花火の光跡を捉えた。広角端70mmで花火全体を構図に収めつつ、F10まで絞ることで岐阜城を含めた全体をシャープに解像できている。
世界遺産・白川郷の合掌集落を撮影。田植えを終えたばかりの水田にはリフレクションも見られる。F8まで絞れば被写界深度が深く、十分な解像感が得られる。ふだん、風景撮影では三脚でしっかりと構図を決めることが多いが、レンズが軽く手持ちでも問題なく撮影できるため、集落全体のフォトウォークを楽しめた。
忠節橋は岐阜市の長良川に架かる鋼製のアーチ橋だ。1948年に竣工と歴史は古く、現在もその美しいアーチ型が見事だ。夕日が沈むタイミングを狙い、橋と人物をシルエットにしてドラマチックに表現。TC-2.0xで360mmの超望遠を得ることで、橋を大胆に切り取れた。
ローカル線の樽見鉄道を撮影した。アジサイが咲くポイントからわずかに駅舎が見えたので、構図を決めながら列車が来るのを待った。撮影地から駅までは200m以上離れているが、望遠端180mmの圧縮効果を利用して、アジサイと列車を大きく捉えた。
岐阜県関市の伝統漁である「小瀬鵜飼」を撮影した。鵜飼は、漆黒の闇の中で行われるため、かがり火の明かりだけが頼りになる。暗く動きのある被写体のため、撮影難易度は高いが、開放F2.8一定のズームレンズのおかげで1/100秒以上を保ちつつ、高感度による画質劣化を最小限に抑えられた。
岐阜県にある名もなき池、通称「モネの池」を撮影。画家クロード・モネの絵画の世界観を思わせる人気のスポットだ。水中のコイや水草をできるだけクリアーに表現するため、ニコン純正のPLフィルターを装着して反射を抑えた。細部まで繊細な描写で、満足のいく1枚になった。
今回の撮影を通して一番感動したのは表現力の豊かさだ。ズーム全域で開放F2.8なので、十分に光があるシーンでも暗所でも活躍する。開放絞りにすればボケや柔らかな印象を与えられ、絞れば繊細でキレのある写真に仕上がる。何より引きの構図で撮影しがちな私にとって、近距離での撮影は新たなジャンルに飛び込めた感覚で夢中になった。動きのある被写体では長時間カメラを構えていることもあったが、一般的な望遠ズームレンズのような重量感はなく、軽量だからこそ挑めた撮影であった。この1本を持っていれば、理想以上の作品づくりを実現できる素晴らしいレンズである。
普段は保育士として働く傍ら、「今を濃厚に、鮮やかに」をモットーに独自性を追求しながら、日々心に響く風景、ポートレート作品づくりに励んでいる。
普段は保育士として働く傍ら、「今を濃厚に、鮮やかに」をモットーに独自性を追求しながら、日々心に響く風景、ポートレート作品づくりに励んでいる。
たくさんの昆虫がダイヤーズカモミールの香りに誘われていた。写真はそのうちの1匹のマメコガネ。近距離での撮影を可能にしたこのレンズのおかげで極限まで近づけ、さらに開放F2.8による大きなボケで花の頂で花粉の衣装をまとうかわいらしい姿を表現できた。
見頃の睡蓮の花の周りを悠々と泳ぐコイが何とも妖艶だ。なかなか近くまで寄れない状況でも、ズーミングにより構図を追い込めた。色味はもちろんのこと、睡蓮の葉の重なりや雨の滴までもくっきりと繊細に描写され、思った以上の表現力に驚いた。
メナード青山リゾートハーブガーデンでの1枚。曇天だったことでダイヤーズカモミールの花畑がまるで黄色い絨毯のように強く目を引く。ズーム域が幅広いので、空と樹木と花畑のバランスを自分好みに調整しながら満足のいくフレーミングで切り取れた。
目的地に向かう道中、見頃のアジサイが色彩豊かに咲いていた。往路で大ぶりなアジサイが降り注ぐ石垣に引かれ、帰路に車を止めて撮影に挑んだ。広角端70mmの中望遠を生かしてアジサイをふんだんに取り込みつつ、人物をゆがむことなく自然な雰囲気で撮ることができた。
関ケ原ウォーランドは6,000個に及ぶ風鈴の涼やかな音色とカラフルな短冊が見事だ。この魅力を最大限に生かすため、少し俯瞰での撮影に挑んだ。開放F2.8にすることでキラキラとしたボケを演出し、夏を感じさせるさわやかな1枚に仕上げられた。
NIKKOR Z 70-180mm f/2.8
1本で中望遠から望遠をカバーする扱いやすい望遠ズームレンズ
ズーム全域で得られる、開放F値2.8の明るさと大きく自然なボケ表現
開放柔らかく、絞るとシャープ。1本で2つの雰囲気を楽しめる描写性能
被写体に思い切って近づける、0.27m※1の最短撮影距離
別売のテレコンバーターに対応し、さらなる望遠撮影が可能
フォーカスブリージング※2の低減など、動画撮影に配慮した設計
安心して持ち歩ける、防塵・防滴に配慮した設計※3
※1 焦点距離70mm時。
※2 フォーカシング時にピント位置の移動にともなって画角が変化する現象。
※3 すべての条件で完全な防塵・防滴を保証するものではありません。