Lesson14
不思議の国で色彩にこだわった一枚
コスジェニックな写真にとって大切な要素のひとつが色彩の美しさ。
目の覚めるような鮮やかに咲き誇る花々の美しさや、
モノクロやセピアのように統一された色で見せる格好良さなど、
一眼レフなら色彩にこだわり抜いた撮影に挑戦できる!
不思議の国をイメージさせるスタジオで、自分だけの色彩の世界観を表現してみよう!
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1 色彩を意識して
撮影するためには……?色彩にこだわった撮影とはどんなものだろう?最初に知っておきたいのが「ホワイトバランス※」。通常は「オート」に設定さえしておけば、見た目通りにきれいに撮れるので気にすることは少ないかもしれない。ここでは写真の色を自分好みに設定するためのテクニックとしてアプローチしてみよう。
※「ホワイトバランス」機能説明ページ屋内のスタジオでスピードライト1灯をカメラ上部に装着して撮影。ホワイトバランスを「オート」で撮ると、上の写真のような自然な色合いに。金のレフ板を使うことで、蛍光灯の下でも健康的な肌色に仕上がる。
「ホワイトバランス」
ってなに?撮影場所や時間によって、光の種類は全く違ってくる。そんな多種多様な光に合わせて、本来の見た目通りの色で撮影するため調整するのが「ホワイトバランス」。オートではなく設定を変更することで、意識的に色彩を変化させることだってできる。ホワイトバランスを変えると下の写真のように赤っぽくか、青っぽく色味が変化することを覚えておこう。
電球
「電球」に設定して撮影。本来は白熱電球下での撮影用の設定だけど、写真のように意図的に青みを増した写真にすることもできる。
晴天日陰
ホワイトバランスを「晴天日陰」に設定して撮影すると、「オート」で撮影したときに比べて全体が赤みがかった色合いに仕上がる。
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2 色彩を操る➀
可愛くカラフルな写真にしたいまずはカラフルな色彩を意識した撮影から始めよう。スタジオに用意された可愛くて色とりどりの花壁で、より印象的な仕上がりにしたいなら「ピクチャーコントロール※」を変化させてみるべし。コントラスト、明るさ、色の濃さ(彩度)などを調整することで、色彩にこだわった撮影を楽しむことができる!
※「ピクチャーコントロール」機能説明ページカラフルに仕上げるには
彩度がポイントピクチャーコントロールを[ビビッド]に設定し、調整画面から[色の濃さ(彩度)]を「+3」にして撮影。花壁だけでなく、ウィッグのピンクも色鮮やかな一枚に。カラフルな衣装や背景のときの方が、彩度を高めたときに効果を感じやすいのでおすすめ。
もっと簡単に
イメージチェンジ♪おすすめエフェクト機能➀
もっと簡単に色彩のイメージを変えたいなら「スペシャルエフェクトモード※」がおすすめ。選んで撮るだけなのでとても簡単! 様々な効果をライブビュー撮影なら、リアルタイムで確認できるのも嬉しいポイント♪
※「スペシャルエフェクトモード」機能説明ページフォトイラスト
被写体や背景の輪郭を強調して、まるでイラストのような仕上りになる個性的なエフェクト機能。
ポップ
写真全体を明るく、色鮮やかにしてくれるエフェクト。背景だけでなく肌色も明るく調整してくれる。
極彩色
色を強調し、コントラストが強くはっきりした写真に。チークの色なども濃くなるので注意が必要。
TIPS
「SnapBridge」で撮った
写真をすぐ確認「おひとりさま撮影術※」では、リモート撮影機能が役立った「SnapBridge」。スタジオ撮影では自動転送機能が見逃せない。撮影した画像をスマホやタブレット端末に自動で転送してくれるので、撮られる側のモデルもリアルタイムで写真の仕上がりを確認できる。
※Lesson12 おひとりさま撮影術Part1
※Lesson13 おひとりさま撮影術Part2Bluetooth®によりカメラとスマホを常時接続。通信制限やバッテリーの減りを気にせずいつのまにか写真が転送されているのが 嬉しい。
写真の仕上がりをそのまま確認できるので、作品作りには欠かせないカメラマンとモデルの意思の疎通がとってもスムーズ。
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3 色彩を操る➁
アンティーク調な
重厚な仕上がりに!次に挑戦したいのはアンティークなスタジオセットを生かしたクラシカルな色彩。ここでもピクチャーコントロールを使って写真の色を変化させよう。[色の濃さ(彩度)]を「-2」、[コントラスト]を「+2」に設定すれば、色合いが同じトーンで統一されて重厚感のある一枚に。
部屋の照明だけでも
十分撮れる上の写真は天井のシャンデリアの光だけで撮影。暖かみのある電球の光で赤みがかった色彩に。若干の暗さも、ここでは良いエッセンスとなってくれた。ホワイトバランスは「オート」で撮影。
被写体と光源(シャンデリア)の間を1.5メートルほど空けて撮影。被写体の上に十分な空間をつくり、背景もすっきりさせることで、広い部屋にちょこんと座る可愛らしい構図に仕上がった。
もっと簡単に
イメージチェンジ♪おすすめエフェクト機能➁
先ほど紹介した「スペシャルエフェクトモード」の中から、アンティークな雰囲気にぴったりのエフェクト2つと、ピクチャーコントロールを使ったセピア写真の設定方法を紹介しよう。
ミニチュア
高い所から見下ろした景色をミニチュア模型のように見せてくれるエフェクト。スタジオで人物を撮ると……、まるでドールハウスのような不思議な仕上がりに!
