今回は24-200mmの高倍率ズームレンズで様々な被写体を撮影、作例をたっぷりとご紹介します。広角から望遠までの幅広い焦点距離を活かしながら、構図やカメラ設定の工夫でレンズ1本でもバリエーション豊かに撮ることができます。撮影時のポイントとあわせて、撮影のアイデア、ヒントを見つけてみてください。
撮影監修:斎藤勝則
NIKKOR Z 24-200mm f/4-6.3 VR
広角から望遠までの画作りができる高倍率ズームレンズ、画角の違いで写りかたはどのように変わるでしょうか。まずは同じ被写体を、焦点距離を変えて撮り比べてみましょう。
こちらはしだれ桜を写した写真です。
次に、富士山を捉えた写真を比較してみましょう。
焦点距離:24mm
富士山を臨む海岸から、解放感ある海の風景を捉えました。広角域では遠近感を強調する効果があるため、遠くのものをより小さく、手前のものはより大きく写ります。富士山は見た目より小さくなり、その分波打ち際や空の広さをダイナミックに表現しています
焦点距離:65mm
マジックアワーの時間帯、海岸ごしから富士山のシルエットを浮かび上がらせるように撮影した幻想的な1枚です。標準域では目で見ている印象に近い遠近感で写すことができます
焦点距離:200mm
河津桜を前景に、奥に富士山を臨む構図で切り取りました。望遠画角になるほど遠近感がなくなり、遠くのものもすぐ近くにあるように大きく写ります。桜と富士山を画面いっぱいに入れた迫力ある1枚を撮ることができました
高倍率ズームでも最短撮影距離が短いこのレンズを使い、カフェで注文したケーキを椅子に座った状態で撮影してみました。
4人掛けテーブルで、座った椅子のはす向かいのテーブル上にケーキを置いてカメラを構えると、広角から標準域の画角では自由なs構図で、望遠側200mmではケーキ全体をアップで撮ることができました。
またAPS-Cサイズ(DXフォーマット)のカメラを使ったり、フルサイズ(FXフォーマット)のカメラなら[撮像範囲設定]を[DX(24×16)]に設定したりすることで1.5倍の焦点距離を得ることができるため、さらに被写体に大きく寄った写真を撮ることができます。ケーキもここまで大きく、画面いっぱいに捉えることができました。
目の前の被写体をより広々とダイナミックに捉え、また遠近感を強調したユニークな画作りもできる広角画角。風景や建物のほか、室内での撮影など近距離の被写体を広く撮りたい場合などにも有効です。
焦点距離:24mm
圧巻の春の風景は広角でダイナミックに。空と河津桜と菜の花、三分割するような構図でそれぞれの色彩の美しさを際立たせました。晴天時の順光、絞りはf/16まで絞って手前から奥まで精細に描写しました
焦点距離:24mm
大通りから1本入った住宅街で見つけた、趣ある風景。階段の上に立ち、目線の高さから少し下にカメラを振って撮影、階段の高さや奥へと続く道の遠近感が強調され、そこに立っているかのような臨場感を演出しています
焦点距離:26mm
昨晩まで降っていた雨で、階段の上にあった桜の木からたくさんの花びらが散っていました。模様のように階段を彩っている様子を下からしゃがみこんで、あおって遠近感を出して撮影しています。黒い階段に鮮やかなピンクが映える1枚です
焦点距離:24mm
高層ビルを見上げるようにカメラを構え、広角ならではのパースペクティブを活かした構図で撮影しました。モノクロームにすることでビルの凹凸、造形が強調され、より迫力ある写真に仕上げています
焦点距離:24mm
雲ひとつない青空の下、遠くに見える一棟のビル。それを囲むように桜の枝を入れる構図で、ビルに視線を集中させて存在感を出しています。+0.7段露出補正をかけ、桜の花を明るく華やかに写しました
焦点距離:24mm
チューリップの花畑、広角で根本からあおって撮ることでパースをつけ、太陽に向かってグンと伸びる花の様子を演出しています
※目への影響をさけるため、太陽を撮るときは一眼レフカメラの場合ファインダーを覗かずライブビューで、ミラーレスカメラは電子ビューファインダーのため直視することはできますが、短時間での撮影を心がけましょう
目で見た印象に近いイメージで捉える標準画角。スナップやテーブルフォトを始め、ポートレート、花、風景、食べ物など、自由な構図で心が動いた瞬間を思いのままに切り取ることができます。
