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静謐で心が落ち着く青のニュアンス。
Setouchi Blueで描くノスタルジー
瀬戸内の凪は、穏やかな気持ちで深呼吸したくなる大好きな風景。シャドウにほのかな青を入れることで、どこか懐かしく静謐な雰囲気になる色にしました。旅先やお気に入りの場所で、しっとりとした優しい光とともに。
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シーンに求める理想の色を決めて大胆に
私はふだん言葉とセットで写真を世に出すことが多く、いつも言葉との相性やバランスを悩みながら撮影しています。誰も見たことのない絶景を写したいというより、暮らしの中にある美しさを、なるべくそのまま残したいという思いで日常の1コマを写しとっています。友人には「なんでそんなの撮ってるの?」とよく不思議がられます(笑)。
少し矛盾するかもしれませんが、色づくりでは少し違う考えを持っていて、見たままを忠実に再現するより、「私は世界をこう見ていたい」という理想の色を基準に仕上げることが多いです。思いきり色味や明るさを変えることに躊躇はありません。
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心地よい静けさを生む暗部のほのかな青
「目の前の世界がこうなったらうれしい」という理想の色が、ファインダー越しで見られるのがフレキシブルカラーピクチャーコントロールの魅力。撮って出しの時点で手元に完成形があることで、いっそうシャッターを切る瞬間に心が踊るようになりました。
「Setouchi Blue」はその名の通り、瀬戸内海の青をイメージして制作しています。試しに写真に当てていただくとわかりますが、少し落ち着いた色味になり、シャドウ部分にほんのりと青味がのるピクチャーコントロールです。ノスタルジックな雰囲気というか、瀬戸内の凪のような落ち着いた印象になるのが特徴です。私は瀬戸内海を見つめていると深呼吸したくなりますが、そんな気持ちになれる色を目指しました。空や海、喫茶店など幅広いシーンで楽しんでもらえると思います。
オリジナルのピクチャーコントロールづくりは、最初から目指したい色味がある程度決まっていたので、それに近づけていく作業でしたが、写真によってはコントラストが高すぎたり明るすぎたりして、ちょうどいいニュアンスを探すのにとても苦労しました。暖かみも欲しかったので、ハイライトにはほんのりオレンジをのせています。
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記事で紹介した
イメージングレシピ
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