セピア
ピクチャーコントロールの[モノクローム]の中にある[調色]から[Sepia]を選ぶだけでOK。
トイカメラ
彩度が少し低めで、フレームの四隅が暗くなるのが特徴。
ちゃんと写したい被写体はセンターに置こう。鮮やかに撮るなら
スピードライト花や衣装の色彩を鮮やかにしたいときは、スピードライト(SB-500)を使って撮影しよう。シャンデリアの地明かりを生かした重厚さから一転、カラフルな色彩が引き立つ鮮やかな写真に。真上からの撮影では、モデルの頭の下には枕を入れることが大切。そうすることで自然にアゴを引いたナチュラルな表情に撮れちゃう。
※スピードライトの多灯撮影ではD7500を使用しています。
使用するスピードライトは3灯。イラストのように寝転んだ被写体をトライアングルのように囲む形で配置。全体に光をきれいにまわして撮影しよう。
TIPS
単焦点レンズなら背景ボケも!
ズームのない「単焦点レンズ」の魅力のひとつが、ふんわり美しいボケ味。背景から距離のないシチュエーションでも、下の写真のようにきれいにボカすことができる。コンパクトな「AF-S DX NIKKOR 35mm f/1.8G」なら、人が溢れるコスプレイベントでも活躍してくれるはず。
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4 幻想的な一枚に仕上げる
「多重露出※」とは?多重露出は2枚以上の写真を重ねて、1枚の写真に収める機能。わざとボカした光と人物を重ね合わせるなど、アイデア次第でコスプレ撮影に応用できそうな予感。最大10コマまでの多重露出ができるD7500でさっそく撮影してみよう。今回は入門編として扱いやすい「加算」と「比較暗合成」の2つの合成モードでチャレンジ!
※「多重露出」機能説明ページ多重露出➀
シャンデリアの光を玉ボケにまずは「加算」で撮影。加算は撮った画像をそのまま重ね合わせる合成モード。選んだのは暗めの背景に立つモデルと、ボカしたシャンデリアの光。合成して出来上がったのが下の写真。玉ボケのようにふんわりと浮かんだ光が幻想的な一枚に仕上がった。ボケた光は多重露出の初歩として非常に便利。どんなものと合成しても失敗しにくい♪
写真➀
1枚目はクラシカルな暗めな背景の前に立ったモデル。そこに光が浮かんでいるような表情でパシャリ!
写真➁
2枚目はシャンデリアの光。シャンデリアが光の玉の連なりに見えるくらい大きくボカすのがポイント。
多重露出➁
被写体を花で包み込む次は「比較暗合成」で撮影。より暗い部分を残すように合成するモード。つまり白い部分は合成後に残らず、もう1枚の画像が重なりやすくなる。今回は花壁の一部を綿で白くして、そこにモデルの顔がくるように撮影してみた。見事狙いは的中♪ 衣装が白かったおかげで、綿で白くした部分に重なるモデルの顔以外はきれいに花で覆われた。
写真➀
1枚目は白い壁の前に立つモデル。衣装も白いので、壁と衣装は合成後に残らない想定で撮影する。
写真➁
2枚目は鮮やかな花壁。モデルの顔には花を重ねたくないので、そこだけ綿で覆って白くしておく。
まとめ
色彩は写真の大切な要素のひとつ。
ホワイトバランスやピクチャーコントロールで
自分の撮りたい色を表現してみよう!
クレジット
撮影/山本哲也
レタッチ/yumiko Matsunaga
- モデル:
- 五木あきら
様々な公式コスプレイヤーとしての活動やイベント出演、雑誌や商品のモデル、商品デザイン監修などコスプレイヤー(表現者)としての視点を活かし活動範囲を広げている。コスプレイヤーとしてTVにも出演。また、世界10ヶ国以上で大規模イベントにゲスト招致される。
Twitter:
@itsuki_akira
Instagram:
@akiraitsuki_cos
撮影協力/東京プチフールスタジオ 日本橋店
※このページの写真はNikon D5600および、D7500、スピードライト SB-500で撮影しています。使用した写真にはレタッチを施してあります。