焦点距離:69mm
カメラを持って注意深く街を歩いていると、何気ない風景の中にも面白い被写体を見つけることができます。こちらは古いビルの窓格子を、クリエイティブピクチャーコントロールの[バイナリー]で仕上げた1枚。黒を強調したどっしりした画作り、壁の汚れ具合も良い味になっています
焦点距離:69mm
カフェで、席に座ったままカメラを構えテーブルの上の飲み物を撮影しました。背景を入れてボカすことでコーヒーカップを浮き立たせ、雰囲気ある写真に仕上げています
焦点距離:47mm
店舗のウィンドウを正面から、立体感を出さずデザイン的に切り取っています。クリエイティブピクチャーコントロールを[グラファイト]に設定、古い本の趣に合わせ、輪郭を強めた硬調なモノクロームに仕上げました
焦点距離:48mm
こちらも街角風景を切り取った1枚。白壁に映える緑色の窓を活かすためピクチャーコントロールを[ビビッド]に、窓の周辺にあった雨どいなどを写さないよう、洗練された雰囲気になるよう丁寧に構図を決めて撮影しています
焦点距離:44mm
手前にある大きな門から覗くように、階段と建物が見えます。周辺をぐるりと囲むトンネル構図で、その向こうに写る被写体を強調します。この門の向こうにどんな景色が広がっているのか、想像が膨らみます
焦点距離:63mm
海の向こうに見えるのは雪をかぶった雄大な富士山。空に浮かぶ雲の表情、打ち寄せる波をバランスよく構図内に収めました。見た目に近い遠近感で風景を捉えることができる画角です
遠くのものを大きく写すだけでなく、望遠ならではの圧縮効果、望遠画角になるほど得られる大きなボケ味を活かした画作りも楽しめます。
焦点距離:90mm
3路線の電車が交差する都心のスポット。ズームしながらおさまりの良い構図を探し、3つの車両が並ぶタイミングを待ちかまえてシャッターを切りました。シャッタースピードを1/20秒まで遅くして、車体をブラしスピード感を演出しています
焦点距離:200mm
急こう配の坂道の途中、坂道を降りた先の方に長い階段が見えました。望遠側200mmで切り取ると階段がまるで壁のよう写り、また撮影位置と階段の中間にある道路標識がすぐ頭上にあるかのように写っています。圧縮効果を活かした1枚です
焦点距離:200mm
こちらは望遠画角の大きなボケを活かした1枚です。離れた位置にある狛犬にピントを合わせ、手前にある葉を前ボケにして入れました。新緑のやわからな緑の中で凛とたたずむ狛犬を、印象的に捉えることができました
焦点距離:200mm
他より少し背の高いチューリップをメインに、同じように背の高いピンクのチューリップを見つけ背景に対比で入れ込むことで、リズム感のある面白い写真に仕上がりました。花畑の奥の方にあった被写体ですが、200mmで大きく写すことができました
焦点距離:200mm
海辺での撮影中、ふと近くに寄ってきたセキレイ。こちらを意識しているのかいないのか、そこに留まってジッとどこかを見つめていました。思わずレンズを向けてパシャリ。思わぬシーンに出会ったときに、被写体にあわせてサッとすぐにズーミングし、撮影できるのが高倍率ズームの嬉しいポイントです
焦点距離:200mm
鮮やかなピンクの河津桜の花を大きく捉えた1枚。ピントを合わせた被写体自体が小さく、また背景とある程度距離があると、望遠効果と相まってここまで大きなボケが得られます。ピンク色の微妙なニュアンスがなんとも美しく、背景部分をあえて多く入れた構図で撮影しました
広角から望遠まで幅広い画角をカバー、画像の中心から周辺までシャープな描写がズーム全域で得られる高性能な8.3倍高倍率ズームレンズです。5.0段(CIPA規格準拠)※の高い手ブレ補正効果を発揮するVR機構を搭載しているほか、小型軽量で持ち歩きにも便利。様々なシーンを撮影したい旅行などに最適の1本です。
※ [NORMAL]モード使用時。35mmフィルムサイズ相当の撮像素子を搭載したミラーレスカメラ使用時。最も望遠側で測定。
このギャラリーでは「レンズレッスン」で撮影した作品を掲載しています。
レンズの種類や目的で絞り込んで作品を検索することができますのでこの種類のレンズでどんな作品が撮れるのか、またお持ちのレンズの参考にしながらご覧ください。