双眼鏡の選び方ガイド

双眼鏡には倍率やサイズなど種類がたくさんあり、使用目的に合わせて選ぶことが重要です。
コンサート、スポーツ観戦、天体観察、アウトドア、バードウォッチング、観劇、美術館、
博物館など、シーンごとにおすすめな双眼鏡の選び方と基本的な使い方をご紹介します。

Nikon

双眼鏡には倍率や明るさ、サイズなど種類がたくさんあり使用目的に合わせて選ぶことが重要です。
コンサート、スポーツ観戦、天体観察、アウトドア、バードウォッチングに演劇鑑賞など、
シーンごとにおすすめな双眼鏡の選び方と基本的な使い方をご紹介します。

双眼鏡を選ぶためのポイント

双眼鏡の基本性能がわかれば自分にぴったりの双眼鏡を選べます。選び方のポイントを参考に、ぜひ実際に手に取ってのぞいて、自分に使いやすいものを見つけてください。

「双眼鏡選びの5つのポイント」

双眼鏡は対象物が大きく見えるだけではありません。
用途に合わせて選べば、コンサートに出演するアーティストの表情やスポーツ選手の動き、空に輝く小さな星や野鳥の羽の細部まで様々なものを観察できます。

ここでは、双眼鏡を選ぶ際に押さえておきたい5つのポイントをご紹介します。
それぞれのポイントを踏まえて、使用用途に合った双眼鏡を探してみてください。

双眼鏡で広がる世界

倍率の例 対象を双眼鏡で見たとき、肉眼と比べて「どれくらい大きく見えるか」の割合を倍率と言います。カタログや双眼鏡本体に書かれています。

倍率が高いほど対象物が大きく見え、細かいところを見分けることができますが、倍率が高ければ見やすいというわけではありません。見る対象によって適切な倍率は様々ですが、見やすさ、使いやすさを考えると12倍ぐらいまでがおすすめです。

双眼鏡の見え方は「対象物までの距離÷倍率」でイメージできます。

例えばコンサートなどで客席からステージまでの距離が100mだった場合、8倍の双眼鏡を使用すると12.5mの距離、10倍の双眼鏡を使用すると10mの距離まで近づいた時とほぼ同じ大きさで見ることができます。

対物レンズ口径対物レンズの内径を「対物レンズ有効径」と言います。「8×42 7.0°」と表示されている場合、42(mm)が対物レンズの有効径です。同じ倍率のとき、対物レンズの有効径が大きいほどたくさんの光が集められ、明るさと解像力が向上します。
しかし、対物レンズ有効径が大きくなると双眼鏡自体も大きく重くなってしまい、携帯性には欠けてしまいます。双眼鏡を使用するシーンに合わせて、倍率と口径がちょうどいいバランスのものを選びましょう。

対物レンズ有効径で下記のような分け方もできます。
25mm以下:コンパクトな双眼鏡 / 30mm~49mm:本格的な双眼鏡 / 50mm以上:天体観察、業務用など

木々を動き回る野鳥を探したり、展望台で広範囲を見渡したい時などには実視界が広い双眼鏡がおすすめです。

双眼鏡の仕様にある「実視界」と「見掛視界」の違いは以下の通りです。

「実視界」とは双眼鏡を動かさずに見ることが出来る範囲のことで、対物レンズの中心から測定した角度です。一般的に倍率が高くなるほど実視界は狭くなります。製品によって倍率も異なるため、実視界と倍率の両方をチェックする必要があります。「8×42 7.0°」と表示されている場合、「7.0°」が実視界となります。
実視界と見かけ視界
「見掛視界」とは双眼鏡をのぞいた時、その視野がどの位の角度に広がって見えるかを表します。
見掛視界が大きいと、高倍率でも実視界が広くなり、迫力ある見え味が楽しめます。見掛視界が60°以上(ISO規格14132-1:2002)の双眼鏡を広視界タイプといいます

アイポイント接眼レンズ最終面から「ひとみ」ができる位置(アイポイント)まで測った長さをアイレリーフといいます。このアイポイントからのぞけば、全視界でケラレ(双眼鏡を覗き込んだ際に景色の周りにフチが見える現象)が発生することなく観察できます。

メガネを掛けている方は接眼レンズから目まで距離ができてしまうため、「ロングアイレリーフ(アイレリーフが15mm以上)」の双眼鏡がおすすめです。
アイレリーフは短くても10mm以上の物を選びましょう。10mm未満になると十分な視界が確保できずケラレが発生しやすくなります。

防水イメージ防水タイプのモデルはボディーの中に水が入り込むのを防いでくれるため、天候や気温が変化しやすい山でのバードウォッチングや、屋外でのスポーツ観戦、コンサートにおすすめです。
しかし、防水タイプでも濡れてしまった場合は乾いた布で水分をよく拭き取り、十分に乾かしてください。

