春の訪れとともに迎える卒業、入学シーズン。ハレの日の思い出を残すため、たくさんの写真を撮りたくなる1日ではないでしょうか。そんな式典での定番、マストで撮りたい写真といえば式典の看板の前に立って撮る記念写真です。ところが当日は人も多く、看板前で撮影の順番を待ったりと慌ててサッと撮らなければならないこともあるため、後で見返すとイマイチの写真になってしまったという経験はないでしょうか。
今回はそんな看板前の記念写真をよりステキに撮る方法を3ステップでご紹介します。大切な式典の日を迎える前にぜひ予習していただき、当日には最高の思い出になる1枚を撮影してくださいね。
撮影監修:斎藤勝則
式典の看板は立てて置かれていることが多く、看板の前や横に人物を立たせた状態で正面から撮影する方が多いのではないでしょうか。そのため、看板と人物だけを写したシンプルな写真になりやすく、せっかく学校など式典が行われる場所で撮影していても、その雰囲気を伝えることができません。そこでまず、建物など周辺の雰囲気を入れ込むことができる構図を探しましょう。背景を入れるためのポイントは2つ、「レンズの広角側で撮る」ことと、「撮影者が下がって写す」ことです。
広角の画角で背景を広く捉え、撮影者は看板から少し離れるように立ちます。後ろに下がれない場合は、横にズレて少し斜めから撮影することで奥行きを出して撮ることができます。今回は、背景となる校舎の雰囲気を捉えるために斜め後ろに下がるように立ち、建物と看板がバランスよく入る構図を探してカメラを構えました。
背景を入れようと引いて写すと、その分、どうしても人物が小さく写ってしまいます。また周囲に人が多かったり、看板を立てた場所によっては撮影者が人物から離れることで間に人が写り込んでしまうということも考えられます。
そこで人物の立ち位置を、カメラの方に寄ってもらうよう指示しましょう。必ず看板の横に立ってもらわなければと思い込みがちですが、そんなことはありません。看板の文字が隠れないよう注意しながら、かつ人物が小さくならないように前に出てきてもらいましょう。
次に、アングルを調整します。撮影者が立ったままの状態で同じ目線の高さから撮影するよりも、少ししゃがんで、下から見上げるようなアングルで撮影してみましょう。
これにより人物は顔が小さくすらっとした印象で写るだけでなく、背景の建物なども見上げるように写し込むことができるため、より広角らしい、周囲の雰囲気を入れ込んだ画づくりができます。
より明るくきれいに人物を捉えるために、フラッシュを焚いて撮影しましょう。日中の明るい時間帯にフラッシュを焚いて撮影することを「日中シンクロ」といいます。
看板の位置や向きを変えることはできませんので、撮影時の日差しの向きによっては逆光だったり建物などの影になってしまったりと顔が暗く写ってしまうことがあります。また、曇りの日の場合でも、一見明るく写っているように見えて、どんよりとした印象になっていることがよくあります。日中シンクロ撮影をすることで顔を明るく写すだけでなく、人物の瞳にキャッチも入りパッと華やかな印象の写真に仕上げることができるのです。
なお撮影時、晴天順光など光量が十分にあるシチュエーションでは、明るすぎてフラッシュを焚くことができない場合があります。そのときはフラッシュを焚かずに、明るさが気になるときには露出補正を行って撮影してみてください。
卒業、入学式のような式典では、望遠ズームレンズがあるととても便利です。卒業証書授与などの式典では舞台上に立つ人物を大きく撮ることができますし、望遠画角ならではの大きなボケ味は人物を浮き立たせ、記念写真やスナップなどでも望遠ズームならではの雰囲気ある写真を撮ることができます。ただし、望遠画角での撮影は少し離れた場所から撮る必要がありますので、学校の校庭など、広いスペースを確保して撮影しましょう。
このギャラリーでは「カメラレッスン」で撮影した作品を掲載しています。
写真の目的で絞り込んで作品を検索することができますので、この目的でどんな作品が撮れるのか参考にしながらご覧ください。