コンパクトなこの高倍率ズームの機動力に期待を込めて、沖縄諸島へ。たった一夜花を咲かせ夜明けに散る、サガリバナを見られる場所へとカヌーで向かった。予想以上に薄暗い状況、不安定なカヌー、そして慣れない手持ち撮影だったが確かな手ブレ補正となめらかなズーミング、素早いAFに助けられた。そして絞り開放であっても繊細な花のディテールまで克明に捉え、ボケ味は高倍率ズームレンズとは思えないほどの美しさだ。さらに逆光にも強いことが頼もしい。作品の質を落とさずに装備を減らしたいとき迷わず選べるレンズである。
京都市生まれ・在住。写真家・フォトエッセイスト。同志社大学法学部卒業。2000年から海外や日本全国を放浪しながら撮影を始める。2005年より地元である京都の風景や風物詩の撮影も手掛ける。近著に「京の祭と行事365日」(淡交社)、フォトエッセイ集「撮り旅」(風景写真出版)がある。写真展は2018年のTHE GALLERY(ニコンプラザ新宿、ニコンプラザ大阪) 企画展「絶景恋愛」など。
京都市生まれ・在住。写真家・フォトエッセイスト。同志社大学法学部卒業。2000年から海外や日本全国を放浪しながら撮影を始める。2005年より地元である京都の風景や風物詩の撮影も手掛ける。近著に「京の祭と行事365日」(淡交社)、フォトエッセイ集「撮り旅」(風景写真出版)がある。写真展は2018年のTHE GALLERY(ニコンプラザ新宿、ニコンプラザ大阪) 企画展「絶景恋愛」など。
早暁の空は一面雲に覆われていたが、朝日が顔を出す山並みの上にだけ雲がない。これは、という予感とともに準備を整える。そして日の出直前、すべてが強烈に焼け始めた。焦点距離は24mm。大きな歪みも無く、ダイナミックな眺望を画面の隅々まで克明に描ききった。
水面に落ちたサガリバナは、どんどん流されながら、すぐに萎れていく。ふと、シダの垂れ下がる岸辺にたどり着いた花一輪を見つけた。素早く200mmの望遠側で撮影。ズーミングがなめらかなので、ストレスなく構図に集中できる。その儚い美しさを克明に捉えた。
黒光りする絶壁を撫でるように流れる小さな滝。静と動を幽玄に描きたいと、スローシャッターで水の流れを羽衣のようにして、24mmで撮影する。水と岩肌の織りなす模様、葉っぱの繊細なエッジなど、剛柔さまざまな質感があますことなく表現され、格調を感じる仕上がりとなった。
朝夕は雲が広がる日が続いたが、この日やっと、周囲をオレンジ色に染めながら雲の合間から覗く日輪を撮ることができた。太陽の輪郭を捉えるため、露出はアンダー気味に設定。このレンズはゴースト・フレアにも強く、真夏の太陽を画面に入れることも厭わない。
夜に咲き、日の出とともに散るサガリバナ。房状に咲く姿をおさめようと、まだ薄暗い時間、満ちてくる潮の小さなうねりに揺れるカヌーから手持ちで挑んだ。焦点距離43mmで、シャッタースピードは1/30秒。花がブレたりAFが合いづらいかと危惧したが、強力な手ブレ補正効果もあり、高画素の等倍拡大でも克明に描ききったこのレンズの実力に驚く。
門司、尾道、神戸と、海の見える街を巡った。このレンズの魅力は24mmの広角から200mmの望遠までをカバーでき、画角を調整して思い通りの画を撮れることだ。一般的な高倍率ズームは便利さと引き換えに画質が犠牲になっているという感覚があり、いままで積極的には使っていなかった。しかしこのレンズは驚くほどの性能で、レンズ中央から周辺までしっかりと描写してくれる。特に街の風景を撮影すると周辺に街灯などが入るが、その描写も大切にしている私は、これなら安心だと納得した。また、5.0段分の手ブレ補正効果によって暗いシーンなどもほぼ手持ちで撮影ができた。抜群の機動力に加え、防塵・防滴性も配慮されており、これ一本でどのようなシチュエーションにも応えてくれる。これからの旅に欠かせないレンズになることは間違いないだろう。