双眼鏡の基本的な使い方

双眼鏡の使い方は簡単。使う前に自分の目に合わせて調整すればクリアな視界が広がります。

1眼幅調整 自分の瞳の間隔に合わせて接眼レンズの幅を調整します。

両手で双眼鏡を持ち、両目でのぞきながらボディーをゆっくり開閉します。左右の視野(円形)が一つの円になれば調整完了です。

眼幅が合っていない場合

中心部が見えにくくなったり、周辺部がケラれたりします。

眼幅が合っている場合

左右の視野がひとつの円になります。

2視度調整 双眼鏡を両目で見るために左目と右目の視度差(視力の差)を調整します。

目標物を決め、まず左目だけでのぞき、ピント合わせリングを回してピントを合わせます。

同じ目標物を右目だけでのぞき、視度調整リングを回してピントを合わせます。

CONCERTコンサート

双眼鏡を手に、アーティストの演奏や表情、パフォーマンスなど、見たい場面をクローズアップ。まるで最前列にいるかのような臨場感。双眼鏡を手にすると演奏や表情、パフォーマンスもより身近に感じられ、特別な感動を味わえます。

場所に適した倍率で最前列のような臨場感を!屋内のライブ会場やコンサートホールなら4~8倍、東京ドームなど広い会場なら8~10倍がおすすめです。アーティストの表情や動きなど、見たい場面にクローズアップできるため最前列のような臨場感が味わえます。
※距離÷倍率で見える大きさのイメージができます。

※写真は見え方のイメージです。

コンサートや夜間ライブでも明るくくっきり!コンサートホールや夜間のライブは暗いため、のぞいた際に明るく見える機種が最適。レンズ・プリズムの光学性能が高く、多層膜コーティングが施されたモデルであれば表情までくっきり鮮明に見られます。

バッグやポケットに収まるコンパクトサイズバッグやポケットに収納できて使いたいときにさっと取り出せるコンパクトなものがおすすめ。軽量タイプなら長時間使っても疲れにくく、快適に鑑賞できます。

コンサートにおすすめのモデル

SPORTSスポーツ観戦

スタジアムでも双眼鏡があれば、目の前でプレーを見ているかのような迫力。好きな選手の表情、一瞬のプレーの機微やテクニックまで観察でき、テレビ中継とは違う、自分だけの視点でゲームを満喫できます。

選手の表情まで楽しめる!野球やサッカーなどのスポーツ観戦には屋内・屋外を問わず8~12倍がおすすめ。ズームタイプならさらに倍率を変えて選手の表情まで楽しめます。

※写真は見え方のイメージです。

決定的なシーンを見逃さない!広い範囲を見ることができる広視界タイプならサッカーのような動きに激しいスポーツでも選手を追いかけられ、決定的なシーンを見逃しません。

※写真は見え方のイメージです。

突然の雨でも安心!小型・軽量タイプを使えば長時間でも疲れにくく、観戦に集中できます。また、防水タイプを選べば観戦中に突然雨が降り出しても安心。

スポーツ観戦におすすめのモデル

STAR WATCHING天体観察

双眼鏡で星空を眺めれば、肉眼では見ることのできない多くの星を見つけられます。星座を探したり、星雲や星団などを発見したり、天体観察の楽しさをさらに広げます。

高倍率のときは7~10倍程度の倍率がおすすめ!高倍率になると手ブレが起こりやすくなるため7~10倍程度の倍率がおすすめです。高倍率で見たいときには三脚に固定することによって視野が安定するので、長時間の観察でも快適です。

※写真は見え方のイメージです。

天体観察では高い解像力が必要!肉眼だと小さく見える星を観察するので高い解像力が必要です。レンズ・プリズムの光学性能が高く、周辺部までくっきり見えるものが最適です。

屋外では防水タイプのものを選ぶと安心!屋外の天体観察では、夜露に濡れたり突然の雨に降られてしまうなんてことも。そんな時でも慌てないために防水タイプのものを選ぶと安心できます。

天体観察のワンポイント講座

双眼鏡で星をとらえるコツ

双眼鏡で見える範囲は肉眼で見る時と比べれば意外と狭いものです。そのため、まずは見たい星(星座)を肉眼で見つけましょう。視線は固定したまま素早く双眼鏡を目の位置にもっていき、覗きましょう。明るい星を見つけて、その星を目印にお目当ての星雲・星団の方向に双眼鏡の視野を少しずつ移動させていくやり方もあります。

手ブレ対策

【三脚に固定して観察】
高倍率のものや口径が50mm以上の双眼鏡は、手ブレが起こりやすいので三脚に固定しての観察をおすすめします。視野が安定するので長時間の観察にも便利です。
※三脚への固定には三脚アダプターが必要です。

【身体を固定しましょう】
身体を起こしたまま観察するときは、壁や柱にもたれかかったりするだけでも手ブレを減らすことができます。手すりなどにひじを付くか、双眼鏡を手すりに載せてしまうのも楽な方法です。

天体観察におすすめのモデル

OUTDOOR/TRAVELアウトドア・旅行

キャンプで出会った野生動物や植物の観察、登山ルートの把握や山頂からの景色を眺めるなど、さまざまなシーンで双眼鏡が大活躍。旅先で巡る名所や歴史的建造物も、より間近に見られるので思い出が一層深まります。

アウトドアなど大自然で使用するなら8〜10倍!アウトドアなど大自然で使用するなら8〜10倍、建造物などを鑑賞するなら4〜8倍のタイプを選べば間近に感じられておすすめです。

