2024/6/17

静謐で心が落ち着く青のニュアンス。
Setouchi Blueで描くノスタルジー

瀬戸内の凪は、穏やかな気持ちで深呼吸したくなる大好きな風景。シャドウにほのかな青を入れることで、どこか懐かしく静謐な雰囲気になる色にしました。旅先やお気に入りの場所で、しっとりとした優しい光とともに。

ピクチャーコントロール:Setouchi Blue

シーンに求める理想の色を決めて大胆に

私はふだん言葉とセットで写真を世に出すことが多く、いつも言葉との相性やバランスを悩みながら撮影しています。誰も見たことのない絶景を写したいというより、暮らしの中にある美しさを、なるべくそのまま残したいという思いで日常の1コマを写しとっています。友人には「なんでそんなの撮ってるの?」とよく不思議がられます(笑)。

少し矛盾するかもしれませんが、色づくりでは少し違う考えを持っていて、見たままを忠実に再現するより、「私は世界をこう見ていたい」という理想の色を基準に仕上げることが多いです。思いきり色味や明るさを変えることに躊躇はありません。

左:スタンダード、右:Setouchi Blue
左:ニュートラル、右:Setouchi Blue

心地よい静けさを生む暗部のほのかな青

「目の前の世界がこうなったらうれしい」という理想の色が、ファインダー越しで見られるのがフレキシブルカラーピクチャーコントロールの魅力。撮って出しの時点で手元に完成形があることで、いっそうシャッターを切る瞬間に心が踊るようになりました。

「Setouchi Blue」はその名の通り、瀬戸内海の青をイメージして制作しています。試しに写真に当てていただくとわかりますが、少し落ち着いた色味になり、シャドウ部分にほんのりと青味がのるピクチャーコントロールです。ノスタルジックな雰囲気というか、瀬戸内の凪のような落ち着いた印象になるのが特徴です。私は瀬戸内海を見つめていると深呼吸したくなりますが、そんな気持ちになれる色を目指しました。空や海、喫茶店など幅広いシーンで楽しんでもらえると思います。

オリジナルのピクチャーコントロールづくりは、最初から目指したい色味がある程度決まっていたので、それに近づけていく作業でしたが、写真によってはコントラストが高すぎたり明るすぎたりして、ちょうどいいニュアンスを探すのにとても苦労しました。暖かみも欲しかったので、ハイライトにはほんのりオレンジをのせています。

曇りや雨の日など淡い光と合わせたい色

私の好みの話になりますが、Setouchi Blueは落ち着いた雰囲気が出るピクチャーコントロールなので、曇りや雨の日、太陽がまだ低い午前中の光や逆光の撮影によく合います。雨の森の中で捉えた滴、それを乗せた葉を撮ったりするのもおすすめです。

また、ふわりと背景がぼけるような表現で使用すると、より優しい雰囲気が引き立ちます。もちろん晴れの日や昼間にも使っていただけますが、その際は露出を少し抑え気味にしてもらうとピクチャーコントロールの味が出やすいです。

そのほかにも、アンティーク雑貨や老舗喫茶の店内など、もともとノスタルジックな雰囲気が漂うシーンで使うとその印象がいっそう強まります。ぜひ、いろいろな場面で味わいの違いを楽しんでいただきたいです!

ピクチャーコントロール:Setouchi Blue

記事で紹介した
イメージングレシピ

Setouchi Blue

古性のち写真家・エッセイスト

1989年横浜生まれ。2016年から世界30カ国を旅し日本に帰国後、タイ・チェンマイと岩手の二拠点生活をスタート。自身のSNSでは写真と言葉を組み合わせた作品の発表をはじめ、写真と言葉を組み合わせたライフワークを中心に活動中。

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