サンフランシスコへの留学で写真と映像を学びながらTV番組、CM、ショートフィルムなどの制作を手掛ける。帰国後、写真家 塙真一氏のアシスタントを経てフリーランスに。ライフワークとして世界の街や風景を撮影。ドローンや特機での撮影にも積極的に取り組む。主な著書は、「写真がもっと上手くなる デジタル一眼 撮影テクニック事典101」、「写真が上手くなる デジタル一眼 基本&撮影ワザ」、「ニコン デジタルメニュー100%活用ガイド」など。 YouTubeチャンネルでカメラのテクニックやレビューを配信。ニコンカレッジ講師も務める。
サンフランシスコへの留学で写真と映像を学びながらTV番組、CM、ショートフィルムなどの制作を手掛ける。帰国後、写真家 塙真一氏のアシスタントを経てフリーランスに。ライフワークとして世界の街や風景を撮影。ドローンや特機での撮影にも積極的に取り組む。主な著書は、「写真がもっと上手くなる デジタル一眼 撮影テクニック事典101」、「写真が上手くなる デジタル一眼 基本&撮影ワザ」、「ニコン デジタルメニュー100%活用ガイド」など。 YouTubeチャンネルでカメラのテクニックやレビューを配信。ニコンカレッジ講師も務める。
朝日が門司港駅と周辺を歩く人たちに注ぎ、とても印象的だったので思わずスナップ。少し離れた場所にいたが、24-200mmのズーム域を活かして理想的な焦点距離77mmを選んだ。ノスタルジックな駅舎の雰囲気に合わせ、クリエイティブピクチャーコントロールをグラファイトとして陰影を強調し、建物の細部までシャープに表現できた。
門司港の鉄道博物館にあったレトロな機械式計算機をクリエイティブピクチャーコントロールのデニムで撮影。背景を確認しながら95mmの画角に調整して適度なボケを活かした。F値は6.3であるが望遠効果とFXフォーマットのセンサーサイズにより、思い通りのボケ感を得られている。少し暗いシーンだったが、手ブレ補正効果によってピント面をシャープに捉えられた。
門司港の古い建物を撮影。全体を撮っても面白かったが、窓と屋根の形が素敵だったので185mmまでズームして画角を微調整した。曇っていたのでシャッタースピードが1/20秒になったが、優秀な手ブレ補正機構でしっかり止めることができた。描写力が非常に高く、また高倍率ズームで問題になりやすい糸巻き型収差※もほとんどなく、壁面のレンガを真っ直ぐ写すことができた。
※光軸からの距離に応じて像の倍率が異なるために起こる、歪曲収差のひとつ。
望遠側で起こりやすい歪曲は糸巻き型収差、広角側で起こりやすい歪曲は樽型収差と呼ばれている。
尾道の坂の上から港と街並の風景を200mmの望遠で撮影した。距離のある場所の風景でも望遠の圧縮効果を使えば、一枚の中にギュッとおさめることができる。町の屋根や入り組んだ電線、横断歩道を渡る人や自転車、そして背景に渡し船が入る瞬間を待って、瀬戸内らしい穏やかな一コマを切り取った。
瀬戸内に沈む印象的な夕日を背景として、港を歩く人々の影を主題に撮影した。このレンズにはアルネオコートが施してあるため、非常に高い逆光耐性を発揮する。強い光が真正面から入ってきてもフレアやゴーストは確認できない。その結果、思いきって太陽をフレーム内に入れ、濃い影をダイナミックに活かした表現に挑戦できた。
尾道の街並を一望できる浄土寺の展望台から夕景を撮影。山の上にある展望台へは、Z 6IIとこのレンズの組み合わせだけで登ったので、とても楽だった。展望台からは撮影ポジションが限定されるため、さまざまな画角で撮影できる高倍率ズームはとても便利だ。この一枚は96mmで撮影した。アルネオコートによって、フレアやゴーストもなく少し靄がかったシーンであるが街並もしっかりと捉えられている。
NIKKOR Z 24-200mm f/4-6.3 VR
小型・軽量・高画質な8.3倍の高倍率ズームレンズ
ED非球面レンズ1枚、EDレンズ2枚、非球面レンズ2枚などの採用で高解像を実現
5.0段※1の手ブレ補正効果を発揮するレンズシフト方式VR機構を内蔵
アルネオコートによるゴースト、フレアの低減
レンズ最前面へのフッ素コートや防塵・防滴※2に配慮した設計で、ハードな旅でも安心
※1 CIPA規格準拠[NORMAL]モード使用時。35mmフィルムサイズ相当の撮像素子を搭載したミラーレスカメラ使用時。最も望遠側で測定。
※2すべての条件で完全な防塵・防滴を保証するものではありません。