※写真は見え方のイメージです。

野生動物をじっくり観察したいときには多層膜コーティングが施されているものが最適!自然の風景や野生動物などをじっくり観察したいときには多層膜コーティングが施されているものが最適。視界がクリアで明るく、肉眼で見ているかのような自然な色調で観察できるので大自然をより深く味わえます。

旅行には持ち運びに便利な小型・軽量タイプや折りたたみ式のコンパクトタイプがおすすめ!アウトドアや旅行には持ち運びに便利な小型・軽量タイプや折りたたみ式のコンパクトタイプがおすすめ。バッグやポケットに簡単にしまえるため荷物が多いときにも邪魔になりません。

持ったときに安定感があり、手になじむ形状のものが最適!ラバーコーティングが施されたものは、すべりにくく観察時の操作もしやすいです。持ったときに安定感があり、手になじむ形状のものが最適です。

海や川などアウトドアやキャンプで使用するなら防水タイプが安心!海や川などアウトドアやキャンプで使用するなら防水タイプが安心。水しぶきや突然の雨にも慌てる必要がありません。

アウトドア・旅行におすすめのモデル

BIRD WATCHINGバードウォッチング

公園や森で見慣れた野鳥たちも、双眼鏡で見れば、美しい羽根や可愛らしいしぐさなど、肉眼では気づかない新たな魅力を発見できます。鳴き声に耳を傾けたり、鳥の姿を探したり、バードウォッチングで、自然散策の楽しみも倍増します。

倍率は森林では8〜10倍、湖沼や干潟では8〜12倍がおすすめ!倍率は森林では8〜10倍、湖沼や干潟では8〜12倍がおすすめです。遠くにいる野鳥を拡大して見ることができるので、姿や羽根の模様、生態までクローズアップしてじっくり観察でき、野鳥の魅力を発見できます。

対物レンズの有効径が大きいほど明るく解像度も高くなる!対物レンズの有効径が大きいほど明るく解像度も高くなり、羽根の色や模様までくっきり鮮明に見えます。レンズ・プリズムの光学性能が高く、多層膜コーティングが施されているものは視界が明るく鮮明で、肉眼で見ているかのように野鳥を観察できます。

※写真は見え方のイメージです。

広視界タイプは広い範囲を見ることができる!広視界タイプは広い範囲を見ることができるので、野鳥を探しやすく木々の間を動きまわる姿も追いかけやすくなります。

ラバーコーティングされたものは、すべりにくく観察時の操作も簡単!ラバーコーティングされたものは、すべりにくく観察時の操作も簡単。手になじんで持ちやすく、衝撃も軽減できるので多少ハードに使用しても壊れにくいです。

防水タイプ雨に降られたときも安心!防水タイプの双眼鏡であれば、森の中で朝露に濡れたり突然の天候変化で雨に降られたときも気にすることなくバードウォッチングが続けられます。

バードウォッチングのワンポイント講座

双眼鏡に慣れてみよう

まずは遠くて開けたところの動かないものを見ることから始めましょう。離れたところにあるビルの看板や街灯などを視野に入れてピントを合わせることを繰り返しながら、だんだん近いものに対象を変えて練習しましょう。慣れてきたら、肉眼でも充分確認できる動きの少ない大きめの鳥を見てみましょう。さらに慣れてきたら「近くの動いている小さな鳥」や「茂みの中にいる鳥」にも挑戦してみましょう。

双眼鏡で野鳥をとらえるコツ

目標物を肉眼で見つけて目線を固定したまま(目は目標物を見たまま)素早く双眼鏡を目の位置にもっていき、覗くようにしましょう。周りの見つけやすいもの(木や枝など)を視野に入れ、そこから双眼鏡を移動させるようにしてみましょう。

バードウォッチングにおすすめのモデル

THEATER/MUSEUM観劇・美術館・博物館

劇場で俳優たちの迫真の演技や表情、華やかな舞台衣装をじっくり鑑賞。絵画や彫刻、博物館の展示品なども細部の造形やタッチまで手に取るように分かるので、作品の新たな魅力を発見できます。

倍率は森林では8〜10倍、湖沼や干潟では8〜12倍がおすすめ!ミュージカルなどの舞台を観劇する場合には倍率4〜8倍で劇場全体を見渡せる広視界タイプが、近くのものを鑑賞する美術館や博物館なら小型・軽量で倍率は4〜7倍、最短合焦距離が2m以下のタイプがおすすめです。迫真の演技、アート作品の細かなタッチまで手に取るように分かります。

※写真は見え方のイメージです。

対物レンズの有効径が大きいほど明るく解像度も高くなる!レンズ・プリズムの光学性能が高い機種で多層膜コーティングが施されたモデルであれば、暗い劇場でも明るく鮮明で、俳優の細かな動きや表情もくっきり見えます。

広視界タイプは広い範囲を見ることができる!小型・軽量で洗練されたデザインの双眼鏡なら観劇や美術館などでポケットからさっと取り出してさりげなく使えます。

観劇・美術館・博物館におすすめのモデル

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