ネガフィルムデジタイズ

NEGATIVE FILM DIGITIZING

ネガフィルムを簡単に
45メガピクセルのデジタルデータに変換
写真家 山野泰照によるレクチャー

作品例

CONVERSION EXAMPLE

  • モノクロ
    ネガフィルム

    約40年前のフィルムで、ずっと放置してあったもの。幸い化学的な劣化が認められなかったためデジタル化することにした。

  • モノクロ
    デジタルデータ

    ネガフィルムデジタイズ機能を用いて撮影し、不要な部分は撮影後にトリミングした。明るさの調節もせずに、ここまで豊かな階調のデジタルデータが得られたのはうれしい。

  • カラー
    ネガフィルム

    約30年前のフィルム。フィルムの銘柄や保存条件によっては、長い時間の経過で色が変わってしまうケースもあるが、これは比較的良好な状態だったもの。

  • カラー
    デジタルデータ

    ネガフィルムデジタイズ機能を用いて撮影し、不要な部分は撮影後にトリミングした。露出不足気味のフィルムながら、色や階調はほぼ期待した通りの画像が得られた。

Photographer

Yasuteru Yamano /山野泰照(やまの やすてる)

写真家、写真技術研究家。1954年、香川県生まれ。1970年代から天文雑誌での作品発表や記事の執筆を行う。2000年以降、デジタルフォト、デジタル天体写真に関する発表や記事を多数手掛け、著書として「デジカメではじめるデジタルフォトライフ」、「驚異! デジカメだけで月面や土星の輪が撮れる—ニコンCOOLPIX P900天体撮影テクニック」などがある。一般社団法人日本写真学会会員(SPIJ)、公益財団法人冷泉家時雨亭文庫会員。

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フィルムデジタイズとは

フィルムデジタイズとは、銀塩フィルム(以下フィルム)に記録された画像情報をデジタル化することです。文書だけでなく、画像や映像がデジタルデータで管理、活用されているいま、アナログの情報であるフィルムの画像情報もデジタル化するニーズが高まっています。フィルムの画像情報をデジタル化することは、これまでフィルムスキャナーなどの専用機材やラボのデジタル化サービスが担ってきました。また、デジタルカメラを用いてフィルムを接写することでデジタル化はできたものの、期待するクオリティの画像データを得るためには、特にカラーネガフィルムをポジ化するプロセスのハードルは、かなり高いものでした。D850に搭載された「ネガフィルムデジタイズ」機能は、モノクロだけでなくカラーを含めネガフィルムのポジ化まで、カメラ内で行うことが可能で、フィルムのデジタル化のニーズに応えるものとして注目されています。

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D850 によるフィルムデジタイズの機材

フィルムデジタイズのための機材は、カメラとフィルムを画面いっぱいに撮影できるマイクロレンズ、フィルムとレンズの位置を固定するアダプターや、次々にフィルムを変えながらデジタイズの作業を進めるためのフィルムホルダーなど。そして適切な光源が必要です。D850は撮像素子がFXフォーマットなので、35mm判フィルムを画面いっぱいに撮影するためのレンズは、焦点距離60mmのマイクロニッコールレンズ(AF-S Micro NIKKOR 60mm f/2.8G ED)などが最適です。そして、フィルムを保持するための機材として、35mm判のフィルムデジタイズアダプター ES-2があると作業性が高まります。ほとんどのネガフィルムはネガカバーに入ったスリーブ状ですから、そのようなフィルムはストリップフィルムホルダー FH-4(ES-2に付属)を、またスライドマウントにセットされたフィルムは、スライドマウントホルダー FH-5(ES-2に付属)を使用します。光源は窓から入ってくる自然光でも室内の照明でもほぼ問題ないのですが、作業性と光源の安定性の面から写真用のライトボックスをご用意することをおすすめします。

写真:
[1]フィルムデジタイズアダプター ES-2
[2]62mm用アダプターA(AF-S Micro NIKKOR 60mm f/2.8G ED用)
[3]62mm用アダプターB(AI AF Micro-Nikkor 60mm f/2.8D用)
[4]ストリップフィルムホルダー FH-4
[5]スライドマウントホルダー FH-5

フィルムデジタイズアダプター ES-2 製品情報

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機材のセッティング

D850に焦点距離60mmのマイクロニッコールレンズなどを装着し、その先端にES-2本体を取り付けます。デジタイズしたいフィルムをFH-4かFH-5にセットし、ブロアーなどでフィルムに付着しているゴミを取り除いたのち、ES-2のホルダー挿入口から差し込みます。ES-2の拡散板を光源の方に向け、カメラの静止画ライブビューをスタートします。フィルムのデジタイズでも構図が重要です。デジタイズしたあとにトリミングをする場合には、多少ラフに構図を決めても良いかもしれませんが、画像データをすぐに使いたい場合や後の作業効率を考えれば、撮影時にきっちり構図を決めておくことをおすすめします。フィルムの一部だけデジタイズしたい場合、等倍以上の撮影はできませんので、撮像範囲設定で1.2倍などのクロップをしておくという方法も可能です。

写真上:D850に AF-S Micro NIKKOR 60mm f/2.8G EDなどを装着
写真中央:フィルムデジタイズアダプター ES-2を装着
写真下:ストリップフィルムホルダー FH-4などを装着

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フィルムデジタイズの手順

デジタイズしたいフィルムがネガフィルムの場合、ボディーの設定はiボタンを押して「ネガフィルムデジタイズ」を選択し、フィルムの種類によって「カラーネガフィルム」または「モノクロネガフィルム」を選ぶだけです。ネガポジ変換された画像が画像モニターに現れますから、ネガポジ変換された画像の明るさを確認し、必要があれば調節します。明るさの調節は、「OKボタン」を押して明るさ補正画面にし、マルチセレクターやタッチパネルを用いて-5~+5の範囲で調節します。あとは、ピントを合わせて撮影するだけです。ネガフィルムデジタイズ機能を利用して撮影した画像は、画質モードによらずすべてJPEG(FINE*)で記録されます。

ポジフィルムは、銘柄による色や階調など画質の個性があります。したがって現像された段階で完成している作品と言えますので、デジタイズする際にはできるだけ画質の調整をしないこと、階調を確実に取り込むことがポイントです。ライブビューからヒストグラムなどを確認しながら、ピクチャーコントロールの選択や露出レベルの調節を行います。ピクチャーコントロールはフラットがおすすめ。ハイライト部の飛びを抑えたい場合は、測光モードでハイライト重点測光に設定する、あるいはヒストグラムを見ながら露出補正で調節するなどしてください。画質モードは画像をそのまま使いたい場合にはJPEGで、デジタイズ後さらに詳細な調節をしたい場合にはRAWで記録しておきます。

写真上:
ライブビューで、画像を表示し、iボタンを押して「ネガフィルムデジタイズ」を選択、フィルムの種類によって「カラーネガフィルム」または「モノクロネガフィルム」を選ぶ
写真中央:
ネガポジ変換された画像が画像モニターに現れる
写真下:
ネガポジ変換された画像の明るさを確認し、必要があれば調節。あとはピント合わせをして撮影

デジタイズ後に広がる楽しさ

フィルムをデジタイズすることで、今まで眠っていた写真をデジタルデータとしてさまざまな形で活用することができます。たとえば、大画面TVに表示して家族や仲間と見る、タブレット端末に保管してアルバムのように使ったり、スマートフォンやパソコンの待ち受け画面にすることができます。またSNSを使って、昔撮った想い出の写真を友人たちとシェアすることも。工夫次第で写真の楽しさが大きく広がります

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PhotographerYasuteru Yamano

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